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ドコモ、MNP導入への危機感が漂う株主総会

NTTドコモ 代表取締役社長の中村維夫氏
 NTTドコモは6月20日午前10時から、中村維夫社長を議長として、都内のホテルで定時株主総会を開催した。

 冒頭、平田正之副社長が、2005年度の営業報告、決算報告などを説明。2005年度は、戦略的な料金改定の実施、端末ラインアップの強化、サービスの充実、ネットワークサービスの品質改善に取り組んだことを示しながら、昨年11月からFOMAサービスとmovaサービスの料金体系を統一した新料金プランを導入したこと、おサイフケータイの新たな決算プラットフォームであるiDサービスを開始したことなどについて触れた。

 また、同社のグループ会社において、取引先情報が入った外部記録媒体の紛失および顧客情報流出事故が発生したことに関して、「株主のみなさまに多大なご心配と、ご迷惑をおかけしたことを深くお詫びする。その後、外部記憶装置の管理を徹底し、Winnyなどの不適切なソフトを業務で利用するパソコンから排除するといったことを行なっており、再発防止に向けて取り組んでいる」とした。

 さらに、今後の取り組むべき課題として、新たな収入源の創出に向けた取り組みをあげ、今年夏にもHSDPAによる高速パケット通信を生かした新サービスの提供を開始すること、トラフィックに依存しない新たな事業領域として、iDサービスに対応したDCMXによる各種サービスを提携事業者と連携をとりながら積極的に展開する姿勢を示しながら、「マルチメディア化、ユビキタス化、クローバル化の3つを軸に展開する」と説明した。


ドコモ中村氏「MNPに特効薬はない」

代表取締役副社長の石川國雄氏
 事前に受けた質問に対する一括回答として、石川國雄副社長が説明を行なった。

 今年秋から開始されるナンバーポータビリティ制度導入に関する影響については、「過去のデータから見ると、他事業者から転出、転入しているのは年間約200~300万契約。ナンバーポータビリティ制度の実施当初は、一時的に、これが2~3割程度増加すると見ている。だが、他の事業者に変更すると、これまで使っていたメールアドレスが変わってしまうこと、長期割引特典が受けられなくなることなど、中期的には影響は収束していくと考えている」という。

 同社では、ナンバーポータビリティ制度によって、ドコモからの流出が増加するとの各種調査結果に対して、「ポイントの継続や、メールアドレスの継続利用を考えれば、こうしたアンケート結果はそのまま当てはまらないと考えている」(大田賢嗣取締役執行役員)としたが、株主からは「経営陣は楽観視しすぎているのではないか」という指摘も出た。

 中村氏は、「ナンバーポータビリティに対する特効薬はない。しかも、今年秋の開始ですぐに終わるのではなく、その後もずっと継続する制度である。ドコモは過去2年間に渡って、顧客視点によって、料金改定や魅力的な端末の開発や、新サービスの提供に取り組んできた。当社の場合、他社に比べてシェアが高いため、同じ解約率でも実際に解約される件数が2倍になるということも認識している。新しい端末や新しいサービスを提供していくことで、これを乗り越えたい」と語った。


ソフトバンクの参入も、総合力で顧客維持

代表取締役副社長の平田正之氏
 また、一括回答のなかでは、ソフトバンクによるボーダフォン買収の影響および新規事業者参入の影響についても触れ、「使いやすい料金体系、ネットワークの高い品質、魅力的な端末およびサービスの提供、アフターサービスの強化、お客様対応力の向上といった点での当社の総合力を生かしたい。総合力こそが、既存の顧客を維持し、新たな顧客を獲得するための最大の方策となる。2007年3月期の純増シェアは前年同様の水準を確保できるだろう」とした。

 さらに、新たな収入源に対する取り組みとして、クレジットサービス事業を取り上げ、「今後3~5年で1,000万人程度の会員獲得を目指し、年間500~1,000億円程度の収入を見込みたい」と説明した。

 質疑応答では、株価が低迷していることについての指摘や配当に関する質問のほか、経営陣の保有株式数の増加が、直接経営陣のモチベーションを高め、業績の向上につながるのではないか、などといった提案が相次いだ。

 また、おサイフケータイが利用できる場所が少ないとの指摘があり、これに対して、取締役常務執行役員の辻村清行氏は、「現在、おサイフケータイのリーダー・ライターは3万台であり、まだ足りないという認識はある。これを今年度末には5倍の15万台としたい。すでに設置をお約束いただいているところを含めると30万台に達しており、ローソンが来年度中に全店に設置し、ファミリーマートも同様に全店に設置、イオンも4月から設置を開始する。JR東日本に関しても、来年3月には地鉄や地下鉄との乗り入れも可能になり、おサイフケータイを利用する人が増加するだろう」と述べた。

 音楽配信でauに遅れをとっていることについては、「音楽配信では、auが強いコミュニケーションを行なっている。だが、遅れていた『着うたフル』の分野でも今回追いつくことができ、さらに今年度からはauにはないサービスとして、ミュージックチャンネルを開始する」と巻き返しに意欲を見せた。


FOMAの通話エリアがmovaエリアを上回る

 先頃、契約件数でmovaを抜いたFOMAの通話エリアに関しては、「今年9月末には、movaの通話カバーエリアを、FOMAの通話カバーエリアが超えることになる。JRには4,565駅があるが、movaではすべての駅での通話はできないが、FOMAではすべてをカバーする。また、大学や高専、道の駅やサービスエリアのすべてを、FOMAではカバーすることになる」として、mova以上の通話エリアを実現することを明らかにした。

 一方、テレビ電話機能の利用料金が高いとの指摘に対して、取締役執行役員の伊東則昭氏は、「ドコモが強いテレビ電話、という売り込みをしていきたい」と前置きしながら、「現在、FOMA契約者の約1割がテレビ電話の利用者が使用する情報量が多いため、その分のネットワークコスト負担をいただいており、音声通話に比べて、料金は1.8倍程度になっている。料金を含めて、使いやすい環境を整え、さらに普及させることが必要だと考えており、貴重な意見としたい」と語った。

 クイックキャストサービスが、2007年3月31日で終了することに関しては、事業が赤字化していることや、施設の老朽化と維持のために膨大なコストがかかるため事業継続が困難であることを説明しながら、中村氏は、「苦渋の決断によるもの。施設が老朽化しているのが最大の原因だが、同報通知ができる代替サービスを提供できることで、利用者の方々には大変申し訳ないが、サービスを停止する。十分な衆知期間を設け、所有者の財産権を含めて納得してもらうような形で進めたい」と述べた。

 海外展開についても中村氏が回答。「端末機の調達コストをどう安くしていくかという点が重要になっており、その点では日本でのボリュームだけでは少ない。同じ端末を多く調達するという、コスト面でのメリットを求めたアライアンスが、国際戦略の柱になる」とした。

 一方、ユニークなものとしては、広告にKAT-TUNを採用している理由について問いただす質問があり、「若い人たちに対して、ドコモのイメージが弱いということもあって採用したところ、成果があった。ただし、多くの人たちに認知していただくには、これだけでは駄目で、別に宮里藍さんなども広告に採用している。できるだけ幅広い人に支持されるタレントを使いたい」と回答した。

 なお、今回の総会では、自己株式取得や定款の一部変更、取締役13人および監査役1人の選任のほか、取締役および監査役の退職慰労金制度廃止に伴う打ち切り支給、および取締役などへの報酬額改定などが議案にあがり、すべて議決され、午後1時過ぎに閉会した。

 なお、前日までの議決権行使のうち、インターネットを通じた議決権行使は5,755人で行使株主数全体の5.1%、議決権行使数の31.6%に達した。また、そのうちiモードによる議決権行使は1,126人、行使株主数全体の1.0%、議決権行使数の0.1%となった。



URL
  NTTドコモ IRサイト
  http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/investor_relations/top_j.html


(大河原克行)
2006/06/20 14:15

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