ボーダフォンの新端末「Vodafone 904SH」の発表会では、新搭載されたいくつかの機能のデモンストレーションも行なわれていた。本稿ではそれらの新機能を紹介する。
■ Bluetoothを使った対戦ゲームやチャット
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Bluetoothを利用したチャットアプリ「ちかチャット」
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904SHは新機能としてBluetoothを使った対戦ゲームやチャットに対応している。これはBluetoothの通信機能でメッセージやゲームのデータを対応端末同士でやりとりするというもの。通信料金はかからないが、お互いの端末がBluetoothの通信距離(10m程度)の範囲内にある必要がある。ネットワークを経由しないダイレクト接続なので、レスポンスが早く即座にメッセージが伝わるというメリットもある。電池の消費度合いはまだ検証されていないが、発表会の説明員によるとBluetoothの電力消費は液晶の点灯やアプリ動作に比べると軽微で、連続起動時間は通常のゲームと大差はないという。
仕組みとしては、JavaアプリからBluetooth通信を利用できるようにしたもので、チャット機能もVアプリで作られている。従来機種では利用できず、対戦ゲームやチャットは対応機種同士でしか行なえない。2台~8台までの接続が可能で、8人までのチャットや多人数対戦ゲームにも対応可能だ。
チャットは「ちかチャット」というVアプリで提供される。利用イメージは、発信者がまずチャットアプリを立ち上げ、通信範囲内でBluetoothを起動しているユーザーを検索する。続いて発信者が受信者にチャット招待リクエストを送ると、受信者側でチャットアプリが起動する、という形式になる。
同機能を利用した対戦ゲームとしては、キューエンタテインメントの「メテオス・モバイル」、タイトーの「アルカノイド -LINK-」、ソニー・コンピュータエンタテインメントの「ピポサルアカデミ~ア ユニバーさるウォーズ」、サクセスの「VSリバーシ」の4つが発表され、それぞれ発表会でデモが行なわれた。いずれも体験版が904SHにプリインストールされる。
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サクセスの「VSリバーシ」。相手の番でも相手のカーソル移動まで見られた
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ソニー・コンピュータエンタテインメントの「ピポサルアカデミ~ア ユニバーさるウォーズ」
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キューエンタテインメントの「メテオス・モバイル」
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Bluetooth対戦ゲームについて
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ちかチャットについて
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■ URL
ニュースリリース(ボーダフォン)
http://www.vodafone.jp/japanese/release/2006/20060228_2j.pdf
■ 進化したモーションコントロールセンサーを使った電子星図
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新型モーションコントロールセンサーについて
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904SHには新型の「モーションコントロールセンサー」も内蔵されている。モーションコントロールセンサーとは、端末の傾きなどを計測する、三半規管のような機能を持ったセンサー。V603SHや804SHにも搭載されているが、904SHに搭載される新型のモーションコントロールセンサーは計測できる方向が増え、より高精度・広範囲の動きを計測できるようになった。
新型のモーションコントロールセンサーは、XYZの3軸方向の加速度と、3軸回転方向の地磁気、合計6軸を計測できる。加速度は平行方向のみで回転の検出はできない。しかし3軸の加速度を計測することで重力の方向、つまり「下」の方向を検知し、地面に対する本体の角度を検出できる。さらに地磁気で方位も計測する。804SHが搭載するモーションコントロールセンサーは加速度が2軸、地磁気が3軸(一部±90度)だったため測定できない角度が存在したが、新型センサーではそうした死角がなくなった。また以前のセンサーは測定データをデジタル化するチップが別途必要だったが、新型センサーはほぼ同じ大きさのワンチップで測定データをデジタル出力できるようになった。センサーはボーダフォンと愛知製鋼の共同開発とされている。
このセンサーの搭載により904SHは、ナビゲーション利用時の地図のヘッドアップ機能や、端末の動きを利用したゲームに対応する。さらに904SHでは、このセンサーを利用したVアプリ「星座をさがそ」の体験版が端末にプリインストールされる。
「星座をさがそ」は星座の位置を探し出す、いわゆる「星座早見盤」のデジタル版。モーションコントロールセンサーにより、904SHを向けたのと同じ方向にある星空を表示させる機能がある。日時も考慮されており、正しい位置に惑星も表示する。星座や惑星、恒星、星団などを検索し、それらがどこにあるかをガイドする機能もある。昼間の星空や地平線に隠れて見えない星も表示できる。発表会のデモを試した限りではレスポンスはよく、若干の遅れはあるものの端末の動きに合わせてしっかりと星図が表示されていた。
「星座をさがそ」は天文関係のソフトウェアや書籍編集を手がけるアストロアーツが開発している。プリインストールされるのは体験版だが、正式版も無料でボーダフォンから提供されるという。
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「星座をさがそ」のタイトル画面。最新の天文現象なども調べられる
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星図の画面。オリオン座をガイド中で、緑のラインの方向にオリオン座がある
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天体検索画面。星座だけでなく惑星も検索できる
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■ URL
ニュースリリース(ボーダフォン)
http://www.vodafone.jp/japanese/release/2006/20060228_4j.pdf
ニュースリリース(愛知製鋼)
http://www.aichi-steel.co.jp/topics/data/pdf/topics060228.pdf
愛知製鋼
http://www.aichi-steel.co.jp/
■ 顔を暗証番号代わりに利用できる「顔認証機能」
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顔認識認証について
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904SHには、あらかじめ登録した利用者の顔形状を端末の「カギ」に使う「顔認証機能」も導入されている。同機能を設定すると、端末を開いた瞬間に自動でカメラが起動し顔認証が行なわれる。顔認証が失敗すると、暗証番号を入力しない限りロックは解除されず、操作が一切できなくなる。
顔認証の速度はかなり速く、正しい利用者であれば端末を開きカメラが起動するとほぼ同時に認証が行なわれる。ただし発表会のデモを見た限りでは、カメラの起動まで1秒くらいかかっていた。また照明の当たり方によっては正しい利用者でもロックを解除できないケースが多かった。
顔認証の精度は「セキュリティレベル」として高中低の3段階から選択が可能。低に設定すると認証率は上がるが、他者を正規の利用者と誤認識する確率が上がる。逆に高に設定すると判定が厳しくなり、認識率が下がる。
なお、ロックがかけられるのは各種操作だけで、おサイフケータイ機能にはロックはかからない。顔認証機能には沖電気工業の顔画像処理ミドルウェア「FSE(Face Sensing Engine)」を採用している。
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顔認証利用時は、本体を開くたびにカメラが起動し、写真のように顔認証モードになる
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だいたい中央に顔がくるようにして顔を認識させる
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■ URL
ニュースリリース(ボーダフォン)
http://www.vodafone.jp/japanese/release/2006/20060228_3j.pdf
沖電気工業
http://www.oki.com/jp/
■ ナビやコミックビュアーも強化
904SHではこのほかにも、GPSを利用した歩行者ナビ「ゼンリンいつもナビ」や、マンガ閲覧ソフト「コミックサーフィン」の機能も強化されている。発表会ではこれらのデモンストレーションも行なわれていた。
「ゼンリンいつもナビ」では、新型モーションコントロールセンサーによる地図のヘッドアップ機能が利用できる。従来機種(903T)での地図のヘッドアップ機能は、歩いてきた履歴から地図を回転させていたが、904SHではより正確に地図を回転させられるようになった。また、地図の表示もVGA解像度で行なわれるようになった。解像度的には4倍になっているが、地図データはベクトル型のため、データ容量は増えていないという。
マンガ閲覧ソフトの「コミックサーフィン」は画像の表示速度が向上したほか、上書きせずに次のマンガを保存する機能や続きを簡単にダウンロードする機能などが追加されている。従来機種ではこれらの機能は利用できないという。システム的にはVGA解像度のコンテンツにも対応しているが、データ量の関係からVGA解像度のコンテンツを配信する予定はいまのところないとのこと。
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904SHでの「ゼンリンいつもナビ」
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従来機種(903T)での「ゼンリンいつもナビ」
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904SHの「コミックサーフィン」
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プレゼンテーション内で紹介された仮想空間を利用したコミュニティ「V-TOWN」のイメージデモ。804SHで行なわれていた
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■ URL
ボーダフォン
http://www.vodafone.jp/
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(白根 雅彦)
2006/02/28 21:08
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