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松下電器産業と松下技研は、中国科学院自動化研究所と共同で日本語と中国語の双方向翻訳システムを開発した。現在は技術検証の段階だが、松下では数年内にPDAや携帯電話に搭載されることを見込んでいる。
同システムは、ユーザーが日本語や中国語で話した文章を認識・翻訳して発声するという、音声認識・言語変換・音声合成を1つのシステムを行なうことで、いわば通訳のような役目を果たす。
屋外での利用を想定しており、文章の認識には「キーワード主導型音声翻訳」という方法が用いられる。この方法ではたとえば「コーヒーは食後に」と話したとき、「飲み物(コーヒー)」と「食後」の2つの単語を含む文型を検索し、「コーヒーは食後に持ってきてください」「食後にコーヒーをお願いします」などの候補を挙げられる。これにより、文章の一部の単語しか正しく認識されなかったときでも、重要と思われる単語が認識されていれば目的の文章を得ることができるという。
旅行者向けに限定し、文型を1000種類、語彙を1万語に絞った結果、システム全体の容量は約8MBに収まっている。現在は技術検証段階で、検証用の小型Windowsマシン上で動作しているが、今後は検証機を使って屋外テストなどを行いつつ、携帯機器に搭載する際に必要な音声認識精度を調整するという。
なお、松下では英語と日本語の翻訳システムを1999年度に開発しており、今回発表されたシステムも以前に開発された技術を利用している。このため、デモンストレーションで使われた検証機は、日本語と中国語だけでなく、日本語と英語の翻訳も行なえるようになっていた。今後は他の言語へも対応していくという。
同社では、最終的にどのような商品形態でこのシステムを販売するかは決定しておらず、語彙や文型を増やすことで汎用の翻訳システムの開発も可能だという。しかし、同社としては、用途を旅行者向けに限ることで、携帯機器へ搭載することを検討している。価格帯についても未定だが、専用のハードウェアとセットで販売するのではなく、既存のPDAプラットフォーム向けにソフトウェアを提供することで、1~2万円程度といった個人の旅行者が購入できる価格帯でも供給できるとしている。
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「コーヒーは食後に」と認識すると、3種類の文型候補が提示される(左)。その後、目的の文章を選択すると、翻訳結果が発音・表示される(右)。
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中国語を認識して日本語を発音することもできる(左)。モードを切り替えれば英語を日本語に翻訳することもできる(右)。このほか「何時に開きますか、遊園地は」などという倒置語の認識にも対応。
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■URL
・松下電器産業
http://www.matsushita.co.jp/
(白根 雅彦)
2001/02/05 17:04
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