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ウィルコム、PHS MoU総会でW-SIMの魅力を世界にアピール

ウィルコムの藤井氏
 PHSの普及促進団体PHS MoU Groupは、2月28日から3月2日までの3日間、福岡で総会を行なった。最終日に行なわれたセミナーの中でウィルコムのグローバルビジネス部 課長補佐の藤井 聡氏は、ウィルコムのカード型通信モジュール「W-SIM」を紹介した。

 総会は海外からの参加者が多いため、まずはウィルコムの現在のビジネス状況から紹介された。日本における新規加入者率(全加入者に対する新規加入者の割合)が高いことを示し「ウィルコムはいま、消費者がいちばん注目している事業者」とアピールした。


加入者増加率。他キャリアが1%以下の中、ウィルコムの成長率は高い 加入者数の増加。DDIポケットからウィルコムに変わったあとから激増している

 続いてW-SIMの基本的な概要が説明された。W-SIMはSIMカードにアンテナなどの電波機器が内蔵されたものだ。藤井氏はW-SIMについて「既存のケータイではフォローできない、ポテンシャルマーケットがある。それを開拓するブレイクスルーがW-SIM。W-SIMは多用なニーズにこたえる少量多品種生産ができる。このビジネスモデルは世界のモバイル市場とは異なるものだが、ウィルコムはW-SIMで成功させる」と語った。


黄色い円で示されるポテンシャルマーケットを狙っていく 少量他品種のニーズがポテンシャルマーケットに潜んでいる

 通常のケータイは、無線部分・ハード・ソフトの3つで構成される。そのためケータイは無線部分の技術があるベンダーしか作れない。藤井氏は「これが世界の常識」と語り、それに対してW-SIMは「無線部分だけを分割しているので、おもちゃメーカーやパソコンメーカーなど無線部分の技術を持たないメーカーも作ることができる」とW-SIMの利点をアピールした。


無線部分を分離しているW-SIMの概念図。W-SIMは完成しているので、メーカーは無線部分を作る必要がない 余裕のできた開発力で、小さなニーズにも答えられる付加価値を作り出せる

 前日バンダイが開設した子ども向け端末にウィルコム回線が使用されることについて質問したところ、まだウィルコム側から詳細を発表できる段階ではないとしつつも、そうした端末にW-SIMを採用することは、開発のコスト・手間の面からメリットがあるとも回答を得られた。

 さらにユーザー側のメリットして、ウィークデーはPDA型ジャケットを利用し、週末はシンプルな音声端末型ジャケットを使い分けることもできるというコンセプトを紹介。さらにTTやDD、W-ZERO3などすでに日本で発売されているW-SIM製品も紹介した。その中で藤井氏は「通常のケータイは開発に1年くらいかかる。しかしW-ZERO3は6カ月で開発を行なえた」と語り、W-SIMが端末開発に有利なことをアピールした。

 これからのW-SIM自体の発展として、数MBのメモリを搭載した「Advanced W-SIM」、無線LANやBluetooth、GPS、ICカード、PKIなどの機能を付加した「Value Added W-SIM」などの可能性も示した。しかしその際も、すでに存在するW-SIMと互換性を保つよう、インターフェイス仕様はキープし続けることを強調した。

 さらに藤井氏は自身のアイディアにすぎないと前置きしながらも、GSM版や3G版のW-SIMが登場すれば、対応するジャケットの応用性も広がり、ウィルコム版のW-SIMもメリットを得られると語った。


将来のW-SIMの拡張について PHS以外のW-SIM、という藤井氏のアイディア

 しかし実際の問題として、ウィルコム以外のW-SIMを認めるかどうかは不明だ。W-SIMのインターフェイスをウィルコム以外が利用することに対して参入障壁を設ける可能性もある。この点については、まだ業界団体のWILLCOMコアモジュール フォーラムが発足したばかりということもあり、はっきり決まっていないという。

 藤井氏はW-SIMについて「日本の狭いマーケットだけではなく、中国のマーケットでも使って欲しい」と語る。海外からの注目も高く、講演後のQ&Aセッションでは総会に参加する海外企業からコストなどに関するさまざまな質問が寄せられた。藤井氏は「海外の企業でもマネージメントするので、興味があればコンタクトを取って欲しい」と語った。

 しかし実際に中国マーケットでW-SIMを導入できるかは難しい面もある。藤井氏によると、同じ機能の端末を作るのであれば、W-SIMを使うと開発コストは安くなっても端末自体の生産コストは高くつく。膨大なユーザーがいて安価さが求められる中国市場では不利だ。藤井氏はこの問題について「卵が先か鶏が先か、という問題」とも語る。膨大な中国マーケットでW-SIMが採用されば、W-SIMが大量に生産され、十分に勝負になるコストになるという。

 W-SIMを利用する端末(ジャケット側)は、ウィルコムが中心となって開発するのではなく、WILLCOMコアモジュール フォーラムに参加する企業などが、W-SIMのインターフェイス仕様情報の提供を受けて開発する。ウィルコムはW-SIMとW-SIMの中の回線を提供するだけで「ウィルコムとは関係ないところでどんどんW-SIM端末が作られるようになって欲しい」とも藤井氏は語る。WILLCOMコアモジュール フォーラムは1月に総会が開催され、現在は運営の取り決めなどがなされている段階だが、4月中旬には参加企業リストが公開されるなど、本格的に始動するという。


WILLCOMコアモジュール フォーラムについて。ウィルコムを介さず会員企業同士のコミュニケーションもありうる W-SIMを使った端末(ジャケット)の案


URL
  ウィルコム
  http://www.willcom-inc.com/
  WILLCOMコアモジュール フォーラム
  http://www.wcmf.jp/

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(白根 雅彦)
2006/03/02 13:07

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