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KDDI 代表取締役社長の小野寺 正氏
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KDDIは30日、2003年度第3四半期決算を発表した。これにあわせて都内で記者会見が開催され、同社代表取締役社長の小野寺 正氏から決算概要や、auに関する現況および事業戦略が語られた。
昨年より四半期決算を発表している同社だが、今回の会見では、当期だけの数値ではなく、2003年4月からの累積で説明された。それによれば、グループ全体の売上高は、約2兆1,043億円と前年同期比で0.8%増とわずかながらの伸びを示した一方で、営業利益は2,347億円、前年同期比101.3%増となった。なお、純利益は1,234億400万円(当期純利益375億4,900万円)で、こちらも前年より倍増している。
同社の抱える有利子負債は1兆2,291億円で、2002年度末時点より2,679億円削減されており、順調な推移を見せている。
■ au、純増シェアトップやPDC方式の終了などで利益が大幅増
各事業別に見ると、まずauの携帯電話事業では、売上高が1兆3,307億円(前年同期比9.6%増)、営業利益が1,895億円(前年同期比302.7%)となった。また純利益は、1,053億円で、前年同期が192億円だったことに比べると大幅に伸びている。
小野寺氏は「解約率が低下し、ARPUが安定してきたことに加えて、PDC方式の終了といったコスト削減などによる」とauの好調は複数の要因で支えられているとした。
ツーカーおよびDDIポケットについては、契約数の純減傾向が継続しており、売上高はツーカーが2,106億円(前年同期より310億円減)、DDIポケットが1,406億円(前年同期より89億円減)という状況。しかしながら両社ともに利益幅を順調に拡大しており、営業収益は、ツーカーが127億円(前年同期より122億円増)、DDIポケットが170億円(前年同期より19億円増)となった。
売上高は安定した状況で、利益が非常に好調な結果を残した要因として小野寺氏は「固定網およびブロードバンド事業は減収しているものの、auの好調さによって相殺された」とした。また、2003年度通期の業績についても、この傾向が引き続き第4四半期も維持できると見込んで、売上高が2兆8,480億円で営業利益が2,850億円になるとの予測を示した。これは中間決算の際に明らかにされた予想よりも、売上高は280億円、営業利益は300億円とそれぞれ上方修正された数値となっている。
■ 他社からの乗換ユーザーが増え、女性ユーザーの比率も高いau
続いて小野寺氏は、auに関するさまざまなオペレーティングデータを披露。まず端末販売に関わるインセンティブは、2003年度第1四半期が37,000円、第2四半期および今回の第3四半期が36,000円。2001年度の平均が42,000円で、2002年度の平均が40,000円となっており、営業コストを抑える方針が継続されている。しかしながら、年末商戦や好調な純増数を記録したことなどによって、2003年度通期におけるインセンティブの総額は、3,830億円と見込まれており、中間決算時点の予想より130億円増加している。
既存ユーザーの解約率は、2003年度第3四半期時点で1.4%となり、1年前より0.3%、2年前より1.1%減少しており、同社のユーザー獲得状況が順調であることを裏付けている。
また、ARPU(1契約者あたりの月間平均収入)は7,490円。内訳を見ると音声通話が5,830円で、データ通信が1,660円となっている。前年同期比で見ると、総合ARPUは150円下がっているが、データ通信は340円上昇。MoU(1契約当りの月間平均通話時間)を見れば、当期は178分(前期179分)とさほど変化はなく、横ばい傾向にあると同社では分析。小野寺氏は「ARPUは下げ止まり傾向にある」としている。なお、CDMA2000 1x端末に限ったARPUは8,400円で、音声通話が6,330円、データ通信が2,070円。こちらは漸減傾向が依然として続いている。
ユーザーを年齢層や性別で分類したデータによれば、2002年度上期に約15%を占めていた19~29歳のユーザーが、当期では約25%に増加。この世代は、ARPUが平均よりも3割ほど高くなっており、さらに女性ユーザーが53%を占めているという。これに対して小野寺氏は「ヘビーユーザーが他社から乗り換えつつあるのではないかと思う」と述べ、どの競合他社から乗り換えているかという問いについては、「ユーザーにも端末販売の際に聞いているが、なかなか答えてもらえない」と正確なデータがないとした上で、「個人的には、シェアを考えればドコモからではないかと思う」と述べた。
このほか、同社の割引サービスである「家族割」に関するデータでは、新規ユーザーの6割弱が新たに加入する状況とのことで、既存ユーザー(約55%)よりも多く利用されているとした。また、19~29歳のユーザー層はこの半年で他の年齢層よりも高い契約率の伸びを示しているが、他の年齢層について同氏は「既に囲い込みができているということではないか」とした。
■ CDMA 1X WINの弱点は知名度?
スタートから間もない「CDMA 1X WIN」の動向に触れた小野寺氏は、パケット通信料の定額制プラン「EZフラット」が、ユーザーから「安心して利用できる」と好評であり、高速な通信速度も評価されているとした。なお、同サービスのユーザー数は、12月末時点で47,000人。
小野寺氏は「WINというサービス自体知らないと言う人がまだ多い。また知っていても様子見という立場の人が少なくない。さらに販売店側もCDMA2000 1x端末は特に説明せずに売れるのに対して、WIN端末はEZフラットなどの説明が必要で注力されていない。新たな要素ばかりのサービスとしてはユーザーに十分利用されているレベルだが、認知度向上が急務」と述べ、現時点の1X WINをある程度評価しつつも、1X WINの伸び悩みを打破すべく積極的な活動を行なっていくとした。
NTTドコモのFOMAが近日発売予定であることに対しては、「ドコモの人気製品であるNシリーズやPシリーズは3月頃に発売されるとの報道を見たが、現時点では1X WINへの注力を継続していくことで十分他社の3G本格化に対抗できる」とした。
■ URL
KDDI
http://www.kddi.com/
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(関口 聖)
2004/01/30 18:39
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