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ソフトバンク孫氏
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ソフトバンクは、2006年度の中間決算(2006年4月~9月)を発表した。連結業績は、本格的にスタートした携帯電話事業が含まれたこともあり、前年同期比で増収増益という結果になった。
同社では8日、都内で報道関係者・証券関係者向け説明会を開催し、代表取締役社長の孫正義氏からプレゼンテーションが行なわれた。会の後半は、予想外割など新料金プランに関する説明が行なわれ、開催時間は3時間半に及んだ。
■ 連結および第2四半期の業績
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連結業績は増収増益
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第2四半期の数値
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まず連結ベースで中間決算を見ると、売上高は前年同期より5,973億円増加し、1兆1,201億円となった。内訳を見ると、移動体通信事業が5,818億円、固定通信事業(ソフトバンクテレコム)が1,662億円、ブロードバンド事業が1,274億円、イーコマース事業が1,170億円、インターネット・カルチャー事業が896億円などとなっている。このほか、営業利益は1,125億円、経常利益は626億円、EBITDAは2,284億円、当期純利益は144億円で、いずれも前年同期よりも大幅増になった。
これらの業績のうち、営業利益やEBITDA、経常利益は同社始まって以来の結果となった。
また第2四半期単体での業績を見ると、売上高は6,259億円(移動体通信事業は3,503億円)で、営業利益は581億円、経常利益は366億円、EBITDAは1,240億円、当期純利益は130億円となり、いずれも前期比プラスとなった。なお、ソフトバンクモバイルの業績は、5月1日から連結対象となっている。
このほか、移動体通信事業の買収に関連して、借入金を長期返済に借り換える計画の概要もあらためて示された。それによれば、調達予定金額は1兆4,500億円で、その手法は事業証券化と呼ばれるものになる。実行日は11月末を予定している。調達金額のうち、1兆1,500億円は最長10年、3,000億円は最長13年という借入期間となっている。
ソフトバンクモバイル単体の業績を見ると、売上高は前年同期から約324億円減少し7,048億円、営業利益は前年同期比約59億増の494億円、経常利益は前年同期から約11億円増の約436億円、当期純利益は、前年同期比で約13億円減少し、262億6,200万円となっている。
■ 移動体通信事業のオペレーションデータ
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オペレーションデータ
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またソフトバンクモバイルの事業に関する各種数値も示された。いずれの数値も9月末時点のものだが、契約数は1,530万人で、そのうち3Gの契約は全体の29.8%にあたる456万人となった。なお、TCAから発表された10月分の数値を見ると、契約数は約1,533万人、3Gは約484万人となっている。
ARPU(1契約あたりの月間平均収入)は、2006年第1四半期で5,590円、第2四半期で5,700円となっており、孫氏は「底を打った。2Gから3Gへ移行したユーザーはARPUが上昇する」と説明した。なお、オペレーションデータの1つであるMOU(Monthly minutes Of Use・月間利用時間)については明らかにされておらず、特に同社ユーザー間通話が無料になる「予想外割」におけるMOUについて、孫氏は「企業秘密」として公開しなかった。
このほか、解約率は第1四半期で1.50%、第2四半期で1.27%となったほか、新規獲得手数料単価は第1四半期が44,900円、第2四半期が43,800円で、どちらも前年同期を下回っている。
MNPに関する数値も明らかにされた。10月の純増数は2万3,800人だったが、MNPによる転入は3万1,100件、転出は5万5,000件で、MNPだけ見れば純減を記録した。その一方で、MNPを利用しないユーザーの動向を見ると、新規契約が19万2,100人、解約が14万4,400件となっており、4万7,700人の純増となっている。孫氏は「今後、各社の動向で優劣をつけるのであれば、MNP利用動向ではなくトータルで見たほうが正確だろう」と語っていた。
なお、契約者数については11月7日までの動向もあわせて公表されている。トータルでは2万8,000件の純増となっているが、MNPによる転入は3万6,400件で転出は4万3,500件。MNPを利用しないユーザー動向は、新規6万2,800件、解約2万7,700件となっている。好調とも言える結果だが、孫氏は「予想外割では2カ月分の利用料が無料となるため、月初に契約が集中する傾向があると見ている。月間全体では、この数値と異なる傾向になるだろう」との予測を示した。
■ 4つのコミットメントの進捗は?
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エリアについては顧客満足度がアップしているという
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ホームアンテナも展開
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ソフトバンクモバイルについては、かねてより「3Gネットワークの増強」「3G端末の充実」「コンテンツ強化」「営業体制とブランド強化」の4点が公約として掲げられている。
まず3Gネットワークについては、同社が外部委託して行なった顧客満足度を見ると、6月時点を基準とした場合、10月には9ポイントアップしたという。人口カバー率は99.97%に達しているが、8日午前に発表されたYOZANとの提携について、孫氏は「今後、PHS基地局を活用する機会が減っていくとのことで、用地確保のため利用させてもらうことにした。年度末に向けて46,000局設置していく考えだが、大いに助かる」と述べた。
また、基地局展開について同氏は「もしかしたら2~3カ月スケジュールが遅れたとしても責めないで欲しい。叱られるかもしれないが基本的には増加させていく方針。私自身、買収後数カ月は、それまで使っていたドコモさんの携帯電話と当社の携帯電話の2台を持っていたが、エリア充実によって、今はもう当社端末だけで問題なくなっている。一部のゴルフ場などではまだ繋がらない場合もあるが、日常生活では全く問題ない」と述べた。エリア拡充関連の施策としてホームアンテナも紹介され、孫氏は「既に取り付けが終わったユーザーからは好評」とアピールしていた。またHSDPAについては3,000局が既に設置済で、人口カバー率では70%程度に達しているという。
端末については、ボディカラーの充実ぶりなどが紹介されたほか、薄い端末が投入されることに関連して孫氏は「ソフトバンクのケータイは薄いと覚えて欲しい。私のヘアではなく、端末で薄さナンバーワンと覚えて欲しい」と語り、会場の笑いを誘っていた。なお、「隠し玉2機種」の存在が明らかにされているが、その詳細は今回も語られなかったものの、11月中に発表されることが明らかにされた。
コンテンツについてはボーダフォンライブ!からYahoo!ケータイへリニューアルしたことで、トップページのページビューが6月末時点と比べて、10月には約34倍以上になり、1日あたりの全ページビューは8倍以上に達している。さらに検索サービスの利用動向については、1日あたりの検索クエリ数は9月時点と比べ、約3倍になっている。
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HSDPA拡充中
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薄さをアピール
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Yahoo!ケータイは好調という
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■ 質疑応答
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一連のトラブルについて孫氏は「すべて私の責任」
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プレゼンテーション開始直後、孫氏は「システムトラブルで心苦しかったが、11月最初の三連休を乗り越えられた。そして8日からは20時までの受付体制が整った。まだ一部はコントロールしながらの運営だが、大きな山場を超えたと思っている。さらに、誤解を招きかねない広告などの指摘については、積極的に動き、その内容を変更した。その効果もあり、当社サービスについて理解の度合いが一歩一歩進んでいると認識している」と現状を報告するとともに、システムトラブルや新プラン導入などに関する混乱について「非常に深く反省している。他の誰でもなく、私自身の責任であると痛感している。そして、今後の長い競争を立派に戦い抜きたい」と述べた。
中間決算に関する質疑応答では、移動体通信事業に対する質問が数多く寄せられ、いずれの質問も孫氏が回答した。
まずMNP開始を受けた動向については「MNP開始前、ソフトバンクモバイルは草刈り場になってユーザーが減少するとの予測があった。しかし、現時点では純増となっており、さまざまなトラブルがあったが、まずまずのスタートだったと思う。システムのごたごたや、プランに対する誤解などがなければ、もっとたくさん獲得できていたと思う部分はあるが、結果的には(草刈り場という)危機的状況にはならなかった。1人負けするという状況から、プラスマイナスゼロという状況。ここからがスタートだ」と語った。
システムトラブルについては、あらためて謝罪の意を表わした上で「システム増強により、トラブル発生前の4倍もの件数をこなせており、峠を越えたと見ている」と述べた。
また予想外割で入ってきたユーザーの属性については「まだ分析中だが、携帯電話を高度に使う人だと見ている。条件付きだが無料、ということで通話・データ通信ともに使い、さらに他のユーザーともやり取りするという高トラフィック型ユーザーだ。今までのユーザーと比べると何倍も利用しており、基本料以外のデータ収入についても期待できる」とした。
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10月の加入状況
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11月7日までのデータも
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■ SIMロック解除は今後検討
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新スーパーボーナスで905SHを購入した場合の支払い額
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1年コース、1年半コースも紹介された
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料金に関する点については、質疑応答中には、幾度となく、「裏はない」「いかがわしさはない」「嘘偽りなく提供する」とアピールしていたほか、予想外割に関してあらためて同氏からプレゼンテーションが行なわれた。新スーパーボーナスなどをあらためて説明した同氏は「米印(※のこと)は最近恐怖症になっている。隠しているわけではない」と笑いながら述べ、各種条件を逐一説明した。
新スーパーボーナスでは、端末を割賦販売することになる。孫氏は「これまで日本の携帯電話販売では、慣例として奨励金を出して店頭価格を安くしていたが、半年や3カ月、1日で解約して次の機種へ乗り換える人がいる。そうすると、他の大半のユーザーにしわ寄せがある。そこで割賦販売を導入した。ゴールドプランで長期間使ってもらえるのであれば、その分、メール代などを無料にするというのが主旨だ」と、あらためてその目的を説明した。
11月10日からは、1年契約コースと1年半契約コースが導入されることが明らかにされていたが、今回、その概要が紹介された。それによれば、2年コースでは端末代金を24分割しているが、1年コースでは12分割、1年半コースでは18分割することになる。どのコースでも特別割引額は同じとなっており、たとえば「705P」を購入する場合の端末代金は、一括払いの場合は49,920円、2年コースは1カ月分が2,080円、1年半コースが2,780円、1年コースは4,160円となる。新スーパーボーナスによる特別割引は、2,080円となっているため、2年コースのユーザーは実質月額負担が0円、1年半コースは700円、1年コースは2,080円となる。また、一括払いしていた場合も特別割引は適用され、毎月2,080円安くなる形になる。
さらに端末代金を支払った後にSIMロックを解除するかどうか尋ねられると「それは今回、初めて指摘された。確かに払い終わった後は、1年~2年利用してもらえば、端末資金を回収する必要がないことになる。今後検討したい」と語った。
■ 料金プランもあらためて説明
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ブループランとオレンジプランも紹介
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ゴールドプランは、仲間での利用を推奨するという
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また、ブループランとオレンジプランについては、他社より210円安いコースとしているが、仮に他社が値下げしてきた場合、24時間以内に追随するとされている。孫氏は「発表はすぐ行なうが、システム改修などが必要になるため、実際には少し遅れて開始することになる。その場合、原則的に発表日に遡って値下げを適用したい」との考えを示した。また、同氏は「EメールやWebを利用する場合は月額315円の『S!ベーシックパック』を契約するなど、各種オプションが用意されているが、このオプション料金は“他社の値下げを追随する”というコミットの対象外だ」と述べた。
ゴールドプランについては、「ほとんどのユーザーは通話相手が1人か2人。ゴールドプランは、いわば“仲間ケータイ”とも言うべきもので、友人同士など仲間内で加入してもらうと、非常にお得。1日あたり3分以上話す人にお勧め。他社の料金プランなどあらゆるケースを想定しているが、家族向け割引サービスや長期利用による割引などを組み合わせて最も安くなっている人でも、1日6分以上話すのであれば、ゴールドプランのほうが安い」とした。
同プランでは21時~25時の通話が月200分まで無料となっているが、これについて同氏は「通話料の設定は30秒21円としているが200分も話せば8,000円以上になる。30秒21円という設定は、他社のプランでは最も安い料金プラン(プランSS)と同じ。既存の数十万のユーザー動向を見ると、21時になる前にピークが来ている」と述べ、そのメリットをあらためて説明した。
このほか、ウィルコムのほうが安いのではないかという指摘について「ウィルコムはPHSで別の世界のもの」と述べたほか、電気通信事業法などに違反するとの指摘があることについては、「誰でも今回の割引は活用でき、ユーザーには公平なもの。また、加入すると2,880円という割引料金が適用されるが、これは二重価格ではない。複数の弁護士事務所に相談済で、電気通信事業法に抵触するという懸念はまったくない」とした。
また他社や各種メディアから批判されたことについては「反論しなかったのは、それが大人の対応ではないと。少し大人になりたいソフトバンクということ」と冗談めかした後に続けて「創業以来、これまでも4年に1回程度のスパンで、大きく批判される時期が巡ってくる。そこまで言われなくても、と思うことがあり、今回もそういう気持ちを抱いた。ペテン集団ソフトバンクなどと表現するメディアもあった。ただ、私はあらゆる艱難辛苦があってこそ器が大きくなると思う。たとえばブルーとオレンジの2プランだけ発表していればシンプルだったが、それでは携帯電話事業に志を持って参入したことにならない。批判は真摯に受け止め、どんどん改善する。批判は足りない部分を改めるために必要なプロセス。何もないのが一番だが、チャレンジ精神だからこその荒削りの部分と見てもらえればありがたい」と回答した。
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ゴールドプランの通話料設定は30秒21円だ
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「キーワードは3分」と紹介された
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■ URL
ソフトバンク 決算報告書
http://www.softbank.co.jp/irlibrary/results/
(関口 聖)
2006/11/08 22:50
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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