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【ドコモ定例記者会見】「新型FOMAは来年1月出荷」

 NTTドコモの立川敬二社長は12月4日、定例記者会見を行なった。今年最後の定例会見ということもあり、同社が掲げるマルチメディア化、ユビキタス化、グローバル化の3つの観点から今年1年の取り組みを振り返る形となった。


FOMA、「来年はジャンプの年」

立川敬二氏

NTTドコモ 立川敬二社長

(impressTV)
 立川社長は冒頭、「今年は我々の予測に反して、上半期は純増数は前年同期比100%となり、下期はやや漸減傾向にあるが、それでも年間は80%程度で推移しそうだ」と、年初には純増数は大幅減少するとの見通しを裏切り、好調な1年であったことを示した。同氏は「非音声系に加え、依然として音声系のサービスでも拡大の可能性があることの証で、欧州に比べて普及率が低いことを考えると、当然といえるかもしれない」と説明する。

 マルチメディア化の観点で最も基本的サービスとなるiモードに関しては、サービス開始から4年半を経過。今年10月30日時点で4,000万契約に達したことを示し、「当社の携帯電話契約者のうち88%がiモードの契約者。単純に10人に9人がiモードを利用している」とした。また、iアプリが利用可能な端末は約2,000万台、カメラ付き携帯電話も同様に約2,000万台に達したとして、「とくに上期の好調ぷりは、iアプリ対応携帯電話やカメラ付き携帯電話の普及が大きく寄与した」とコメントした。

 FOMAに関しては、「今年はステップの年としたが、ネットワークの拡充が進み、端末の改良も着実に完了している。上半期で100万台を突破し、昨日の段階で160万加入を越えている。今年度末までに200万台の出荷は、確実に達成できる。来年はジャンプの年としたい」と語った。

 また、「FOMAの問題点としては、映像通信はどうか、テレビ電話は使われているのか、という議論があるが、100万加入を越えて、徐々に使われ始めている。今年9月時点では、FOMA端末利用者の20%がテレビ電話としても使っているという結果が出ている。これからは顔を映すという使い方だけでなく、さまざまな使い方の可能性があり、それを業者が考えてくれるだろう」と、今後への期待感も示した。


新FOMAは1月出荷、PDCも継続して機能強化

 同氏はさらに、新端末の発売などについても触れた。

 FOMAの新製品については、今月中旬にも新製品を発表する予定で、来年1月にも出荷を開始する予定とのこと。2004年度は上期と下期にそれぞれ1回ずつ、FOMAの新製品を投入する計画だという。

 PDC方式の端末については、「約4,000万がPDCの利用者であり、今後も継続的に機能強化を図っていく。現在、506iシリーズの製品開発をメーカー各社にお願いしており、これも来年には出てくることになる」とした。

 ボーダフォンがテレビ機能付きの携帯電話を投入していることについては、「アナログテレビでは、果たしてどこまで優位性があるのか。また、バッテリー寿命の問題もあり、テレビを見ていたら十分な通信ができなくなるという問題もある。すぐにテレビ付きの携帯電話を投入するつもりはない」と語った。


「PDCの加入者減少は画期的な出来事」

 新端末の1つとしては、3.5世代と呼ばれるHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)方式にも言及。「HSDPAについては標準化が終わり、端末を作る段階に入ってきた。すでにメーカー各社には開発をお願いしており、2004年度末には端末が完成し、2005年度から実用化段階に入るだろう。これが実現すれば、最大14Mbpsの高速通信が可能で、(実効速度でも)2Mbpsで通信できるようになる。EV-DOに比べてもかなりの高速性が担保できる」とした。

 また、今年9月以降、PDCの加入者数が減少傾向にあることを示し、「これは画期的な出来事」として、今後第3世代携帯電話の増加に転じることを強調した。立川氏によると、2006年にはFOMAとPDCの加入者数は半分ずつになるとしており、「この時点で当社の加入者数は、現在の4,400万から約5,000万に拡大しているだろう。2,500万がFOMAで、残りの2,500万がPDCということになる」と予測した。


FOMAのOSはSymbianかLinuxで

 FOMAに関しては、OSに関する質問も飛んだ。

 携帯電話に搭載するOSについては、製造メーカーの選択権が委ねられており、現在は、結果としてTRONが多いとしているが、「第3世代についてはOSを統一した方がいいという意向をもっている。欧州はほぼSymbianで統一されたようだが、Linuxやマイクロソフトといった選択肢もある。結果として、全世界でOSを一本化するのは難しいだろうが、ドコモとしてはSymbianとLinuxの2本立てでどうかと考えた。日本のメーカーは、この2つのOSの中から選択することになるだろう。富士通はSymbianに決めたことを発表したが、その他のメーカーはこれから決めるようだ。最終的に決めるのはメーカー側になる」とした。

 マイクロソフトのOS(Windows)が入らなかった点については、「オープン性を担保することができない」という理由を挙げた。


電子決済の本格化はFeliCaが鍵に

 一方、ユビキタス化についての今年の取り組みを振り返って立川氏は、「いろんな場面で利用できるように、実験をしている段階。関係各社とコラボレーションで実験を進めている」と話した。

 成田空港では日本航空と連携し、FOMAと無線LANの接続による実証実験を開始、六本木ヒルズでもiモードと無線タグによる情報提供サービスの実験を開始したほか、VISAインターナショナルとは赤外線機能を利用した決済サービスの実験を行なっている。また、これらをあわせたサービスとして東京ドームのラクーアで、アトラクションの乗り物予約、発券サービスなどを開始。モバイル端末を活用したユビキタス化を推進しているという。

 だが、「電子決済はFeliCa(フェリカ)のようなICチップを搭載するのが有効だろう。12月から試行サービスを開始するが、来年投入する新しい携帯電話端末にはFeliCaを搭載することになる。いよいよ携帯電話による電子決済が本格化することになるだろう」とした。


2004年は世界の3G元年

 グローバル化については、「みなさんからの批判はあるが」と、海外投資先の株価下落による評価損が大きなダメージになっていることに触れながらも、「着実に進んでおり、欧州ではiモードが100万契約を突破した。11月にはギリシャのコスモテ社とiモードサービスで契約し、来年のアテネオリンピックの際には利用してもらえるように準備を進めている。来年はEUに新たに10カ国程度が加入することから、こうした国々への展開や、北欧地区への普及も進めたい」と成果を強調した。

 だが、「第3世代については当初の計画よりも遅れている。イギリス、イタリアではハチソン3Gがサービスを開始しているが、それ以外の地域では年内のサービス開始はない。2004年になれば、各国でサービスが開始されることになるが、これも上期からとしていたものが下期になりそうだ。しかし、2004年は全世界で第3世代携帯電話サービスが始まる年になるだろう」と予測した。


番号ポータビリティより変更案内サービスが有効

 一方、質疑応答のなかでは、番号ポータビリティに関しての見解についての質問があり、これに対して立川氏は、「利用者にとって何がいいのかを考えるべき。アンケートの結果では、番号ポータビリティ制度があった方がいいと回答した利用者は30%程度。お金を払ってでもあった方がいいという人は9%程度。これに対して、変更した番号を教えるのが面倒と回答しているユーザーが9割もあった。どちらを優先すべきかといえば、簡単に番号を告知できる方法を用意するべきで、欧州のように高いお金をかけて仕組みを用意したが、使われていないというのでは仕方がない。欧州でやっているから日本もやるという議論はナンセンスで、簡単に番号を告知できる仕組みがあれば、番号ポータビリティは必要ない」と、これまでの意見を踏襲する発言を繰り返した。

 同氏は、番号の告知制度の1つとして、固定電話同様に変更通知案内サービスを用意する方法を提示。「携帯電話のサービス開始初期には、この制度を導入していたが、必要ないということで今は休止している。これを復活させればいいだけの話」と制度導入が容易にできることを訴えた。また、すべての人に番号を教えたくないという人に関しては、「携帯電話には、多くの人が電話番号をメモリしており、教えたい人だけのデータベースを作って配信すれば済むだろう」との意見を述べた。

 なお、これらのサービス制度導入の時期については、「総務省が中心になって進めている番号ポータビリティ制度の検討委員会の動向を見てから決めたい」とした。



URL
  NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/
  記者会見の映像(impressTV)
 


(大河原克行)
2003/12/04 17:22

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