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KDDI
コンテンツ・メディア本部長
高橋誠氏
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KDDIは6月28日、報道関係者を対象にauのコンテンツ・メディア戦略に関する説明会を開催した。そのなかで、同社コンテンツ・メディア本部長の高橋誠氏は、「モバイルコンテンツメディア市場は停滞ぎみであるとの見方も出ているが、当社においては利用者も売り上げも上昇していることを強調したい」とコメント。着うたなどを中心に、同社のモバイルコンテンツに関する売り上げが上昇傾向にあることを、いくつかの事例をまじえて示した。
高橋氏によると、同社のEZwebの利用契約者のうち、デジタルコンテンツの利用者比率は、50%台を越えるレベルで推移し続けており、ドコモよりも利用比率が高いことを示したほか、1ユーザーあたりの利用額も増加傾向にあるとした。「なかでも、都度ごとの課金が増加しており、都度利用額は50%以上の伸びとなっている。着うたやEZアプリでの利用が増加傾向にある」と、繰り返し強調した。
着うたは、今年4月の段階で累計ダウンロード数が8,000万曲を突破したが、「現在、月間800万ダウンロードで推移しており、今年7月には累計1億曲を突破することになるだろう」(高橋氏)と予測。最近では、AMラジオやラジオNIKKEI(ラジオたんぱ)で実際に放送された各種スポーツ中継やトーク番組などの音源を着うたファイルで配信する「着実況」も好調な滑り出しを見せているとして、「ジャイアンツ・清原選手の2,000本安打の達成時の着実況が最も高い人気を博している」という。
また、定額制サービスのWIN利用者は、EZwebのトップメニューアクセスが1日0.77回と、1Xユーザーの0.16回の約6倍のアクセス数となっており、さらに、ムービーなどのリッチコンテンツの利用が多いことも明らかにされた。
同時に、定額制ユーザーの有料コンテンツの利用は従量課金ユーザーの2倍以上であること、月平均の利用単価が1,500円から1,400円程度で推移していることが示されたほか、FMケータイの利用者は有料コンテンツの利用や着うたの利用が多いことも示され、定額制と高機能端末ユーザーがコンテンツ事業拡大に影響を与えていることも明らかにした。
■ モバイルコンテンツは2つの方向性に
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モバイルコンテンツが2つの方向性
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同社は、定額制導入によって、モバイルコンテンツが2つの方向性を持つだろうと見ている。
1つは、着うたや着メロ、壁紙などの端末をカスタマイズするためのコンテンツや、EZナビウォーク、BREWアプリケーションなどのモビリティを前提としたサービス。いわば、これでの既存サービスの延長線上といえるものだ。
もう1つが、定額制ならではのコンテンツとして、インターネットショッピングや、オンラインゲームやライブカメラなどを活用した常時接続を前提としたサービス、フル楽曲など音楽データや動画データなどの大容量のダウンロードコンテンツである。これが、新たなサービスといわれる部分である。
「auは、依然として成長を遂げている既存コンテンツビジネスと、FeliCaなどによるリアル展開による新たなサービスとの双方に力を注いでいく。FeliCaは、ドコモが先行しているが、インフラが整備され、まわりの企業の参入機運が高まった段階で本格化させ、ドコモをキャッチアップする形にしたい」とした。
NTTドコモやボーダフォンも、コンテンツメディア事業を今後の重要な柱の1つと位置づけているが、auでは、成長路線にある着うたなどの既存コンテンツビジネスをさらに強化していく姿勢を打ち出すとともに、定額制をベースとした新たな事業創出によって、コンテンツビジネスを加速させる考えを示した。
「モバイルコンテンツも5年目に突入し、各社ごとに特徴が明確になってきた。auとしてのコンテンツビジネスの優位性を打ち出したい」と話す。
■ メディア化に取り組む
高橋氏によれば、さらに別の角度からの取り組みが「メディア化」への展開だという。同氏は、メディア化には、au自らがメディアを作っていく方向と、放送局などをはじめとする他社との連動によってメディアとしての新たな価値を提供する方法があるとしている。
自主型メディアとしては、すでにWINの定額制とSMIL技術を活用したEZチャンネルを開始しているが、この7月の番組改編では7月8日付けで、新たに13番組を開局。新番組の1つとなる「ポケット(C)ネル」では、オリジナルドラマや着うたランキングなどの7つの番組を、KDDIとmedibaが共同で日替わりで提供。毎朝au独自のショート番組が閲覧できるようになる。
ポケットチャンネルを含むEZチャンネルでは、常時6ジャンル30番組を用意し、利用者に対して、深夜に最大3MBのマルチメディアコンテンツを配信しているが、番組数は増やす予定はないという。だが、「現行の端末機では最大3チャンネルまでが選択できるが、ユーザーの要求では5チャンネルまで増やしてほしいというものが多いため、その点での変更は検討したい」とした。
一方、他社との連携としては、放送、新聞、雑誌などのメディア、音楽、映画、出版のソフト、マーチャンダイズやクリエイターなどのメディアパートナーとの連携により、新たな着想のメディアを創出したいとしている。
地上デジタル放送との連携により、番組出演タレント関連のコンテンツ利用の拡大、物販への誘導、広告展開などFMケータイと同様のビジネスモデルの展開を進めたいとしている。
また、現在はテキストで提供されているEZトップメニューに関しても、定額制の環境にあわせたメニュー表示への変更や、個人の嗜好にあわせたリコメンデーションサービスの提供などを近日発表する予定であることも明らかにした。
「WIN向けの端末についても新たなものを用意しており、それにあわせたポータルの改善、新サービスの提供を予定している」と話した。
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WINユーザーのコンテンツ利用動向
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定額制による利用増加
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こうした定額制をベースにしたコンテンツの増加とともに、課題とされるのがユーザーの携帯電話端末へのコンテンツ保存の限界、あるいはコンテンツ開発者の開発工数の増加および投資の拡大だろう。
この点について、高橋氏は「リッチにコンテンツが増加するとともに、保存しておきたいという要求も増加するだろうが、外部記録メディアに保存する方法も模索したい。すでに『EZメモリーポケット』のサービスがあるが、定額制の普及とともにこれを拡充していく方向も考えたい。また、リッチコンテンツの開発の問題では、ゲームなどを携帯電話専用に開発するのは無理があるため、ここを強化していくつもりはない。だが音楽コンテンツなどを利用するという点では、新たな開発費や莫大な投資をする必要がなく、利用者のニーズも高い。この分野は1つの狙い目だ。さらに、ナビゲーションでの利用も、BREWによるアプリケーションの普及と定額制によって、広がることになるだろう」と語った。
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KDDIコンテンツ・メディア本部は7月5日から六本木に移転する。写真は移転準備中のフロア。
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移転後の自分の椅子に座る高橋誠氏
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■ URL
KDDI
http://www.au.kddi.com/
(大河原克行)
2004/06/28 19:05
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