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ボーダフォン
津田志郎・新社長
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12月1日付でボーダフォンの社長に就任した津田志郎氏が8日、都内ホテルで社長就任後初の会見を行なった。
冒頭、津田社長は「これまでと変わらず、どうか、よろしくお願いします」と挨拶。会見の最中、津田社長は「反転のきっかけを作りたい」「変化が出てくるようにしたい」などと繰り返し語り、現在3位の国内シェアからの脱却に向けて意欲を見せた。また、会見の最後には改めて、「ぜひ応援していただきたい。精一杯やっていきたいので、ご期待いただきたい」と語った。
■ 3Gを拡大戦略の中核に
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Vodafone 702NKを手にする津田氏
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まず、津田氏は、8月にボーダフォン入りしてからの様子に触れ、「ボーダフォンのグループ全体としての経営方針、戦略、ミッションの進め方を学んできた。現在、ボーダフォンが置かれた立場を見ると、厳しいものがあるのは周知の通り。私がボーダフォンに入る前から、改革には取り組んでおり、着実に成果が出つつあるもの、道半ばの状態のものなど様々だが、私が着任したからといって、方針を大幅に変えることはしない。それまでの路線を継承し、成果を確実なものとする。これにより、基盤を作り発展へとつなげたい」と話した。
しかし、津田氏は「これまでの施策は、どちらかというとコスト削減の観点からのものが多かった。この取り組みは今後も継承するが、その一方でいよいよリカバリーの時に入ってきたと認識している。収入増、販売増に向けた取り組みを行なう」と、積極的な拡大戦略に乗り出していく姿勢を見せた。
その拡大戦略の中核を担うのが「3G(第3世代携帯電話)」だという。
「すでに主戦場は3Gに移行しているが、ボーダフォンは、ハンドセットの取り組みで遅れがあった。9月に7機種の開発・投入を発表したが、昨日、ノキアが開発した702を発表し、今日から発売している。7機種のうち6機種がグローバル対応であり、第1ステップの製品が投入できたと考えている。次のモデル以降は、グローバル仕様を前提として製品化されることになり、これまでの経験が、次のステップに生きることになるだろう」とした。
こうした3G端末機の投入を加速化するのと同時に、定額制の導入、ボーダフォンライブによるリッチコンンツの提供など、「新しい端末、新しい料金、新しいサービスによって市場競争力を高めたい」と抱負を語った。
さらに、2006年に予定されている番号ポータビリティについては、「これを機に顧客がどう流動するのか、それに対して、当社のサービス向上や信頼性向上をどう実現するのかを考えなければならない。12月1日の就任にあわせて社内に対して、この点を考えてもらうようにお願いした」と、すでに番号ポータビリティ制度の開始に向けた施策を重点課題の1つに掲げたことを明らかにした。
■ 社員からも大きな期待
また、社長就任後の自分の役割については、「日本は世界的に見ても先行している国であり、重要な位置づけを担っている。ボーダフォングループの端末開発でも大きな意味を持つ。これまでは、日本人と外国人が、どうコミュニケーションするかといった問題もあったようだが、私自身が日本の現在の状況や、販売チャネルの特性などを説明し、意見を出すことで、グループ全体のパワーを引き上げたい」とした。
さらに、「社員は、ボーダフォンは社名変更を含めて、会社が変わったり、合併したりといった変化が短期間に起こったことで大変不安を感じているはず。だが、もう一度、パワーを結集し、チームワークを大切するように訴えた。事業を推進するのは人。しかし、個人の力では限界があり、グループの力として結集することで大いなる競争力が生まれる。社内に優れた資質を持った人材がいることが、この4カ月で理解できた。これから競争は厳しくなるが、パワーアップを図り、気持ちを引き締めて取り組んでいきたい」と語った。
ドコモからボーダフォンに変わって、津田氏自身が最も違いを感じているのは、国産企業と外資系企業の文化の違いだという。
「これまでは典型的なドメスティックの企業にいたが、外資系のボーダフォンでは、いわずもがな、という風土が通じない。その点には気をつけている」としたほか、「社員と話をすると、私に対して、大きな期待を持っているのがわかる。大変光栄だが、社員の考えている期待に私が応えられるのかというギャップが、一番の懸念材料」などと語った。
■ 2位との差を縮めるきっかけが必要
ボーダフォンにとっては、現在3位の位置からの脱却に向けて、2位との差を縮めることが先決だといえる。
それに対して、津田氏は、「写メールの時に比べて、2位と3位の差が大きく開いており、まずこれを縮めるためのきっかけが必要だ。そのためには、ヒットする商品、ヒットするサービスを用意しなくてはならない。具体的な施策については現時点では説明できないが、早期に反転のきっかけを作りたい。それによって、社員のモチベーションも上がるだろう。例えば、3Gにおいては、カバーレッジという点ではいい線まできているが、屋内における接続でまだ遅れているところがある。端末の能力についても、さらにリファインしていくことが必要だ。プラットフォーム、コンテンツを含めて強化していくことも大切だ。グループ全体の総合力を生かすことも必要だろう。結論はすぐに出るものもあるが、長い期間がかかるものもある」と語った。
また、同氏は、今後の展開として直営店展開に力を注ぐ考えを示し、今月中にも東京・六本木に新たな直営店を出店する計画を明らかにした。
一方、質疑応答の中では、「さらに複数の事業者が入り、市場の競争原理を高めるべきではないか」との質問があったが、これに対しては「携帯電話やPHSのほかにも、いくつかの仕様が林立した時期が過去にあり、1エリアに7事業者が参入するということもあった。しかし、それがこれまでの競争のなかで3社に収れんしてきたともいえる。新規の参入には慎重になるべき」と回答。他の事業者との協業については、「いまはまったく考えていない」とコメントした。
さらに、「より料金の低価格化が必要ではないか」という声に対しては、「世界的な水準で比べても日本の携帯電話料金は高くはないと考えている。ただ、料金プランについては、工夫の余地があるだろう」とし、定額制プランなどを含めて今後工夫していく姿勢を見せた。
また、プリペイド方式の携帯電話については、「プリペイド=犯罪、だから駄目だという公式はあまりにも短絡的すぎる。世界的に見ると、普及台数が低いのは日本だけで、本人確認がルーズだという悪い点を突かれた。ポストペイド方式同様に本人確認を強化し、利便性を損なわない形で利用やリチャージができる仕組みを提案したい」と引き続き、プリペイド電話事業に力を注ぐ姿勢を見せた。
■ URL
ボーダフォン
http://www.vodafone.jp/
(大河原克行)
2004/12/08 18:44
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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