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ドコモの決算発表、2006年度への取り組みも明らかに

NTTドコモ中村社長
 NTTドコモは4月28日、2005年度連結決算を発表した。営業収益は前年比1.6%減の4兆7,659億円、営業利益は6.2%増の8,326億円、税引前利益は26.1%減の9,523億円、当期純利益は18.3%減の6,105億円となった。

 営業収益のうち携帯電話収入は前年比112億円増加の4兆1,581億円。これまで料金値下げが続いてきたものの、それが一段落するとともに、movaからFOMAへの移行が促進されたことで、ARPUが増加したことなどが要因となった。

 また、営業費用は、前年に比べて1,272億円減少(3.1%減)の3兆9,332億円となったが、端末販売数の減少に伴い端末販売関連経費が680億円縮小したこと、2004年度にはPHS事業の減損損失を604億円計上していたことなどが影響している。

 NTTドコモの中村維夫社長は、「2005年度通期の解約率は0.77%となり、1%を切った。第4四半期に関しても0.75%という水準で推移した。また、年間純増シェアに関しても、48.4%と第1位を確保。各種のリテンション策が浸透している成果だ」と語った。また、MOUやARPUの減少率が下げ止まっており、「パケット利用の増大とともに、高利用ユーザーの囲い込みにも成功している」とした。

 プッシュ型配信サービスのiチャネルは、サービス開始から7カ月間で200万契約を突破。端末付加率は43.5%と、同社の収益確保にも貢献。「2006年度末には500万契約の突破を見込みたい」という。なお、プッシュトークは、対応端末が290万台。3月単月の利用者は42万人に達したという。

 一方、2006年度の業績見通しとしては、営業収益は前年比1.5%増の4兆8,380億円、営業利益は2.7%減の8,100億円、税引前利益は14.1%減の8,150億円、当期純利益は20.1%減の4,880億円と、増収減益の予想とした。

 携帯電話収入は、料金改定の影響によるARPUの減少があると見られるものの、契約数の増加を見込んでおり180億円の増加。端末機器の販売収入はFOMAの販売比率の増加などにより、570億円増加するとしている。

 FOMAは、「2006年度がマイグレーションのピークになる」(中村社長)として、2005年度末に2,346万契約、45.9%の構成比となっていたFOMAを、2006年度末には、3,500万契約に拡大させる計画を示した。これにより、構成比は66.2%となり、全体の3分の2がFOMAになる見込みだ。

 また、営業費用は前年比950億円増の4兆280億円。そのうち、端末販売関連経費が約580億円増加、減価償却費がFOMAエリアの充実などにより約160億円増加するとしている。減益は税金の期延べの問題、海外企業への投資、DCMXに関わる運用費用の増加などの影響をあげている。


2006年度事業の3本柱

決算概要

中村社長(左)と宇垣常務(右)
 中村氏は、2006年度の事業の柱として、(1)コアビジネスのさらなる強化、(2)新たな収入源の創出、(3)コスト削減への取り組み、の3本を掲げた。

 コアビジネスのさらなる強化としては、多彩なメニューによる競争力強化を掲げる。3月から利用可能プランを拡大しているパケ・ホーダイの契約者数が559万契約に到達し、5月にはすでに月40万契約の予約が入っているなど、契約者数が増加していることを示したほか、昨年11月からスタートした新料金プランについても、すでに1,886万契約に到達。プラン契約率は37%に到達しているという。

 こうした料金サービスに加えて、FOMAシリーズのうち35%の比率を占めている700シリーズの比率を40%に引き上げるほか、コンセプトモデルの強化拡充を図っていく考えを示した。

 コンセプトモデルとしては、ワンセグ対応機のP901iTVが64,000台と予想を上回る実績で推移していること、キッズケータイのSA800iが2カ月で12万契約に到達したことをあげた。「キッズケータイのうち、90%が新規契約であり、新規顧客の獲得といった点でも効果がある」(中村氏)としている。

 さらに、サービスでは、電池パック無料サービスが約140万件に達したのに加え、無料故障修理サービスの利用がこれまでに40万件に達したことで、「こうした取り組みも解約率の減少に効果をもたらしている」とした。

 中村氏は、今年夏にも開始する予定のHSDPAについても言及。「下りで3.6MbpsというFOMAの10倍の速度を実現するサービス。東京23区から順次サービスを開始し、2006年度末には全国の人口カバー率を約70%にまで高めたい。FOMAと同じ料金体系でサービスを行ないたい」と語った。

 一方、新たな収益源の創出としては、通信インフラ、ITインフラに続く、第3の成長期に向けた生活インフラへの投資が必要だとして、「決済・商取引領域」、「放送領域」、「コンテンツ・インターネット領域」、「グローバル領域」、「携帯電話周辺技術領域」の5つの分野に対する投資を強化していく姿勢を示した。

 とくに決済・商取引領域に関しては、今日からサービスを開始したDCMX miniを含めたDCMXの会員目標を今後3~5年で1,000万人に拡大するほか、iDのリーダー/ライター端末を2006年度末には15万台に拡大する計画などを示した。

 現在、おサイフケータイが利用可能な携帯端末機は1,180万契約。そのうち、アクティブなユーザーは約30%。2006年度末には1,800万の対応端末が普及すると予想している。

 そのほか、国際ローミングや国際端末の拡充を図り、2005年度末には250億円の国際サービス収入を、2006年度末には400億円を超える規模に拡大させ、渡航先カバー率を99.9%に、そのうち3Gのカバー率を、現在の44.0%から55.4%に拡大する考えだという。

 一方、コスト削減への取り組みとしては、FOMA端末の低価格化を目指して、CPUのワンチップ化、プラットフォームの共通化のほか、海外ベンダーの端末機の導入、電池パック無料施策などによる端末取り替えサイクルの長期化、おサイフケータイの利用促進、販売チャネルの効率化、基地局の装置コストの低減、ネットワークのIP化などを図ることを明らかにした。



URL
  NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/


(大河原克行)
2006/04/28 19:32

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