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地下街で携帯向け地デジ放送は見られる? 総務省で研究会
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総務省で15日、「地下街等電波遮蔽空間における地上放送の普及の在り方に関する調査研究会」の第2回会合が開催された。
同会合は、その名の通り、放送電波が届かない地下街や地下鉄において、携帯電話向け地上デジタル放送(1セグメント放送、1セグ放送)を提供するにはどうすべきか、放送事業者や地下鉄事業者、地下街管理者、携帯キャリアなどの関係者が出席して、現状と今後の課題について話し合うというもの。第1回会合では、放送事業者からプレゼンテーションが行なわれ、電波が届かないエリアにおける技術的方策などが紹介された。
今回は、東京・八重洲地下街、神奈川・川崎地下街、北海道・札幌市の各地下街施設管理者のほか、東京都交通局(都営地下鉄)、東京メトロと地下鉄2事業者から、現状が紹介された。
電波が届かないエリアとされる地下街、地下鉄だが、現在はどこでも携帯電話・PHSが利用できる環境であり、一部では公衆無線LANスポットが整いつつある。また、防災や事故への対策として消防・警察無線、鉄道無線(指令無線)などが整備されている。閉ざされた空間内で無線通信が可能になっているのは、当然ながらアンテナや基地局といったインフラが設置されているためだ。
ただし、これらのサービスは、利用目的などによって管理者が異なる。事故発生などへの対策となる鉄道無線は、鉄道事業者が自前で導入したもの。一方、携帯電話の設備は、サービスエリアの拡充のために行なわれるためキャリアの財産となっている。また、ユーザーの利便性向上や災害時などの緊急情報を配信する目的で地下街や地下鉄の一部では、AMラジオの再送信装置が設置されているが、東京都交通局の資料によれば、約100kmにおよぶ路線での導入コストが約6億2,000万円、年間の維持費は約400万円となっている。
本会合では、携帯電話向けの放送について話しあわれているが、キャリア側は「1セグ放送のビジネスモデルがはたしてどうなるのか、先がまだ見えない現状」という姿勢で一致している。「地上デジタル放送に頼らなくても、3Gでは携帯のネットワークだけで動画配信することも可能。もちろん携帯のネットワークは無限というわけではない」(ボーダフォン業務執行役員木全氏)、「放送と通信の連携サービスと言われるが、そもそも放送は放送、通信は通信とやってきた」(KDDI猪澤氏)と述べ、積極的とも消極的とも言えない姿勢だ。
この点については、構成員からは「(1セグ放送が閲覧できるという新機能で人気を得る可能性があるため)端末メーカーに一番メリットがあるのではないか。次いでメリットがあるのは携帯キャリアだろう。ビジネスモデルがどうなるか不明とのことだが、新機種に対するニーズや、ユーザーの利便性が拡大するのはわかっているのではないのか」とする声も挙がった。
これを受けてボーダフォンの木全氏は「UWB(Ultra Wide Band)という近接距離での高速通信技術も登場している。そういったものを活用して、採算が取れるビジネスモデルの企業が付加サービスとして、それぞれエリア拡充をはかって不感エリア(電波の届かないエリア)を解消するやり方もあるのではないか」と述べた。
八重洲地下街からは、設備の設置に関する疑問点が指摘された。地下街の天井の高さは、東京都の条例によって3m以上、突き出し部分は2.5m以上にすべきとされている。天井上の隠れた部分には、既存インフラが敷き詰められ、余裕がない状態だが、現状よりも天井の高さを下げることはできないという。そのため、全面的な工事を行なうことで、敷き詰められた既存インフラを整理し、新たな設備を入れることも可能ではあるが、テナントが数多く入っているため、工事できる時間帯に限界がある。
既存インフラを共用するという考えもあるが、東京都消防局や東京メトロは「消防無線・鉄道無線に影響があるかどうか、技術的な検証で確認して欲しい」と要望している。また、地下鉄2事業者は、新たなサービスが登場するということで、マナー面でのルール作りも検討すべきとしている。
ユーザーへの新サービスという側面だけではなく、放送には防災など公共的な側面も強い。このため、札幌市では、放送局や学識者、メーカーなどと協力して、協議会を設立しており、いかに電波の届かないエリアをなくしていくか、ギャップフィラー(再送信)装置の在り方などを検討しているという。
次回の研究会では、中間案が取りまとめられる予定で、論点を整理し、現状の課題が明確にされる予定だ。
■ URL
開催概要
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/chika_fukyu/
(関口 聖)
2005/07/15 13:47
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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