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NTTドコモ代表取締役社長 中村 維夫氏
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NTTドコモの中村 維夫社長は、9月29日、社長定例会見を行ない、今後、海外メーカー製の携帯端末を日本に積極的に導入していく方針などを示した。
会見の冒頭、中村氏は、9月に日米欧の投資家向け説明会を行なった際の反響に触れ、「純増シェアの増加、解約率の低下などに対しては一定の評価を得たものの、番号ポータビリティ、新規事業者参入といった不透明感のある部分についての関心が集まっていた」とし、「端末機およびコンテンツなどにおいても、お客様中心での事業展開を推進していることを説明して、理解いただけたと判断はしている」などとした。
端末に関しては、多機種化が進んでいる現状を説明し、「かつてのように1機種で何百万台も出荷するというものはなくなった。顧客の要求が多様化しており、それにあわせた製品が必要になってきた。メーカーは、ハードウェアプラットフォームの共通化など、コスト削減に向けた努力をしていく必要がある」とした。
多機種化の一環として、同社では、1セグ放送に対応した端末の投入を予定しているが、「年内~年初にかけて出荷できると考えている。ただ、単に放送を受信するというだけでは、受像器という範囲に留まり、当社にとっても魅力がない。放送局とのアライアンスによって、収益を確保できるビジネスモデルを構築する必要があるだろう」と話した。
FOMAの純増数が着実に増加していることに触れた同氏は、「8月5日には1500万契約を突破し、マイグレーションも順調に進んでいる。900iシリーズが7割、700iシリーズが3割となっており、当初見込んでいた6対4に比べると900iシリーズの比率が高い」などと説明した。
おサイフケータイについては、9月3日時点で、600万台を突破、8月末で2万4,000店での利用が可能になったこと、さらにauおよびボーダフォンが、「おサイフケータイ」の名称をそのまま利用したことなどに触れ、「サービスの差別化よりも、この環境をいかに日本に定着させるかに力を注ぐ」とする一方、「トルカといった新たなサービスを開始し、より使いやすい環境を提供する」とした。
さらに、11月から開始する新料金体系については、「9月5日からネット上で開始した受付や、コールセンターへの問い合わせも多く、約50万の申し込みがあった。10月1日からは、ドコモショップでの受付も開始されることから、かなりの利用者が新料金の方へ移行するだろう」とした。
■ 海外展開について
一方、欧州を中心に推進しているiモードアライアンスが好調に推移していることに触れ、9月にイスラエル、ロシアでのiモードサービスの開始、10月には英国でのサービス開始によって、13の国および地域でのサービスが行なわれるようになったほか、端末の共同調達なども一定の成果があがっているという。
「今後は、アジアでの展開が大きな鍵になる。その際には、欧州のようなアライアンスだけの関係だけではなく、出資していくことも必要かもしれない。どの程度の比率を持つかというのはケース・バイ・ケースだが、経営権を持つということが目的ではなく、iモードを広げるという意味で、先方に資金がなく、投資が必要な場合には、出資比率が高まる可能性もある」とした。
そのほか、海外メーカー製端末機については、「iモードアライアンスの成果として、第3世代、GSM、iモードの3つを機能を揃えた端末を、高品質で安価に調達することができるようになってきた。今は、日本主導の形で欧州に端末を出荷しているが、これから先は、海外メーカーの端末を日本で展開していくことも増えるだろう。その際には、日本のユーザー向けにさまざまな要望に応じたカスタマイズも必要だろう。すでに、モトローラやLGといったところが動きはじめており、むしろ、積極的に海外メーカー製端末をやっていきたい」とした。
音楽ダウンロードについては、FOMA900iシリーズ以降、20機種以上で対応していることを示したが、「ダウンロードのスピードに欠陥があると思っており、HSDPAになって初めてこの問題が解決されるだろう」とした。HSDPAについては、「今年度中に開発段階を終えて、2006年度にはサービスを開始する」とした。
■ 新規参入による混乱発生を懸念
質疑応答では、イー・アクセスの携帯電話事業への参入問題や、NTTグループとの固定電話の融合化などについて質問が集中した。
イー・アクセスが29日付けで申請を行なったことに関しては、「ソフトバンクを含めて、予定していた顔ぶれが揃った」と前置きして、「ローミングについては、イー・アクセスやソフトバンク側からは具体的な話はきていないが、3,000億円程度の投資でカバーできるのであれば、ローミングサービスは必要ないのではないか。また、当社のインフラを利用するといっても、緊急避難的なものであり、お互いがWIN-WINの関係を持つには、期間、地域、料金といった点で、条件が厳しいものにならざるを得ないだろう」と牽制。
さらに、「事業者の新規参入によって懸念されるのは、顧客の混乱が起きないかどうか、といった点。財務基盤や投資計画をしっかり見ていく必要がある。また、ファンドによる運営は、保有する設備は一体誰のものなのか、という点で捉えても、当社のやり方、考え方が大きく異なる。投資的な観点からファンドが運営されるだけに留まらず、その先には顧客がいることを忘れないでほしい」とコメントした。
携帯電話と固定電話サービスとの融合や、NTTグループの再編などについては、「固定電話と携帯電話の融合利用は法人需要を中心にこれから進展していくのは明らか。顧客からの要求も高まっていくことになるだろう」と位置づけ、「すでに、1台の携帯電話端末から、オフィスでは無線LANを通じて固定電話を利用し、外出先では携帯電話として利用するといったソリューションも提供している。これから増加するであろう顧客の要望については、万全を期して準備を進めていく」などとした。
また、「KDDIは、1つの会社で固定と携帯の双方を持っていることは強みになるだろう」とコメントしながらも、「当社が自前で固定の回線を調達するということはないし、NTTの回線を利用するとしても、料金体型やシステムが異なることから、単純には一本化できない。しかし、1台の端末で請求書が複数のところから来るというのも不自然だろう。システム統合を含めて、中長期的な視点で考えていくことは必要」と、ひとつの方向性を示して見せた。その際の電話番号の統合については、「これでないといけないというものはないが、自分の番号を持っているという点で携帯電話の番号が一番使いやすいかもしれない」などの意見を述べた。
なお、FOMAのデータ通信の定額制導入については、「ネットワークとの関連もあり、料金戦略だけで解決できる問題ではない。長い目で見ると、そちらの方向には行くだろうが、今すぐに動くということはない」とした。
■ URL
NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/
(大河原克行)
2005/09/29 19:32
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