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ドコモ中村社長、「今のワンセグではメリットなし」

中村維夫社長

NTTドコモ
中村維夫社長
 NTTドコモは30日、定例会見を開催し、同社の中村維夫社長が「今後、携帯電話の単価は引き上げられていくことになる」との見通しなどを語った。

 中村氏は、販売店に支払われる販売コミッションについて触れ、「これは市場のパイが膨らんでいる時のビジネスモデルであり、買い換えが中心となっている現在では、すでにそのモデルが破綻していると言えるだろう。急激には無理だが、徐々に単価は引き上げざるを得ない」との見方を示した。

 また、ワンセグ放送対応機が4万円前後で販売されていることにも、「ワンセグ搭載で約1万円の単価上昇となり、この程度の価格でないと無理。新たな機能の上昇分については、お客様にご負担いだくという形がいいと考えている」と語った。


2006年度上期には自社でクレジット事業を

 その一方で、中村氏は昨今のいくつかの取り組みについても言及した。

 WiMAXの実証実験に関しては、「技術的な実証実験として、NTTグループを代表して当社が取り組んでいる。2.5GHz帯と衛星移動システムとの干渉問題の評価なども行なっていく。この実験結果については、総務省の検討委員会や標準化団体などに公開していく」とした。

 また、おサイフケータイの普及にあわせてクレジットカード会社との提携を強めていることに対しては、「三井住友カードのほかにもクレディセゾン、UCカード、日本クレジットと提携したのに加え、2006年度上期には当社自身もクレジット事業に乗り出す。三井住友カードでは約2万店での利用を可能としたほか、クレディセゾンやUCカードも独自に利用店舗を増加させている。ファミリーマートやローソン、イオングループも導入を図っており、利用可能店舗の増加に弾みがついている。当社がクレジット事業に乗り出すことにより、これまで空白地帯だった少額決済での利用が可能になり、提携関係にあるクレジットカード会社との競合はないと考えている」と述べた。

 4月1日から開始されるワンセグ放送に関しては、フジテレビへの出資に続き、日本テレビと提携関係を持ったことに触れながら、「ドコモとして、通信と放送の融合にどう取り組んでいくのかを探っていきたい。2008年に向けて、サイマル放送の見直しで、どんなサービスができるのか、どんなビジネスモデルが構築できるのかも重要な課題。もし、別の放送を流すことができれば、そこで新たな広告が獲得できたり、有料での放送を行なうといったことも可能になる。今のサイマル放送では、携帯電話はテレビ受像器のままであり、メリットはない」などとした。

 海外投資では、先頃、グアム島やサイパン島などをカバーするグアムセルラーおよびグアムワイヤレスの買収を発表したが、「グアム島は17万人の人口であるが、年間160万人の観光客が訪れ、そのうち日本からの観光客が130万人。GSMの環境はあるが、整備が悪く、iモードのサービスもできない。また、グアムセルラーやグアムワイヤレスはCDMA2000を採用しており、ドコモがローミングができなくなるという問題もあった。今回の買収は、海外投資という意味よりも、ドコモの携帯電話をグアムでも利用していただき、空白地帯を作らないという国内競争の観点からの投資とも言える。韓国への投資も年間250万人の日本からの渡航者に対するサービスという同様の狙いがあり、国内競争に耐えられないという状況を無くすための投資」と位置づけた。


対ソフトバンク、「何が起きても驚かないように準備」

 中村氏は、投資戦略を5つの観点から捉える。

 1つめは、クレジット関連の投資だ。これは初期の立ち上げ時期ということもあり、積極的な投資を進めている。ただし、ある程度、広がりが加速する段階になれば、この投資は必要ないとしている。

 2つめは、インターネット関連だ。すでに楽天との提携を結んでいるが、「インターネットとモバイルとのつながりという観点から、これからも提携は増えていくだろう。楽天とはオークション以外にも提携の幅を広げていきたい」とした。

 3つめは、放送関連への投資だ。通信と放送の融合に向けて、必要に応じて投資を進めていく考えだという。

 4つめが、技術関連での投資で、ACCESSやアプリックスなどへの出資がこれにあたる。「iモードの技術を持つ企業など、iモードの基本ラインセンスを持つところをきちっと押さえていく」としている。

 5つめが海外投資戦略である。iモードの普及戦略を捉えた場合、欧州は技術ライセンスでの普及が可能だが、アジア地域はケースバイケースで出資が必要と思われる地域に出資戦略を推進する考えを示した。

 海外向けの端末としては、LG電子製とNEC製の「SIMPURE」シリーズの出荷を予定しており、手頃な価格の2台目向け製品として契約者数を増やしたいとした。

 一方、3月4日から出荷を開始した「キッズケータイ SA800i」は、昨日時点で8万弱の契約者数となり、「売れ行きは順調」とした。契約者のうち、約9割が新規契約者であり、小学生などの普及率が低いところで実績をあげているという。

 また、同社では子供向けに「ケータイ安全教室」を開催しており、昨年4月から全国で200回、4万人が受講。2006年度はさらに増やしていきたいとした。

 なお、ソフトバンクによるボーダフォン買収については、「当社の戦略に変化はないが、ボーダフォンはヤフーとの連携や、固定回線事業との連動、ADSL事業との連動など、様々な戦略が考えられる。どういうことが起きても驚かないように準備している」と語った。



URL
  NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/


(大河原克行)
2006/03/30 17:31

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