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ドコモが2003年度決算発表、FOMAの今年度目標は1,060万契約
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NTTドコモは7日、2003年度の決算を発表した。当期純利益が前年度より大幅に増え6,500億円に達するなど増収増益という結果になった。これにあわせて同社では記者会見を開催。代表取締役社長の立川 敬二氏や常務取締役 財務部長の平田 正之氏から決算の概要や2004年度の見通しなどが語られた。
■ 利益水準は過去最高
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NTTドコモ 代表取締役社長 立川 敬二氏
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2003年度通期における同社の営業収益は、前年度比5%増の5兆481億円で、営業利益は1兆1,029億円、そして当期純利益は前年度比205.9%増となる6,500億円を達成した。増収増益という結果になったが、2002年度に海外投資に関する損失が計上されていたため、特に純利益が大幅な伸び率を示した。これを受けて立川氏は、「業績全体は順当な結果だろう。利益に関しては過去最高の水準だ」と総括した。
好調な業績を残したものの、営業費用も前年度から5.1%増となり、3兆9,451億円となった。これは、端末や販売時に伴うインセンティブなどの増加によるもの。しかしながら、設備投資は効率化が進められ、減価償却費は前年度3.8%減の7,210億円となっている。
セグメント別の業績を見ると、ムーバ・FOMA・iモードの各サービスを手掛ける携帯電話事業が営業収益4兆9,377億円、営業利益1兆1,389億円となった。iモード関連では、海外での展開についても触れられた。海外版iモードのユーザー数は、1月末時点で200万に達し、現時点でiモードサービスが提供されていない英国での展開についても検討を進めていることが明らかにされた。
PHS事業は、ユーザー数が減少し、さらに定額制通信サービス「@FreeD」を開始したことで回線設備などで赤字となり、営業収益が757億円、営業損失が355億円と、前年度から減収減益になった。
また、クイックキャスト事業は市場縮小によってコスト削減に努めているものの営業収益が60億円、営業損失が19億円とPHSとともに赤字になった。このほか公衆無線LANサービス「Mzone」や国際ローミングサービス「WORLD WING」などの分野では、営業収益が287億円、営業利益が14億円という結果になった。
■ 総合ARPU、ムーバよりFOMAが高く
携帯電話事業における年間オペレーションデータ(2003年度)では、ムーバのユーザー数は前年度比1.5%減の4,288万契約で、音声ARPUが5,890円、iモードARPUは1,940円、総合ARPUが7,830円となった。一方、FOMAは音声ARPUが6,900円、iモードARPUは3,380円、総合ARPUは10,280円となった。なお、今回の決算よりムーバとFOMAをあわせたARPUも公開されており、音声ARPUは5,920円、iモードARPUは1,970円、総合ARPUは7,890円となっている。
■ 2004年度は減収を見込む
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NTTドコモ 常務取締役 財務部長の平田 正之氏
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会見では、2004年度の見通しについても説明された。同社では、ファミリー割引の割引率拡大やパケットパックの値下げ、パケ・ホーダイによって、営業収益が2003年度よりも2.5%減となる4兆9,200億円になると予測。しかしながら設備投資の削減や不採算事業の見直し、米AT&T Wirelessの株式売却などで、当期純利益は7,510億円になるとしている。
赤字幅が拡大したPHS事業に関して立川氏は「公共サービスという側面から赤字だからといってすぐ辞めるというわけにはいかない。営業譲渡されてからデータ通信に重点を置いていく方向であり、@FreeDを導入できたのは良いステップ」と一定の評価を与えつつも、「ユーザーの理解を得て無線LANやFOMAなどにうまく取り込めれば良いのだが、具体的にどうしていくかは検討中」と述べるに留まった。
また同氏は「2次元コード読み取りや赤外線通信、そして今後は非接触ICカード搭載端末が登場することなどで、リアルの商取引ともっと連動していくだろうが、たとえばユーザーが携帯電話で決済する際に通信料を気にするようでは普及しない。従って前倒しで料金を下げ、(FOMAに)定額制を導入することにした。減収は過渡期としては仕方がない」と述べ、理解を求めた。
■ FOMAは1,060万契約を目標に
昨年度後半から急激にユーザー数が増加しつつあるFOMAについては、期末時点で305万契約に達し、5月6日時点では367万契約に達したという。
立川氏は、2004年度の目標として1,060万契約を目指すことを明らかにし、「2003年度はステップの年だった、今年度はジャンプの年にしたい」と意欲を示した。
同社によれば、2003年度ではムーバとFOMAをあわせたインセンティブ(代理店手数料)は1台あたり平均31,000円だったという。ムーバ端末よりもFOMA端末の方が若干高く設定されているとのことで、2004年度も引き続き営業費用の増加が見込まれているが、「FOMA端末の販売台数が増加すれば端末自体の価格も安くなり、インセンティブも下がるだろう。2005年度には平常レベルになるのではないか」(立川氏)として、2004年度の減収は一時的で、それ以降は業績が回復するとした。
また、ドコモの収益体質に関しても触れた立川氏は「これまではトラフィックに依存したモデルだったが、定額制導入などで新たなビジネスモデル、サービスモデルを構築していく必要がある。2004年度はドコモにとって大きな変革の時期、パラダイムシフトを実行する時期となる」と語り、新たな潮流に対応するため、6月の株主総会を経て組織改編や経営陣の刷新を検討しているとした。
2004年度の市場動向について立川氏は、新規需要が440万台程度になるとして、「そのうち4割以上を確保したい」とした。また周波数関連については「国の問題だが」と前置きしながらも「地方では周波数に余裕がある。そこをうまく活用して地方から800MHz帯でも3Gサービスを提供していきたい」と述べた。
■ URL
NTTドコモ 決算短信
http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/investor_relations/referenc/balanc_j.html
(関口 聖)
2004/05/07 19:41
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