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NTTドコモ代表取締役社長の中村維夫氏
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NTTドコモは、2006年度第1四半期連結決算を発表した。
営業収益は前年比2.7%増の1兆2,186億円、営業利益は5.2%減の2,727億円、税引前利益は22.4%減の2,744億円、当期純利益は21.3%減の1,635億円の増収減益となった。営業収益のうち携帯電話収入は前年比3.5%増の1兆654億円となっている。
営業収益では、携帯電話収入が364億円上昇したものの、今回新たに「2ケ月くりこし」の失効見込み額として約300億円を計上したという。
「過去2年に渡る経験から、月800億円から900億円が繰り越し対象となるが、そのうち600億円程度が翌月に繰り越され、失効は300億円程度になるということがわかった。経理処理の手続き上の問題もあり、今回は300億円を失効見込み額として計上したが、次期四半期からはこうした突出した金額を計上することは無くなる」(NTTドコモの坪内和人取締役執行役員)とした。
また、第1四半期は、国際サービス収入の増加が特筆でき、国際サービス収入全体で前年同期比43%増、国際ローミングサービスだけで68%増という高い成長となった。音声で136カ国、パケットで77カ国のローミングサービスが可能になったこと、対応端末が7機種に増加したことも影響している。
営業利益は前年割れとなっているものの、通期予想に対する進捗率は33.7%となっており、予定通りに進んでいることを示したほか、税引前利益はおよび当期純利益が大きく減少しているのは、前年同期にハチソン3G UKの売却益で620億円を計上しており、その反動としている。
営業費用に関しては、前年同期比464億円増加。そのうち、端末販売関連経費は284億円となった。同経費は、端末機器原価と代理店手数料で構成されるが、端末販売数が前年同期に比べて12万台増加したこと、単価が高いFOMAの比重が90%弱を占めるといったことが影響している。
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第1四半期の業績概況
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業績のポイント
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解約率の低減
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MOUは145分
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同社の中村維夫社長は、「なかでも、高機能モデルである900シリーズの比重が63%を占めている。2005年度は、5,000万台突破キャンペーンなどを行なったことで関連経費が高くなっているが、今年度はMNPがあっても、端末販売関連経費をかけるつもりはない。当初予定したところに収れんしていくだろう」と語った。
端末機器の原価低減については、「単価を引き下げやすい700シリーズの比重を高めることが重要。それが、代理店手数料の引き下げにもつながる。900シリーズは、新たな機能を次々と搭載していくことになるため、原価は横ばいが精一杯だろう」(中村社長)とした。
一方、解約率が大幅に低減しているのも第1四半期の特徴となった。この四半期の解約率は0.64%と、前年同期に比べて0.16ポイント減少。過去最低水準を更新することになった。「5月、6月は、それぞれ0.60%となっており、これはあまりにも低すぎると考えている。MNP導入を待っている人がいると考えた方がいいだろう」とした。
MNPに関しては、「調査を行うたびに、メールアドレスが継続できないことなどがわかり、移行するという比率が減っている。通常、年間で200万件が移行しているが、今年度はMNPによって、3~4割程度増えることになるだろう」と予測した。
第1四半期は純増シェアで49.1%を獲得し第1位を確保したこと、FOMAへのマイグレーションが進展し、6月18日にFOMAの契約比率が50%を突破したこと、パケ・ホーダイの契約者数が6月末で691万契約となり、FOMA契約者全体の26%に達したことなどを挙げた。
また、「純増シェアでは年間45%の獲得を目指しているが、第1四半期はそれを上回る実績。FOMAの契約数は6月末で2,622万契約、契約比率で50.7%に達している」として、FOMAの今年度末の目標である3,500万契約、契約比率66.2%の計画に向けて順調に推移していることを示した。
現在、同社では、MNPにおける競争力強化のための重点施策として、FOMAの基地局を過去最大の規模で増設しており、今年度末には前年比1.5倍まで増加させる計画。「今年秋には、movaのカバーエリアを上回る水準になる」としており、FOMAビジネスの拡大に意欲を見せた。
なお、MOU(1契約あたりの月間平均通話時間)は、前年同期に比べて4分減少の145分。ARPU(1契約あたりの月間平均収入)は、40円減少の6,900円となった。今年3月から「パケ・ホーダイ」の利用可能プランを拡大したことで、定額利用者の低プランへの移行が進んだこと、キッズやシニアの利用拡大が、MOUやARPUの減少につながっていると見ている。
おサイフケータイの6月末時点での契約者数は1,380万、DCMXの契約数は7月末時点で45万。また、iチャネルの契約数は、6月末時点で460万契約となり、45%の端末に同サービスが付加されたという。「DCMXは今週末には50万契約に達するだろう。立ち上がりは順調だといえる」としている。
■ iメニューにGoogle、ワンセグ端末を4~5機種投入
一方、同社では、今年10月から提供開始を予定しているiメニューサイトの検索サービスにおいて、新たにGoogleの利用が可能になったことを明らかにした。これにより、10社の検索サービスが利用できることになる。
また、ワンセグ放送受信機能を搭載した端末を4~5機種発売する計画も明らかにした。
「ワンセグ機能搭載端末は、すでに10万台の出荷実績があり、当初の想定よりも多くの人に受け入れられている。また、従来に比べて、2分の1、3分の1のコストで、ワンセグ機能を搭載できるようになった点も大きい。顧客の好みにあわせて機能を搭載した機種を投入したい」とした。
WiMAXへの対応については、「実証実験の免許がおりていない段階」としたものの、「隣の周波数となる船舶通信との干渉や、データ通信の品質などに関して、NTTグループ全体として実験を行う準備を進めている」と語った。
NTTグループの中期方針でも重点課題と掲げられたFMCに関しては、「NGNによって、携帯電話と固定との連動が促進され、ワンナンバーで提供できるようになる。だが、そのワンナンバーは、090で始まる番号でやりたいというのがドコモの考え方であり、その点ではNTTコミュニケーションズとは競合する状況にある」などとした。
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コアビジネスの強化
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■ URL
2006年第1四半期の決算概況
http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/investor_relations/referenc/h1901k/messag_j.html
NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/
(大河原克行)
2006/07/28 18:32
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