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三洋、従来の約1/2の消費電力を実現する液晶駆動技術開発

三洋電機 ディスプレイカンパニー システム技術ユニットの横山氏

ライン反転方式に比べて半分近くまで消費電力が抑えられる
 三洋電機は、携帯電話やデジタルカメラなどのモバイル機器向けに、低温ポリシリコンTFT液晶の消費電力を従来の半分近くまで抑えられる駆動技術「SmartDIDM」を開発した。これに伴って11日、都内で発表会が行なわれた。

 液晶ディスプレイには、ドット反転方式とライン反転方式という2つの駆動方式がある。ドット反転方式の特徴は、画面がちらつくフリッカーノイズには強いものの、電圧の振幅が大きく消費電力が高くなってしまう。一方のライン反転方式は、消費電力は小さくできるが、フリッカーノイズには弱い。発表会で技術説明を行なった三洋電機 ディスプレイカンパニー システム技術ユニットの横山良一氏は冒頭、「今回の駆動方式は、2つの長所の生かすもの」と語った。

 「SmartDIDM」は、液晶ディスプレイのガラス基板上に新たな回路を置くことで、低電圧・低周波数の駆動が可能な新ドット反転駆動方式。フリッカーノイズに強いドット反転方式でありながら低消費電力を実現し、従来のライン反転方式の55%、つまり半分近くまで消費電力が抑えられる。

 消費電力を下げるには、電圧を下げる方法と周波数を下げる2つの方法がある。しかし、周波数を下げるとフリッカーノイズが発生してしまう。発表会で行なわれたデモンストレーションでは、ライン反転方式のディスプレイを通常の60Hzから30Hzに下げた場合を紹介、ライン反転方式では気になるほどのちらつきが発生していた。

 今回のSmartDIDMは、30Hzに周波数を下げることで消費電力を抑えている。30Hzでは通常、フリッカーが発生してしまうが、フリッカーをドット上に発生させることでちらつきを抑制し、目視できるようなちらつきには感じないという。実際、デモンストレーションでもちらつきを感じるほどではなかった。横山氏によれば、携帯電話向けの動画なども、テレビのような60Hzの精細さを必要としないため、この方式が生かせるという。だが、デメリットもあり、透過モードの場合に通常よりもやや透過率が低下する。半透過型であれば問題ないとのこと。

 なお、60Hzとの切り替えも可能で、将来的に地上デジタル放送対応携帯電話が登場した場合に、携帯電話の通常利用を30Hz、地上デジタル放送を楽しむ場合は60Hzといった利用方法もできる見込みだ。ただし、60Hzで利用した場合は低消費電力とはいかない。また、今回の駆動方式はアモルファス液晶などにも採用可能となっている。

 三洋電機では、2005年の第1四半期にも、今回の技術を使った携帯電話ディスプレイを量産したい考えだ。従来製品との価格差についは、スイッチ1つ加わるだけなので、大差ないとしている。横山氏は、「今回の技術は決して技術的に難しいものではない」と述べ、「アモルファスではなく、低温ポリシリコンでも少し工夫すれば何とかなる。この発想が大事」と続けた。同社では、今回の技術に関して特許を出願中。大型液晶ディスプレイでは他社が先行しているため、携帯電話などのモバイル機器向けディスプレイに注力することで、活路を見出していくという。


従来のライン反転駆動方式 写真ではわかりにくいが「SmartDIDM」の方がちらつきのない画面になる

ディスプレイサイズが大きくなっても市場のニーズは低消費電力にある 従来のドット反転方式とライン反転方式のメリットを生かした設計

ドット反転方式はちらつきが少ない 従来との比較


URL
  三洋電機
  http://www.sanyo.co.jp/
  三洋電機ディスプレイカンパニー
  http://www.semic.sanyo.co.jp/lcd/


(津田 啓夢)
2004/03/11 13:36

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