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NEC、携帯電話事業の軸足を日本から中国へ移管 ~中村取締役常務が言及
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NEC取締役常務の中村 勉氏
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NECは、携帯電話事業の軸足を日本から中国へと移管、中国を起点としたグローバル戦略を進める方針を明らかにした。これは、7月2日に報道関係者を対象に行なわれた、同社携帯電話の生産拠点であるNEC埼玉の見学会において、冒頭、説明を行なった中村 勉取締役常務が言及したもの。
同社では、今年6月に中国にNEC通訊(NECテレコミュニケーションズチャイナ)を設置。経営層に現地の人材を登用したのに加え、地元の優秀な社員を採用することで、マーケティングから商品企画、開発、SCM管理、生産、販売、保守までを一元的に管理する体制を整えたほか、ARIMA、ソレクトロンなどの生産委託会社との連携強化、3Gの開発を担当するCOSMOBICとの連携、NECが30%を出資しているSTEP Techをはじめとする各種デザインハウスとの提携強化などを進め、「中国市場で戦える体制、それとともに全世界に打って出ることができる体制を整えた」(中村氏)という。
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中国の拠点を強化しているNEC
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一元的な管理体制を整える
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■ 中国ではクレージーな状況が続く
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中国市場は、依然として急激な拡大が見込まれている
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同社の基幹技術が中国市場進出を助ける
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中村氏によると、日本では注目を集めている第3世代携帯電話だが、全世界規模で見た場合には、依然として第2世代、第2.5世代の需要が圧倒的な根強いほか、日本においては頭打ちといわれている端末の需要台数も世界規模で見た場合には、ますます拡大傾向にあると見ている。とくに中国市場では年間5,000万台以上の需要が継続すると見られているほか、昨年度だけでも年間500機種近い製品が投入されており、「このクレージーな状況はまだまだ続く」(中村氏)と予測している。
一方、携帯電話事業において、問題とされているのが利益率の問題。同社では、「Volatile性」という表現を用いているが、国内ベンダーの利益率は、10%に達していないのに対して、海外ベンダーは、ノキア、サムスンが20%前後の利益率を達成し、その差が歴然になっているという。
中村氏は、「当社も10%を前に留まっている企業の1つ。その背景には、研究開発に10%以上の投資をし続けていることがある。海外ベンダーの高い利益率は、規模の経済が回れれば、安定した収益を達成できるということの証しとも言える」と説明した。同社では、今後の大幅な成長が期待できる中国市場での展開を強化することで、事業規模の拡大と収益率の上昇を図る考えだ。
だが、その一方で同氏は、「事業の失敗や品質問題によって、大きな機会損失や大幅な赤字に転落するという危険性もある。そうした問題に陥らないためにもSCMの強化が必要といえる」とSCMの重要性を強調。同時に「これが、他社にはないNECの特徴だといえる」とした。
同氏は、「市場変動に対するリスクミニマムな事業遂行体制」、「チャンスを逃さない市場投入スピード」、「高付加価値のなかでの多機種化と収益性最大化」の3つの課題をあげ、「事業者と連携することで確実に勝てる市場への参入、当社が得意とするビジネスモデルへの参入、そして、インソースとアウトソースの戦略的使い分けによって、中国を起点としたグローバル展開を推進していく」とした。
■ パートナーシップにも一線を引く
NECの携帯電話事業は、従来、日本を中心にしたマーケティング、製品企画、開発・設計、資材調達、生産、販売、保守を担当してきた。生産に関しては、NEC埼玉が月100万台規模まで生産できる体制を整え、こうした需要に対応してきた。今後も、日本市場および中国以外の市場向けには、一部で中国の生産拠点などを利用するものの、従来型の体制を維持する考えだ。
だが、その一方で、中国向けにはNEC通訊を主軸とした事業体制を推進する方針を示した。
「欧州などについても、将来的には現地化を図りたい」としているが、「欧州向けには中国で実績をあげた製品を投入するなど、グローバル戦略においては、日本発ではなく、中国発が今後の起点となる」ことを改めて強調した。
また、グローバル展開を推進していく上では、従来から培ったC&Cの技術ノウハウをもとに、モバイル通信技術、ソフトウェア技術、小型実装技術、生産技術といったNECのコアコンピタンスを生かしたいとするものの、「これらのコアコンピタンスを外部の企業に流出させないという抑制措置も必要」だとし、パートナーシップについても一線を引いた上で臨む構えを見せた。
中国へのビジネス展開のなかでは、技術・ノウハウの流出抑制は重要な意味を持つだけに、その姿勢をあえて明確に示したともいえる。
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NEC通訊を主軸とした事業体制を推進する
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中国市場である程度の拠点を設けるものの、技術・ノウハウの外部流出を抑制する措置を検討
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■ 海外オペレータの密接な関係確立が鍵に
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部材調達の効率化も進めている
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中国向け製品のフラッグシップモデルに位置付けられた「N900」
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SCMにおいては、まずは市場予測の精度向上への取り組みが重要だとして、そのためには、キャリアやオペレーターとの関係強化が不可欠とした。
中村氏は「国内においては、NTTドコモおよびボーダフォンと緊密な関係を築けているが、海外のキャリアやオペレーターからは、これまでなかなか情報が入ってこなかった。しかし、これも、中国での体制を強化したことで、事業者の動向や製品ロードマップのすり合わせができるようになるなど、海外のキャリアやオペレーターとの関係強化が実現でき、リスクを低減できるようになった」として、今後も引き続き、協力関係を強化していく姿勢を見せた。
また、従来は、NEC埼玉や生産委託会社が個別に部品メーカーから仕入れていた体制を、今年4月設置したモバイル生産統括本部による部品調達に一元化。戦略的な価格管理、枠取り管理をもとにした集中購買を実現しているという。さらに、セキュアなイントラネットなどを設置し、販売地域ごとの最新情報を共有できる仕組みを用意して、世界規模で統一的な情報レベルの維持や、迅速な情報伝達体制を整える考えだ。
一方、販売に関しては、中国におけるブランド向上が大きな鍵だとして、コアショップの充実を図る。中国国内には、現在800店舗のNECコーナー、コアショップがあるというが、これを今年度中に2,000~3,000店舗に拡大する予定だという。「コアショップには専属の製品説明員を配置するとともに、外部専門会社を利用することでショップマネジメントを強化する」としている。
NECでは、今後2年間でモバイルビジネスユニットで30%のコスト削減を図る一方、2004年度は国内外を含めて約50機種の製品を投入、全世界向けの出荷台数で前年比2割増という意欲的な計画を掲げている。機種数だけで見ても、前年度の32機種からは大幅な増加となる。
「中国市場で勝つには、さまざまな形の携帯電話端末を投入する必要がある。それが当たれば、一気に利益も拡大する。機種展開は積極的に進めていきたい」と中村氏は語る。
NECは中国市場においては、高機能製品戦略を進めており、「低価格市場は諦めている」という戦略。それでも今年3月に中国市場向けに投入したフラッグシップとなる最上位の「N900」は4万台程度の出荷台数を誇っているほか、ペンダント型のN910、カメラ機能搭載のN8シリーズなども人気を博しているという。
「N900は、中国におけるNECのイメージを高めるという点でも大きな効果をもたらした。また、高所得者層だけに限定した販売展開も、イメージの醸成につながった。全世界においても、NECの携帯電話は、高級であるというイメージを植え付けたい」(中村氏)と、今後のブランド戦略の方向性を示している。
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キャリア・オペレーターとの関係強化もはかられる
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全世界向けの出荷台数で前年比2割増という意欲的な計画を掲げている
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■ URL
NEC
http://www.nec.co.jp/
NEC 中国市場での新体制確立について(5/28)
http://www.nec.co.jp/press/ja/0405/2801.html
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(大河原克行)
2004/07/02 22:36
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