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ドコモの第1四半期、減収ながら経費削減で増益に

NTTドコモ代表取締役社長の中村維夫氏

NTTドコモ代表取締役社長の中村維夫氏
 NTTドコモは、2005年度第1四半期(2005年4月~6月)の業績を発表した。営業収益は前年同期より2.8%減となったが、新規契約や機種変更の低下によって経費が削減され、営業利益・当期純利益ともに増益となった。

 同社では29日、都内で報道関係者向けの説明会を開催。代表取締役社長の中村維夫氏や、取締役常務執行役員の宇垣義昭氏が出席した。


減収増益の要因は端末販売数の低下

第1四半期決算のポイント

第1四半期決算のポイント
 同社の2005年度第1四半期の営業収益は、1兆1,871億円で、前年同期より2.8%(340億円)減となった。営業利益は2,876億円で前年同期比4.0%増、当期純利益は2,079億円で、前年同期比22.0%増となった。

 減収増益の要因として、中村氏は、携帯電話事業による収入が160億円のマイナスを記録した一方で、新規契約や機種変更の総数が前年同期より少なくなり、端末販売数で発生する手数料などが抑えられたため、営業利益が180億円のプラス、他の要因によって90億円のプラスを記録したことによると説明。なお、販売代理店に支払う手数料は昨年度の平均額と同じレベルという。

 今回の業績は、通期予想に対して35.5%の進捗率となっており、通期予想自体に変更はない。

 このほか設備投資額は、前年同期比12.3%増の2,107億円。このうち、FOMAに関する投資額は、全体の6割弱にあたる1,422億円となっており、901iSシリーズや700iSシリーズが対応しているFOMAプラスエリアの基地局は、全基地局数の約3%にあたる約700カ所になっているとのこと。全体の基地局数は、屋外に設置されたものが17,500カ所、屋内が4,100カ所となっている。

 中村氏は今後の課題の1つとして、端末の調達コスト低減を指摘し、LG電子との協業に触れたほか、ノキアなどとも話しあいを進めているとした。


決算状況 設備投資による基地局数の増加グラフ
決算状況 設備投資による基地局数の増加グラフ

オペレーションデータ

FOMAは1,371万件

FOMAは1,371万件

おサイフケータイは500万契約を突破

おサイフケータイは500万契約を突破
 第1四半期決算にあわせて、同期のオペレーションデータも明らかにされた。6月末時点における全契約数は4,943万件で、このうちFOMAは1,371万件(全体の約28%)、ムーバは3,571万9,000件となっている。前年同期と比べると、FOMAは199.1%増、ムーバは15.5%減となっており、中村氏は「ムーバからFOMAへの移行が順調に進んでいる」とした。

 また、おサイフケータイ(iモード FeliCa)の契約数については、6月末時点で約440万件で、7月22日には500万件を突破している。会見時には、iモード FeliCa端末にプリセットされている、電子マネー「Edy」の取り扱い件数にも触れられた。今年4月時点でEdy全体の取り扱い件数で930万件、このうちおサイフケータイによる取り扱い件数は69万件となっており、中村氏は「順調に推移している」との見方を示した。

 28日に発表された、JR東日本と協力したインフラ構築について中村氏は、「今後は他のサービスとの連携も視野に置きながら、開発を進めていきたい」とコメントしている。

 また、国際ローミングサービスであるWORLD WINGの契約数は、約620万件で、対応機種であるN900iGはこれまで約4万台販売されているという。グローバル事業からの収益は51億円に達しているとのことで、同氏は「今後も大きく期待できる」とした。


JR東日本との協業についても触れた グローバル事業の進展
JR東日本との協業についても触れた グローバル事業の進展

解約率は0.80%に
 数あるオペレーションデータのうち、中村氏が最も強調したのは、解約率だ。今期の解約率は、前年同期比0.26%減の0.80%となった。10~20代の若年層ユーザーをはじめとして、全体的に解約率が低下しており、0.80%という解約率は同社史上、最も低い数値という。

 その要因について、中村氏は「なぜ解約率が低下したか、その要因を量りかねている。来年にもスタートするとされる番号ポータビリティ制度を受けて、解約を控えているのかもしれないが、それはちょっと早すぎる気がする。0.80%のうち、0.1%は支払いが滞るなどで強制的に解約した分であり、今回よりも解約率を低下させていくのは難しいかもしれない」と語った。


電池パック交換サービスも好評という
解約率低下もあって純増シェアは好調だった 電池パック交換サービスも好評という

ARPUの推移

ARPUの推移
 1契約者あたりの月間平均収入を示すARPUは6,940円で、内訳を見ると、音声ARPUが5,120円、パケットARPUが1,820円となっている。前期(2004年第4四半期、2005年1月~3月)よりも20円アップしているが、今期より新たに国際関連収入がARPUに含まれている。ARPUのうち、今期の国際関連収入は30円となっており、前期と比べると実質的には10円の減少となっている。

 前年同期のARPUは7,400円で、その後、四半期ごとに7,340円、7,170円と減少傾向が続いてきたが、今回のAPRUが前期よりも10円の微減となったのは、減少傾向に歯止めがかかったと言える状況だ。

 また、MOU(Monthly minutes Of Use・月間利用時間)については149分となり、前年同期より3分減少したが、前期と比べると4分増加している。

 このほかパケット通信料の定額制プランである「パケ・ホーダイ」の利用動向も明らかにされた。6月末時点でのパケ・ホーダイ契約数は、約330万契約。FOMAユーザーのうち約24%が利用していることになる。また、FOMAの新規契約者のうち、約40%はパケ・ホーダイを選んでいるという。

 今回明らかにされた資料の中には、今後の製品ロードマップを示した図も含まれている。それによれば、8月2日に701iシリーズが発表されることが記されているほか、第2四半期以降に902iシリーズや、702iシリーズが投入される予定となっている。また、90Xiシリーズと700iシリーズの比率は、7対3であることも明らかにされている。


パケ・ホーダイユーザーは約330万 ロードマップ。8月2日には701iシリーズが発表されるという

新料金プランの狙い

新料金プランの狙い

新料金プランの狙い
 29日、ドコモはムーバとFOMAで統一された形となる、新たな料金プランを発表した。新プラン導入の狙い、経緯について中村氏は、「1年ほど前からずっと口にしてきたが、やっと落ち着いて手がつく状況になった。狙いの1つは、わかりやすさで、平日・夜間といった時間帯での区分や、距離での区分を無くして、課金体系を30秒単位に統一した。また基本料もあわせて値下げしている」と語った。なお、新料金プランが11月より導入されることに伴い、現在の料金プランへの新規受付は終了するが、現在のプラン自体は廃止されることはなく、まずはムーバからFOMAへ移行するユーザー、あるいは新規契約のユーザーが新料金プランに入ることになるという。

 新料金プラン導入とともに、割引サービスである「いちねん割引」も姿を変える。これまでは1年目で10%、5年目以上で15%と、1年ごとに割引率が拡大し、5年目移行のユーザーはずっと同じ割引率だったが、5年目以降も割引率が拡大する形にして、10年目以降のユーザーは最大25%の割引が適用される形になる。「いちねん割引」改定の狙いとして、中村氏は「長期契約のユーザーをさらに優遇するため」と語り、新料金プランとともに、他社との競争力につなげたい考えを示した。その一方で、auなど他社の料金プランは、今回の発表とは直接関係ないとした。

 また、新プランが今後どの程度、ユーザーに受け入れられるかという点について、中村氏は「2007年にはユーザーの8割程度が新プランになるのではないか。その時点で、現在よりも収益面で100億円程度のマイナスという影響があると見込んでいる」とした。


新規参入、固定との連携、通話定額などに対する考え

 KDDIがパワードコムを吸収合併するという一部報道(両社は「何も決定していない」とコメント)を受けた質疑応答では、中村氏は「メインは固定の世界だろう。個人的には通信業界が合従連衡していく中の流れと捉えている」とコメント。また、NTTグループで固定と携帯の融合を図る動きについては「まずは法人分野。やれる点はやっていこうと。(無線LAN機能搭載の)N900iLを提供しているが、わかっているのは屋内で固定、屋外は無線という形が典型ではないか。そこが最初に着手していくところだろう。それは現在の制度でも展開できること」と述べた。

 また請求書をNTT東西と一本化していく考えについては、「当社、NTT東西、NTTコミュニケーションズとそれぞれシステムが異なるだろう。本当にできるかどうか、大変な問題だと認識しているが、合算できるかどうか検討していく」と回答した。

 総務省が打ち出した方針により、新たな事業者が携帯電話事業への参入してくる見通しになったことについて同氏は、「以前もコメントしたが、携帯電話の世界はネットワークのウェイトが第一。まずは繋がるかどうかという点が重要で、次に携帯電話端末がユーザーの嗜好の中でどう受け入れられるか、といった点がADSLとは異なるところ。ただちに全体が大きく動くとは考えていない」と述べた。

 また、ソフトバンクBBやイー・アクセスが、新規参入を果たした際には既存事業者に対してローミングするよう求めている点について中村氏は、「携帯電話事業者はネットワークが命。これまでそこで競争しており、全国バンドを得るのであれば全国展開するというのが筋だ。ただし、ローカルの部分などは検討する可能性がある。つまり、基本は全国ネットだが、緊急避難的な処置はあり得るということ」と答えた。

 MVNOについては、「周波数に余裕があれば、そういうこともあり得るのだろう。しかしドコモは、1.7GHz帯の割当を求めるほどであり、そういう余地はない」として、他社に回線を貸し出す可能性は低いとした。

 このほか、23日に千葉北西部を震源とする地震が発生し、通信規制が行なわれたことについては「当日はあっという間に回復したが、PDC(ムーバ)ではパケット通信と音声回線を分離しており、FOMAでも来年度早々に(パケットと音声を)分離するという方向で、予定通り粛々と進めていく」とした。

 ウィルコムが5月に開始した音声通話の定額プラン。ドコモではその導入の是非は検討されているのか、中村氏はあっさりと「具体的には全く考えていない」とコメント。同氏は「パケット通信と異なり、音声の場合、1日24時間しかなく、どの程度ユーザーにとって魅力的になり得るのか疑問もある」と語り、現時点で音声通話の定額プラン導入の可能性はないとした。なお、特許庁のWebサイト「電子特許図書館」のデータによれば、同社は6月7日付けで「カケ・ホーダイ」という商標の登録を出願していることが明らかとなっている。



URL
  NTTドコモ 2005年度第1四半期決算概況
  http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/investor_relations/referenc/h1801k/messag_j.html


(関口 聖)
2005/07/29 18:22

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