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平成電電など、時速100kmで1Mbpsが可能なモバイル通信サービス
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発表会の出席者
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平成電電とドリームテクノロジーズは、独自の無線LAN技術を利用したモバイルブロードバンドサービスを発表した。全国10万カ所にアクセスポイントを設置し、半径500m以内では時速100kmで1Mbpsの通信が可能だという。2005年8月より試験サービスを開始する予定。
このサービスは、複数の送受信アンテナでデータを多重化することで無線LANを高速化する「MIMO(Multi-Input Multi-Output)」をベースとした独自技術「QW-MIMO」を採用。最大で31.5Mbpsの通信が可能なほか、時速100kmの高速移動を前提として、アクセスポイントが見通せないNLOS(Non Line Of Sight)環境でも半径500mの範囲で1Mbpsが実現できるという。さらにアクセスポイントが見通せるLOS環境であれば、半径2~3kmのエリアで1Mbpsの実現が可能としている。
QW-MIMOを利用したチップセットは、九州工業大学の教官が起業したベンチャー「キューウェーブ」が開発を担当する。2004年7月には平成電電とドリームテクノロジーズが1億8,000万円の出資を行なったほか、鷹山も資本に参加している。
アクセスポイントは、自動販売機の管理会社によって設立されたホーキングと提携し、全国約10万カ所の自動販売機に設置する予定。また、無線LANネットワークの設計・運用監視はIRIコミュニケーションズが担当するほか、IRIコミュニケーションズではISP経由でのサービス提供も予定している。
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事業概要
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協業各社の役割分担
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■ データ通信の後は携帯電話事業に参入
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平成電電
佐藤賢治代表取締役社長
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正式サービスは2005年末を目標とし、半年以内にアクセスポイントを10万カ所に設置する予定。サービス開始時はデータ通信のみを提供するが、平成電電では専用の音声端末を用いた携帯電話事業も予定している。
データ通信の料金はまだ未定だが、平成電電の佐藤賢治代表取締役社長は「後発なのでPHSや携帯電話よりも高いことはない。4,000円に近い水準になる」とコメント。また、サービスに利用するPCカード型の端末についても「専用のものが必要だが、市販の無線LANカードと同程度の価格になるだろう」と語った。
携帯電話事業は正式サービス移行後、半年から1年後をめどに開始する。専用の音声端末を利用し、一般加入電話などへも通話可能なサービスを提供する予定だという。電話番号は「050を利用するか普通の電話番号になるか、さらに別の方法になるかは申し上げられないが」としたものの、何らかの形で着信が可能な番号を用意する方針。
また、音声の通信方法は「IPベースのVoIPではなく、独自のプロトコルを使ったサービス」ということも明らかにされた。VoIPを採用しない理由について佐藤氏は「携帯電話であれば数kbpsで済むところを、VoIPでは100kbps近く必要になる」と、帯域が問題であると語った。
サービスのバックボーンには光ファイバなどのほか、平成電電が運営するADSLサービス「電光石火」も採用する予定。佐藤氏は「このサービスで重要なことは通信サービスではなく広域化という点」とし、まずは500m以内で1Mbpsの通信実現を重要視するという。
サービスエリアは「10万カ所のアクセスポイントがあれば結構な面積で、他の携帯電話事業者とも人口カバー率は変わらないくらいだろう」とコメント。設備投資はサービス全体で200~300億程度を想定している。
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サービスの概要。500m以内で時速100km・1Mbpsを実現するという
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MIMOの仕組み。複数のアンテナでデータ送受信を多重化する
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従来技術との比較。利用する帯域幅は同等で距離や通信速度を向上
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評価用ボード。実際のクライアント用端末は無線LANカードと同程度の大きさとなる見込み
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■ URL
平成電電
http://www.hdd.co.jp/
ドリームテクノロジーズ
http://www.dreamtechnologies.com/
キューウェーブ
http://www.que-wave.com/
ホーキング
http://www.forking.co.jp/
IRIコミュニケーションズ
http://www.iri-com.co.jp/
(甲斐祐樹)
2004/08/12 18:47
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