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NTTドコモは、2004年度中間期連結決算を発表した。営業収益は前年同期比3.3%減の2兆4,520億円、営業利益は7.6%減の5,454億円、税引前利益は6.8%減の5,452億円、当期純利益は6.0%減の3,352億円の減収減益となった。
当初計画から減収減益を見込んでいた同社だが、前日に発表されたKDDIの決算が、au事業の好調ぶりに支えられて営業収益、営業利益などで成長したことに比べると対照的な決算内容となった。
■ FOMAの年度末契約見込みはわずかに上方修正
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NTTドコモ
中村維夫社長
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NTTドコモの中村維夫社長は、「今年度は料金ベースを引き下げ、料金面でも同業他社をキャッチアップする戦略を打ち出しており、そのなかで今回の決算内容はほぼ予想通りのもの。ファミリー割引も、パケ・ホーダイも当社の予想を上回る加入者数となっており、解約数の低減にもつながっている。この施策が市場に受け入れられたと判断することができ、今後は、これをベースに今後の収益改善に取り組んでいけばいい」とコメントした。
同氏によると、当初、ファミリー割引は今年度末で59%の契約率を見込んでいたが、現時点ですでにこの比率に到達しており、年度末には61%にまで拡大すると見込んでいるという。
同社では、こうした予想を上回る割引制度の利用や、定額制への移行の影響もあり、今年度の通期営業収益の見通しを当初予想から1,000億円減の4兆8,200億円へと下方修正した。1,000億円の修正のうち、470億円が新規端末機の販売によるコミッションの増加などによる影響、440億円が割引や値下げなどの要素だとしている。
下方修正には、固定発携帯着の固定電話事業者を選択した利用が当初予測の20%をはるかに超える30%に到達していることも影響しているが、パケ・ホーダイに関しては、「約20%が他社からの新規獲得ということもあり、単純に減収につながっているというわけではない」と説明した。
なお、営業利益は修正なしの8,300億円、税引前利益は20億円増の1兆3,160億円、当期純利益は70億円増の7,580億円としたほか、FOMAの年度末の契約者数目標を、当初の1,060万契約から、1,080万契約に上方修正した。また、携帯電話の総合ARPUについては、7,270円から7,190円に下方修正した。
上期連結決算の部門別の内容では、携帯電話事業の営業収益が前年同期比3.2%減の2兆4,024億円、営業利益は8.7%減の5,563億円。
4月からのファミリー割引をはじめ、パケットパック定額通信料の値下げ、iモードでの定額制サービス「パケ・ホーダイ」の導入といった料金施策が業績に影響したが、これらの施策が解約率を1.07%と前年同期に比べて0.11ポイント改善することにつながったほか、8月に投入したiモード FeliCaをはじめとするFOMA 900iシリーズの拡充などによって、FOMAの純増数が順調に推移し、9月末時点での加入者数は649万契約に達するといった効果にもつながっている。
FOMAの音声ARPUは6,600円、パケットARPUは3,430円、総合ARPUは1万30円。女性をターゲットとした製品が相次いでいるムーバでは、音声ARPUが5,320円、パケットARPUが1,750円、総合ARPUは7,070円となった。FOMAとムーバをあわせた携帯電話全体のARPUは、音声ARPUが5,450円、パケットARPUは1,920円、総合ARPUは7,370円。
■ 「PHSはデータ通信で生きていく」
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会見する宇垣義昭常務取締役財務部長(左)と中村維夫社長
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PHS事業は、営業収益は15.0%減の332億円、営業損失はマイナス115億円の損失。@FreeDに重点をおいた施策を展開したものの、音声利用者の契約数の減少によって、PHS全体の契約者数は8.3%減の146万契約となった。
中村氏は、「PHSはデータ通信で生きていくと決めた。FOMAでは定額制でのデータ通信サービスを行なっていないため、PHSで定額制サービスを続けていきたい。早期の黒字展開が課題だが、赤字だからといって、この事業をただちに売却してしまうといった考えはない」とした。
ポケットベルのクイックキャスト事業に関しては、営業収益は22.0%減の25億円、営業損失はマイナス6億円の赤字。事業の効率化に向けて、すでに新規申し込み受付を終了しており、今後は代替サービスへの移行を図る考えだ。
また、9月から開始した公衆無線LANサービスのMzoneの国際ローミングサービスなどが含まれる、その他事業では、営業収益は14.3%増の139億円、営業利益は5.9%増の12億円となった。
■ 普及価格帯のFOMA 700iシリーズを投入
なお、設備投資は、FOMAの設備増強を約600億円規模で前倒しして推進したことなどによって、携帯電話事業に関しては、前年同期に比べて48.0%となる3,539億円。同社全体でも33.7%増の4,331億円となっている。
中村社長は、「減収減益については、社員も事態を重く受け止めている。これまでのような母数(携帯電話の契約数)×ARPUというトラフィックを増やすビジネスモデルは限界に達していることを認識している。いままでのビジネスモデルが通じないところで、新たなチャレンジを始めており、P&S(プロダクト&サービス)部門をつくり、新たなことにも挑戦している。おサイフケータイやGPSなどの世界ももっと積極化したい。手数料収入や広告展開、海外への展開などのほか、これまでゼロだった映像の収入も第3世代ならではの特長を生かして見込んで行きたい」と、今後の方針を語った。
また、FOMAについては、普及価格帯の製品となる700iシリーズの投入が、今後の普及戦略の鍵になることを示した。
そのほか、ソフトバンクの800MHz帯の再編に対する取り組みについては、「今回の再編は、新規参入者に対して、周波数帯を新たに付与するものではないと考えており、われわれも周波数の整理で、これまでよりも減ることを前提にしながら再編に取り組んでいる」とした。
また、ダイエーホークスの買収やクレジットカード事業者の買収などについては、「そうした考えは一切ない」と否定した。
■ URL
NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/
(大河原克行)
2004/10/29 18:34
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