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KDDI代表取締役社長 の小野寺正氏
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KDDIは3月15日、社長定例会見を行なった。会見のなかで、KDDI代表取締役社長 の小野寺正氏は、「EZwebビジネスとフルブラウザ端末とは、将来に渡って棲み分けが可能だと考えている」などと語った。
小野寺氏は、記者の質問に答える形で、EZwebとフルブラウザ端末との差別化、フルブラウザ端末への取り組みなどについて次のように語った。
「現在、EZwebで提供されているニュースなどの情報系サービスは、無料のインターネットサービスに移行していくと考えているが、着うたフルやLISMO(au LISTEN MOBILE SERVICE)、EZ Book Land!などの有料コンテンツサービス、ダウンロードサービス、そしてオークションなどは、EZwebに残っていくだろう。EZwebは代金回収代行を行なっており、それが少額決済にも威力を発揮している。きちっとした品質で提供されるものが欲しいという利用者もいるはずで、それは我々がコントロールできるEZwebで提供されることになるだろう。そうした意味では、EZWebの利用と、無料のインターネットであるフルブラウザの利用は、将来に渡って共存できると考えている。ヤフーに関してもその影響を聞かれるが、私は決して脅威だとは思っていない。ヤフーがサービスを携帯電話にどう落とし込むか、品質をどう考えるかに注目したい。」
■ 最も欲しい機能はテレビだが、収入モデルは未確立
また、ワンセグ放送対応機については、「好調な売れ行きを見せているが、携帯電話事業者としての収入モデルがまだ確立できていない。FMケータイでは、放送局との話し合いによって放送と連動したショッピングサイトを用意するなどの取り組みを行なったが、こうしたものをワンセグ放送にも広げていく必要があると考えている。また今後、すべての端末にワンセグ放送の受信機能を搭載するかどうかは決めていないが、昨今では利用形態が多様化しており、かつてのカメラ機能のようにすべての機種に搭載することがいいとも考えていない。ただし、ユーザーが最も欲しい機能はテレビであるということは認識している」とした。
さらに、ワンセグ機能対応機やLISMO対応機が0円で販売されていることに対しては、「当社が支払うコミッションはほとんど変化しておらず、当社が乱売したということではない。0円で販売している店舗があることは認めるが、auショップではそうした販売はしていない。量販店などで特定の機種のコミッションや他社のコミッションを利用して、そうした価格設定を行なっているようだ。むしろドコモは、12月にコミッションを増やしたようで、当社は純増数で12月、1月、2月とドコモに負けている」と語った。
携帯電話事業については、「第3四半期の業績発表時点の線に乗っている。携帯電話事業は、端末機とともに、LISMOのようなサービス、着うたのようなコンテンツ、そして料金の4つが揃うことが必要。これがうまくハーモナイズしていることが好調の要因」と自己分析した。
■ 「TEPCOひかり」と「光プラス」の融合について
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1株当たりの配当を修正し増配へ
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配当額の推移
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15日付けで、期末配当金を3,500円から4,500円に修正し、年間配当を8,000円とした件に関しては、「固定事業は厳しい環境が続いているが、移動体事業は好調に推移しており、株主の利益還元を考えた。これで4期連続の増配となり、今年度は配当性向は20.5%となった。だが、業績連動型で増配したわけではなく、販売力強化、設備投資強化などの将来の動きを鑑みながら、配当性向で20%を目指し安定的な配当を継続したいと考えている」とした。
また、同じく本日付けで発表したジャパンケーブルネットホールディングスおよびジャパンケーブルネットの株式取得に関しては、「当社の役割としてインフラをきちっとやっていくことが大切であり、インフラがないところで上位レイヤーのサービスを行なっても限界がある。今回のCATV会社の株式の取得は、東京電力との包括的提携の動きのなかで、大株主からの打診があり、それを受けたという経緯がある。すべて現金で取得するが、具体的な金額は公表できない」と述べた。
会見では、東京電力の「TEPCOひかり」とKDDIの「光プラス」との融合や、今後のメタルプラスの事業計画などについても質問が出たが、小野寺社長は、「東京電力との話し合いは、諸般の事情もあり、やや遅れているが、お互いにメリットがある形で話し合いを進めている。メタルプラスは、GCの設置予定が遅れたことが原因で当初の計画は達成できなかったが、1月の修正値は達成できると考えている。遅れた誤算はあるが、お客様の反応はいい」と回答したに留まり、「固定通信事業に関する今後の戦略は、2005年度通期の決算発表の際に具体的にお話ししたい」と先送りした。
■ 小野寺氏「NTTの線路部門は分離独立すべき」
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「携帯の売れ行きが景気に影響されることはない」と小野寺氏
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一方、総務省が行なっている「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」において、設備投資に対する競争についての話し合いが行なわれていることに対して、「当社は公正な競争条件が整うということを前提に、設備投資の競争をすべきだと考えている。ドコモの分社後は、NTTはドコモに対しても、当社に対しても平等だと判断できる形で回線を提供している。だが、NTTのマイラインは70%以上のシェアがあり、ボトルネック構造があると考えている。NTTの線路部門は分離独立させるべきで、そうしなければ競争条件が整うとは言い難い」とした。
また最近の景気の回復感については、「かつては景気が上昇すれば、国際電話の利用が増えるといった影響があったが、携帯電話の売れ行きや固定電話の利用、国際電話の利用が景気に影響されることはない。また、金利政策についても、2000年時点では、2兆2,000億円の有利子負債があり、金利が1%上がれば200億円の金利負担に跳ね返ったが、いまでは有利子負債が削減され、金利の上昇が設備投資の抑制に影響するということはない」とした。
■ ソフトバンクのボーダフォン買収報道にはコメントなし
なお、ソフトバンクによるボーダフォンの買収に関しては、「現時点では新聞報道でしか状況がわからず、どんな手法で、どんな形で買収をするのかがわからない。そのため、買収が正式に決定し、そのスキームがはっきりとわかるまでは憶測となるため、回答を差し控えたい」としたほか、「ソフトバンクが買収した場合の影響などについても、今は不明なことが多く、コメントを出す段階にない」とした。
■ URL
KDDI
http://www.kddi.com/
ニュースリリース
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2006/0315b/
ニュースリリース
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2006/0315a/
(大河原克行)
2006/03/15 18:22
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