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Bluetooth SIGのエリック・シュナイダー氏
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Bluetoothの仕様を策定する団体「Bluetooth SIG(Special Interest Group)」は、アジア太平洋・日本担当マーケティング・ディレクターのエリック・シュナイダー氏の来日に伴って、Bluetoothの最新動向や日本の対応状況などを説明した。
近中距離無線通信技術のBluetoothは、携帯電話やパソコンに代表されるデジタル機器のほか、日米の自動車メーカーなどでも採用されている。国内の最近の携帯電話では、NTTドコモの「P902i」や「M1000」、auの「W32T」や「W31T」、ウィルコムの「WX310K」などでサポートされている。
Bluetoothの標準化を進める同団体には、エリクソン、マイクロソフト、モトローラ、ノキア、IBM、インテル、東芝、アギア・システムズの8社をプロモーターカンパニーとして、仕様策定に関わる約186社の企業、そして、3,500社に及ぶBluetooth機器開発メーカーが参加。日本を含むアジア・パシフィックでは、約1,300の企業が参加し、仕様の策定に関わるメンバーのうち、約半数がアジア・パシフィックの企業で構成されているという。
Bluetooth SIGでは、9月に相互運用性を高めるための認定プログラムを発表。11月には、Bluetooth対応機器がどのプロファイルに対応しているか判別しやすいように、製品に対応プロファイルを示すアイコン(エクスペリエンスアイコン)を掲載することなども発表された。シュナイダー氏は、「これまでユーザーから寄せられた苦情で、Bluetoothのロゴが製品にあったとしても、それがどの機能に対応しているかはわからないと言われた。アイコンによって、Bluetoothのどの機能に対応しているかアイコンだけでわかるようになる」と語った。
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エクスペリエンスアイコンについて
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実際の製品パッケージ
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複数のプロファイルがアイコンで確認できる
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こうした中で、現状について同氏は、「今や毎週世界で950万台のBluetooth機器が出荷されるようになった。今年末までに市場に設置されている台数も累積5億台を達成する予定だ」と説明。2005年はBluetooth SIGの予想を超える成果を挙げたとし、「2005年だけで3億5,000万台が市場に設置された。950万台という数字も6月までは1週間で500万台だったが、この4カ月間でほぼ2倍に増えた。この勢いを無くさないように2006年、2007年、2008年と新しいプログラムを出していきたい」とした。新しい分野では、自動車関係で40の車が標準やオプション装備としてBluetoothに対応しただけでなく、医療機器にも採用されたという。
1998年にスタートしたBluetoothは、現在、Bluetooth 1.0/1.1/1.2/2.0+EDRと4つのバージョンが投入されている。シュナイダー氏は「2007年までにあと2つ提供する」としており、ほぼ1年半のペースで新しいバージョンを提供していると話した。
また、低消費電力やアドホックネットワークをサポートするといった技術的なメリット以外に、Bluetoothが好調な背景には、ブランドの認知度が高い点を挙げ、「非常にクールなアプリケーションがBluetooth対応で出てくる」とコメント。提供数が大きいために、チップセットの価格が下がっている点なども強みだとした。
このほか、「Bluetoothがパーソナルネットワークの中でもっとも重要な技術となっている中で、UWB(Ultra Wide Band)テクノロジーなどもBluetoothと協業することで拡大しようとしている」とも語った。UWBとは、米国を中心に開発が進められている超広帯域無線技術。エリア範囲10m程度で400Mbps以上のデータ通信が行なえるとされている。
シュナイダー氏は、2005年に新しく出てきたBluetoothの使われ方を示し、音楽機能などを挙げた。「ステレオオーディオに対応したため、ヘッドセットで音楽が楽しめるようになった。車のスピーカーなどにもこうしたプロファイルが搭載されるかもしれない」とした。また、「携帯電話のカメラが高解像度となったため、携帯電話で撮影した写真をBluetooth対応プリンタでプリントする使い方もますます増えるだろう。現状では、携帯電話とパソコン、テレビなどをプリンタと繋ぐ良いアプリケーションがないので、その場合もBluetoothは使えるのではないだろうか」と語った。
このほか、将来的には「テレビのリモコンは赤外線が採用されているが、赤外線ではなくBluetoothを採用することで、テレビから番組表をBluetoohにダウンロードして、双方向のコミュニケーションも可能だ」とした。
近中距離無線では、UWBや無線LANもあるが、「似たような通信技術をBluetoothがまとめるようになるだろう」と語ったシュナイダー氏は、Bluetoothがアプリケーションレイヤーを担当し、UWBや無線LANを用途によって使い分けることで利便性が高くなるとした。
なお、ロードマップにある2006年度に発表予定のバージョンはほぼ作業が済んでおり、QoS、ペアリングの簡素化などが実現する予定だという。さらに、新バージョンでは、ソニーとPhilipsが展開する近距離無線技術「NFC(Near Field Communication)」などにも対応するとのこと。また、今後、UWB通信もサポートする予定だ。
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Bluetooth SIGの概況
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好調に推移するBluetoothの対応状況
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今後の普及のポイント
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Bluetoothのアプリケーションレイヤーの下に各通信技術が収まる
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次期バージョンの概要
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■ シュナイダー氏、「日本のヘッドセットは高いものばかり」
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モトローラの音楽プレーヤー搭載グラス
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最後に、シュナイダー氏に日本の展開について話を聴いた。
――運転中の携帯電話の利用が禁止され、日本ではヘッドセットにもっと注目が集まってもいい状況にありますが、Bluetoothのヘッドセットは依然として高い印象です。これはライセンス料が高いのか、それともまだチップの値段が高いせいなのでしょうか?
どちらも違います。ヘッドセットが日本であまり発売されていないことが問題だと思います。米国であれば、安いもので12ドルから購入できます。ただ、その値段の製品の質は保証しかねますが(笑)。25ドル程度のものであればごく普通に使えるはずです。チップセットの値段は下がっており、台湾や中国でBluetoothが伸びているのもこうした理由からだと思います。
日本市場で出ているものは値段の高いヘッドセットばかりで、その理由はわかりません。昨日秋葉原に行きましたが、私たちが訪れた店舗を見る限りでは、ヘッドセットの数が非常に少なかった。たぶん、日本人はお気に入りのブランドというものがあって、あまり知られていないブランドの製品は買わないのかもしれません。ただ、安いメーカーの製品が登場することで、ソニーやモトローラといった大手メーカーのヘッドセットなども値段を下げなければならなくなるのでしょう。
――インテルが進めるワイヤレスUSB(WUSB)はBluetoothの驚異となりますか?
WUSBはパソコンと親和性の高い技術で、あくまでホストとなるのはパソコンです。アドホック機能があるという優位性は我々の方があると思います。これから先、パソコン関連の機能としてはいいと思いますが、多様性の面ではBluetoothでしょう。
――日本ではBluetoothが普及したとは言えない状況です。この要因をどう判断していますか?
最大の理由は、Bluetooth対応型の携帯電話がほとんど無いからだと思います。多くの人にとって、Bluetoothの入門は携帯電話だと思います。日本の場合は、通信事業者がどの携帯電話を売るか強力にコントロールしており、そこにBluetoothが入っていないことが問題です。
実はこうした状況は米国にもありました。サポートをしなければならないため、通信事業者がBluetooth対応製品を出したがらなかったのです。ただし、Bluetoothが成熟してきたため、状況は変りました。日本でも同じようなことが起こると私は思います。
――それはいつ頃でしょう?
2006年度だと思います。携帯電話で音楽が聴けるものが増えて、Bluetoothのヘッドセットが増えるのではないでしょうか。ヘッドセットというと大人のアプリケーションといったイメージですが、携帯電話で音楽が聴けるとなれば、若者にとっては非常に重要でそこでBluetoothもブレイクすると思います。
――日本メーカーはBluetoothの採用に積極的だと感じますか?
日本のメーカーは新しい技術を取り入れることに前向きです。Bluetoothの場合は、かなり早い段階でソニーが対応携帯電話を投入しました。しかし、対応製品が少なかったために一度しおれてしまいました。
ただ、Bluetooth製品が増えたためにもう一度やろうとしていると感じています。先週のミーティングでは、4年間開催してきた中でもっとも多くの参加者が集まりました。携帯電話メーカーだけでなく、自動車メーカーなども参加し、同じ会社でもゲーム部門とオーディオ部門が参加するような状況でした。今は非常に良い感触を得ています。
――本日はどうもありがとうございました。
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欧州で発売されたO'NEILLのBluetooth対応バックパック。価格は20,000円程度
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ショルダーストラップに携帯電話の着信や、音楽プレーヤーの操作が行なえるコントローラーを搭載。iPodにも対応しているという
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バッグの背面部にソーラーパネルが搭載されており、機器の充電も行なえる
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Bluetooth対応のバーチャルキーボード
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■ URL
Bluetooth SIG(英文)
http://www.bluetooth.com/
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・ Bluetooth SIG、次世代版でUWBとの統合を狙う
(津田 啓夢)
2005/12/12 21:52
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