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KDDI、au事業の好調を背景に通期予想を上方修正

小野寺氏

KDDI
代表取締役社長 兼 会長
小野寺正氏
 KDDIは、2006年3月期第3四半期決算説明会を開催し、2005年4月~12月の連結決算について発表した。

 営業収益は前年同期比1.6%増の2兆2,302億円、営業利益は6.2%増の2,576億円、経常利益は8.6%増の2,559億円の増収増益となった。昨年度売却したDDIポケットを除いた比較では、営業収益は前年同期比5.8%増の2兆1,074億円、営業利益は8.7%増の2,370億円、経常利益は10.9%増の2,307億円とさらに高い伸び率となる。

 小野寺正社長は、「収益、利益の数値とともに、事業展開も着実な成果をあげている。移動通信事業は引き続き好調で、固定通信事業の減収分を吸収した」とし、「こうした好調ぶりに加えて、10月から開始したツーカーからauへの同番移行や、1月のパワードコムの合併の効果を折り込み、期初予想の計画を修正する」と、2006年3月末の営業収益目標を2兆9,760億円から3兆410億円に上方修正した。また、営業利益に関しては、2,890億円と据え置いたが、移動通信事業を210億円増加、固定通信事業を210億円減少と、内訳を変更した。


連結

連結決算
 「パワードコムの効果は、営業収益で約250億円、営業利益で約10億円と見ている。今回の修正の要因は、auにおけるARPUが当初見込みの6,810円だったものを、予想よりも落ち込みが少ないことから7,000円としたこと、移動通信事業の累計契約数が2,503万契約から、2,528万契約と見込んだこと、さらにツーカーからの同番移行が約70万契約を目標としたことなどがある。また、メタルプラスは、前半に販売エリアが限定されたことでの契約の不調が影響して、50万契約減少の170万契約とした」(小野寺氏)という。

 当期純利益についての変更はないが、これは、ツーカーのPDC設備の減損損失、および固定系国内伝送路の減損損失であわせて1,000億円の損失を想定するものの、減損処理の税効果で実質的には約600億円のマイナスになると算出。これに対して、パワードコムの合併による法人税などの軽減分で約600億円のプラスを想定しており、相殺できるためと説明した。

 なお、ツーカーの端末販売は当面継続し、顧客の状況を見ながらPDCシステムの廃止時期を検討するとし、「休止時期は現時点では決定していない」(小野寺氏)とした。


営業収益の8割を占める携帯電話事業

移動通信事業

移動通信事業
 今回の好決算を支えたのは、やはり営業収益で8割を占める移動通信事業の好調ぶりだ。今回の決算からauとツーカーを一緒にして数値を発表することになったが、移動通信事業の営業収益は前年同期比7.5%増の1兆8,457億円、営業利益は30.7%増の2,996億円となった。

 12月末時点での累計シェアは、auが23.9%、ツーカーが3.5%の合計27.4%。純増シェアではauが63.8%、ツーカーがマイナス14.6%の合計49.2%となり、トップシェアを維持しているとした。

 auのWIN契約者は12月末時点で675万契約と着実に増加しており、定額制契約率は81%となっている。ツーカーへの同番移行も着実に進展しており、第3四半期(10月~12月)だけで35万。第4四半期も35万の移行を見込んでいる。

 「端末の販売台数は高い水準を維持している。ツーカーからの移行とともに、機種変更に対する優遇措置をとっており、これが予想を上回る形で推移している。解約率は1.11%と四半期としては最低の水準になっており、通期でも1.20%を目指す。解約率の低下は、着うたフルの貢献に加えて、家族割や長期の割引制度による囲い込みが功を奏している」(小野寺氏)という。当初の計画では、解約率は1.35%としていたが、今回、これを修正したことになる。

 また、販売コミッションの平均単価が、第3四半期には、ここ数年では最低となる3万5,000円の水準にまで減少。「新規契約よりもコミッションが少ない機種変更が増加した影響」と説明した。通期の見通しも当初は3万8,000円としていたものを3万7,000円へと修正した。しかし、販売数量が増加することを見越して、通期の販売コミッション総額については、当初予想の4,570億円から4,880億円へと増額修正した。


ARPU 解約率
ARPUの推移
解約率

固定事業、来年度には改善の見通し

固定通信事業

固定通信事業
 固定電話事業に関しては、メタルプラスの拡販および基本料金の2カ月減免措置などの影響で、営業利益はマイナス438億円の赤字となった。営業収益も前年同期比1.9%減の4,358億円となった。

 しかし、第3四半期には、メタルプラスのエリア拡大に伴い、開通が加速。48万8,000契約を獲得し、累計開通契約者数は116万5,000契約となった。

 小野寺氏は「上期は販売エリアが限定され、通期の見通しも当初の220万契約を170万契約へ、開局GC数も1,800局から1,450局に下方修正したが、着実に成果があがっていると判断している。来年度には赤字は減らすことができるなど収益性は改善していく。とくに音声系は増収に転じることができるだろう」などとした。

 固定通信事業の通期の見通しについては、営業収益は6,120億円から6,180億円へ上方修正。一方、営業利益はマナナス420億円の赤字から、マイナス630億円の赤字へと幅を広げた。

 「メタルプラスは、NTTに比べて安価であること、さらに一緒にADSLに加入する人も多く、料金とサービスの両面で訴求していくことができている」(小野寺氏)と、売り上げ増加の理由を分析した。

 一方、光通信事業に関しては、「東京電力と話し合いを進めている段階で、今後、具体的な施策を発表することになる。また光プラスの名称を変更することになる。しかし、販売が増えれば、赤字幅が広がる可能性がある」とした。


音楽で春商戦を勝ち抜く

 質疑応答では、堀江貴文社長の逮捕が世間を騒がせているライブドアと、公衆無線LANサービスに関してパワードコムが提携していることに関する質問が飛び、これに対して小野寺氏は、「この契約の支払いが遅延していることもなく、通常の顧客として対処しており、いまの段階でどうこうということは考えていない」とした。

 また、春商戦の動向については、「LISMOの発表とともに、7機種の対応製品を発表し、顧客の関心は高いと判断している。また、ワンセグ放送対応機も品不足気味となっている。こうした製品とサービスによって春商戦を勝ち抜きたい。ドコモやボーダフォンが音楽ケータイに熱心だとは思っていない。LISMOは、固定系と移動通信との連携サービスのひとつだともいえ、DUOMUSIC STOREによるダウンロードサービスも固定系のサービス強化のひとつになる」とした。

 なお、ソニー・エリクソン製のW32Sで、モバイルSuicaにバージョンアップによって対応することになった点に関しては、「ご迷惑をおかけしている。JR東日本のSuicaには、FeliCaとは違った技術仕様があり、JR東日本にも申し訳ないと話した。FeliCa搭載機種のすべてがモバイルSuica対応となるかどうかは今後もわからない」としたほか、「今週末からモバイルSuicaのサービスが開始されるが、いまは関東圏だけのサービスに限定されている。また、Suicaの機能を搭載することで利便性が増すために、このインフラに対応していくことが普通と考えている。モバイルSuicaが、急激にauの契約者数を増やす要素にはならないと判断している」と語った。



URL
  関連資料(KDDI)
  http://www.kddi.com/corporate/ir/presentation/

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(大河原克行)
2006/01/24 18:43

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