イー・アクセス代表取締役会長兼CEOの千本倖生氏は、エリクソンとの提携発表の記者会見において、「ソフトバンクのボーダフォン買収」についても語った。
■ ボーダフォン買収後、ソフトバンクは割当周波数帯を返上すべき
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イー・アクセス千本氏
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ソフトバンクがボーダフォンを買収する方向で検討しているという件について、千本氏は、「私は報道でしか情報を得ていない。コメントしようがない」としながらも、「あれだけ大きな話で、孫氏は大変立派だと思う。M&Aという形でリスクをとれるのは日本では孫氏だけではないか。日本の資本主義を一歩進めるという面において、孫氏に対して尊敬の念を持っている」と個人的な心情を語った。
一方、同氏は、「同じ新規事業者という点では、1.7GHz帯という周波数帯は、新規参入にのみ割り当てられている。あくまでも総務省で決定されると思うが、ソフトバンクがボーダフォンを買収するということになれば、将棋でたとえれば歩が金に成ったようなもの。1.7GHz帯割当の主旨からすれば、ソフトバンクは新規事業者ではなくなる。それについてはソフトバンクも、総務省もしかるべき対応をしていただきたい」と述べ、もし買収が決定するのであればソフトバンクは昨秋に割り当てられた周波数帯を返上すべきという意見を示した。
■ ドコモ分割案を示す
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イー・アクセス種野氏
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また、千本氏は、イー・アクセスがADSL事業を展開したことで、日本のブロードバンド環境が世界トップレベルとなり、無線通信でも世界に冠たるブロードバンドサービスを提供したいという同社モバイル事業の趣旨をあらためて説明した上で、「ドコモが半数以上のシェアを占め、1兆円もの利益を出している。これは、横綱だけいて、あとは前頭や幕下という構造で独禁法にも触れるかもしれない。これをユーザーが不思議に思わないというのも、世界的な競争環境からすれば異常と言える。このいびつな状況は移動体通信事業者の数が少ないから、という点よりも、マーケットのオープン性といった別の問題があるのではないか。我々の参入によって、各社のシェアを20~30%程度で競い合えるようにしたい」と述べた。
続いてイー・アクセス代表取締役社長兼COOの種野晴夫氏は「日本の移動体事業の歴史を踏まえると、ドコモは最初から全国展開できたが、他事業者は東京と他の地域では別会社、という展開となっていたりするなど、ドコモの独走を許した経緯がある。これはもう一度刺激を与えなければ、この構造は治らない」と述べ、新規参入の意義を強調した。
千本氏は「1つの案として、ドコモを分割するという考え方もある年間で1兆円という利益が問題にならないのはおかしい。NTTグループの利益のうち、ほとんどがドコモだ。もし機会があれば、ドコモ分割案を1つの案として提案したい」とも述べ、適正な競争環境をもたらす手法の1つとして、ドコモ分割案という考えを語った。
■ URL
イー・アクセス
http://www.eaccess.net/
(関口 聖)
2006/03/13 17:25
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