ノキア・ジャパンは15日、東京都内のホテルで主に開発者をターゲットとしたイベント「Forum Nokia: Mobile Buisiness & Technical Days」を開催した。会期は16日までの2日間で、2日目の16日は技術的なカンファレンスが中心となる。初日の15日には、同社のプラットフォーム戦略の概要を記者会見で発表した。
■ Series 60は効率的なワールドワイドプラットフォーム
|
Nokia China Forum Nokia 北アジアおよびチャイナ地域担当のヤリ・スータリネン氏
|
まずNokia China Forum Nokia 北アジアおよびチャイナ地域担当のヤリ・スータリネン氏は現在、ノキアが提供するプラットフォームとその開発者コミュニティ「Forum Nokia」について、概要説明を行なった。「Forum Nokia」は200万の登録者、さらに有料のプレミアムサポートを受けられる「Forum Nokia PRO」は400の登録者を抱え、モバイル関連のデヴェロップメントコミュニティとしては最大規模を誇る。
同氏は「デベロッパーの収益率を上げ、かつ投資を少なく済むようにすることが重要」と語り、Symbian OS上で動く同社の3種類のプラットフォーム、普及価格帯向けのSeries 40、高スペック、高付加価値のモデル向けのSeries 60、キーボード一体型モデルに採用されるSeries 80を紹介。「2004年で1億8,000万台、2005年には3億台に達する見込みのプラットフォームで、これに対応すれば、グローバルにアプリケーションを販売できるようになる」と開発者に呼びかける内容となった。
|
ノキア・ジャパン テクノロジープラットフォーム Forum Nokia 日本代表 ビジネス開発部長 遠藤元宏氏
|
その後、ノキア・ジャパン テクノロジープラットフォーム Forum Nokia 日本代表 ビジネス開発部長 遠藤元宏氏が日本のForum Nokiaについて補足し、「PROに登録した27社は1年前の開始当初はゲーム関係、エンターテイメント関係のコンテンツプロバイダが多かったものの、1年経った今ではビジネスアプリケーションを扱うデベロッパーが増えてきた」と語った。40カ国にアプリケーションを輸出しているジー・モードをはじめ、タイトー、ハドソンなどのPRO会員を紹介した。
■ 固定網との融合は、コンテンツの融合でもある
|
ノキア・ジャパン プロダクトマーケティング部 テクノロジー マーケティング マネージャー 大塚孝之氏
|
続いて、ノキア・ジャパン プロダクトマーケティング部 テクノロジー マーケティング マネージャー 大塚孝之氏は、今後の通信業界を占う上で大きな固定網と携帯電話網の融合を意味するFMC(Fix To Mobile IP Convergence)についてのプラットフォーム戦略を語った。
FMCは一般的に、音声通話網や課金、電話番号の統合を焦点にして語られることが多いが、ノキアの目指すFMCは単なる通信網の融合だけでなく、コンテンツ流通経路の統合をも含めたスケールの大きい構想が特徴的だ。
大塚氏は「コンテンツ配信や通信サービスを展開している放送、移動通信、固定通信の3者は、それぞれ独立したチャンネルの中でのみコンテンツを流通させているが、その仕組みは大きく変わっていくだろう」とコメント。「元々テレビ用のコンテンツがインターネットやケータイに、ケータイ用に作ったものがテレビやパソコンに、といったことを可能にしたい。デバイスとデバイスがP2Pでコンテンツを交換するといったこともニーズがあるだろう」と将来像を語った。
|
ノキアが描くFMCのイメージ
|
では、こうした「サービス、アプリケーションが相互に乗り入れ可能で、接続さえできれば、つながっていく世界は同じ」(大塚氏)環境を実現するために、ノキアはどういう役割を担うのか。同氏は「機器間のインターフェイスと、送り出す側のフォーマットをどうするのか、という問題がある。ここに貢献できるのがノキアではないか」と語った。
ノキアはこれを実現するために、携帯網、無線LANスポット、放送、Bluetooth、RFIDなど近接無線の4つの無線電波に端末を対応させていく「マルチラジオ」戦略を取っている。W-CDMA/GSM、無線LAN、FM放送、Bluetoothに対応する「N91」もその一例だ。こうした端末戦略を推し進めることで、クライアントとなる端末を普及させ、一方でコンテンツを配信する基幹網のプラットフォーム普及を目論んでいる。
統合環境の実現には、音声、データをすべてIPベースでやりとりすることが不可欠だが、それについても「IP電話で事実上標準になっているSIPを相互乗り入れする環境が望ましい。日本の外では着々と進んでいること」としたほか、「パケットに乗せて音声をやりとりするPTT(Push to Talk)、それを応用したビデオシェアリングもみなFMC戦略の一環だ。2006年、2007年になると具体的なサービスがどんどん始まってくることになるだろう」と語った。将来の具体的なイメージとして、ケータイゲームのオンライン対戦をしながら、PTTで会話し、さらに同時にストリーミングビデオを流す、といったプレゼンテーションも披露された。
一方で大塚氏は、「まだ実現するには多くの障害がある」とも語っており、その主な要因として「ユーザーの個人認証」「著作権保護技術」「セキュリティを確保するためのアプリケーション保護技術」の3点を挙げた。いずれも複数の回線をまたいでサービスを利用することからくる問題で、これらを取り扱う上での共通規格、いわば地盤となるプラットフォームの信頼性や質が重要になる。そこで、「そうした分野を担うのにふさわしいのがノキアだ」というはじめの主張に戻ることになる。大塚氏は「こうした問題は我々なら解決できる」と自信を見せ、発表を締めくくった。
|
|
ポイントはマルチアクセスとマルチラジオ
|
4つのワイヤレスで放送との融合も目指す
|
|
|
日本市場投入が噂されるNokia 6680
|
携帯電話機能を持たないインターネット端末Nokia Internet Tablet 770
|
|
|
4GB HDD搭載の「N91」
|
200万画素のカールツァイスレンズ搭載カメラを備えたN90
|
■ URL
Forum Nokia: Mobile Buisiness & Technical Days
http://www.nokia.co.jp/forum/about/event/techday2005/
(伊藤 大地)
2005/06/15 19:50
|