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代表取締役社長の小野寺 正氏
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KDDIは16日、都内で定例社長記者会見を行なった。ウィルコムから発表された音声定額サービスについては「大きな影響はない」としたほか、順調な携帯事業による財務体質の向上、固定通信網におけるサービスの強化が明らかにされた。
会見を行なった代表取締役社長の小野寺 正氏は、冒頭、4日にオープンした「KDDI DESIGNING STUDIO」について、「2週間ほど経ったが、週末には1日で千数百名の来場者が訪れているようだ」と好調ぶりについて触れ、「是非足を運んで欲しい」と新感覚の施設をアピールした。
固定・携帯を手がけるKDDIならではの「KDDIまとめて請求」
同氏はまず、同日発表された3月期期末配当予想の上方修正について、「携帯電話事業が順調に推移し、財務体質も向上した」と説明。有利子負債の削減が順調に進んだことなどもあわせ、増配の予定であるとした。
「KDDIまとめて請求」については、「固定・携帯の両方を手がけるKDDIならではのサービス」とし、「当社のアンケート調査でも、まとめて支払いやセット割引へのニーズが高い。家庭における煩雑な経理を軽減させることができ、TCS(総合顧客満足度)の向上を図っていきたい」と述べた。
同じく発表された、新たに設立される子会社「KDDIテクニカルエンジニアリングサービス(KDDI-テクノ)」については、「地域密着型の保守サービス子会社」と説明。固定電話や光ファイバー通信網などの直収型サービスを展開するにあたり、「宅内までのサポート体制の構築が急務だった」とし、固定や携帯電話、ソリューションサービスにおける回線の設置・開通や保守を行なう子会社とした。
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KDDIまとめて請求
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KDDIテクニカルエンジニアリングサービス
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音声定額サービスには楽観視、競争は歓迎
会見の中で、15日に発表されたウィルコムの音声通話定額サービスについて問われた同氏は、「定額はウィルコム加入者同士間であり、そう大きな影響はないとみている」と述べ、自社の携帯事業を脅かすものではないとの見方を示した。ウィルコムの前身であるDDIポケットはKDDIが譲渡した会社である点について、またそのウィルコムから音声通話で積極的なサービス展開が明らかにされたことについては、「PHSを伸ばすためには、当社の中ではコンフリクト(衝突)がおこってしまう。それではダメだということで譲渡した。今後、競争が激しくなるという側面はあるが、切磋琢磨していくという意味ではいいこと」と述べ、競争に前向きな姿勢を明らかにした。
一方、ツーカーについては、「残念ながら2月は純減となったが、ツーカーSなどポストペイドが順調で、内容的に良くなっている。あまり心配はしていない」と述べた。ツーカーの完全子会社化が達成された後の動向については、「1.7GHz帯の新規参入ががどこに決定するかによって、ツーカーの価値への見方が変わってくるかもしれない。100%子会社化された後で考えるべきで、早期の判断は危険。早い時期に結論を出すことにはならないだろう」と述べ、ツーカーを売却するといった見方を短期的には否定した。
中期的には3社拮抗との見方
法人向けの無線LAN対応端末「N900iL」がドコモから発売されていることや、番号ポータビリティをにらんだSIMカードのような機能を搭載した端末の投入については、いずれも「検討は進めている」と述べるにとどまった。
また、単月の純増数がここ3カ月ドコモがトップであること、ボーダフォンの純減が2カ月続いていることなど市場シェアの動向については、「当社は昨年、一昨年と3Gの年間純増数でトップだったが、正直に言ってしまえば、ドコモがFOMAで苦しんでいたから、という見方もできる。先月、先々月の純増数のレベルであれば、戦略的に間違ってはいないといえる。ボーダフォンも3Gの問題で、昔のドコモと同じような状況」と述べたほか、「どこも技術力のある会社。中期的には3社拮抗となるのではないか」との見方を示した。
■ KDDI
http://www.kddi.com/
・ auと固定サービスの料金請求を統合「KDDIまとめて請求」
・ WILLCOM、月額2,900円の音声定額サービスを5月1日から
(太田 亮三)
2005/03/16 17:16
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