|
|
|
日本ジェムプラス吉村氏、「今後は携帯とICカードの連携が重要」
|
|
|
|
|
|
日本ジェムプラス テレコム事業本部 コーポレートマーケティング ディレクターの吉村 晋一氏
|
日本ジェムプラスは27日、都内で報道関係者を対象とした説明会を催し、同社 テレコム事業本部 コーポレートマーケティング ディレクターの吉村 晋一氏から「欧州市場を中心に拡大するモバイル端末/ICカード連携」と題して、携帯電話などの端末と接触型ICカードについて、今後の展開が語られた。
■ ケータイのJavaだけでは不十分
|
日本国内における接触型ICカードの展開例
|
まず吉村氏は、日本国内における接触型ICカードの実例として、NTTドコモのFOMA向けサービスである「FirstPass」や「WORLD WING」などを紹介した後、接触型ICカードのうち欧州市場を中心としたSIMカードの流れを示した。GSM方式の携帯電話では、ネットワーク上でのユーザー認証を行なうための手段として発展したSIMカードだが、その後コンテンツをダウンロードできるSIMカードやドコモの「FirstPass」に近い信用管理機能を持ったSIMカードが登場しており、同氏は今後も更なる付加価値の追求が進むと分析。
また、世界規模でJavaに対応した携帯電話が普及しつつある現状に対して吉村氏は「更なる可能性を追求するためには、Java対応端末だけでは不十分」と述べた。同氏によれば、現状の携帯向けJavaアプリケーションでは、しっかりしたセキュリティ手法が導入されていないために、ビジネスなどでの利用が進まず、ゲーム中心の状況から脱することができない、ユーザーがゲームを購入したとしても1つの端末内でしか利用できず、コンテンツの著作権管理機能も満足なものではない。さらにコンピュータウイルスのような悪質なJavaアプリケーションに対する懸念が残されており、欧州では端末メーカーが市場をリードしているがために、Javaの互換性が保たれていないという。
これらの問題点に対して吉村氏は、Javaアプリケーションに対応したSIMカードである「Javaカード」が有効と指摘。個人ユーザーを認証できるJavaカードの機能を利用して、ユーザー管理がきちんと行なわれれば、よりセキュアで柔軟性に優れた課金方法や、デジタル著作権管理(DRM)機能を用いてダウンロードしたコンテンツを他の端末上で再利用できるとした。
続けて吉村氏は、Java対応の携帯電話とJavaカードの連携を実現するものとして、「JSR177」という規格を紹介。これは、端末上のJavaアプリケーションからJavaカード内のデータやアプリケーションにアクセスできるようにする標準仕様。2003年10月には標準化作業は終了しており、「JSR177」に対応した端末は、欧州市場において2004年度中にも登場するのではないかとの予測を示した。
|
|
携帯電話のJavaだけでは、問題点が数多くあるという
|
「JSR177」は、端末とJavaカードを結ぶ規格
|
■ Java端末とJavaカードがキラープラットフォーム
|
キラーアプリではなく「キラー環境」が必要との見解を示した
|
吉村氏は、Javaに慣れ親しんだ技術者は数多く、「Javaカード」だからといって特に意識することなくアプリケーションを開発できるとそのメリットを指摘。Java対応の携帯電話だけではなく、Javaカードを組み合わせることで、より多くのユーザーに高い利便性を与えられるとしている。
同氏によれば、これまでの携帯電話では、基本的に音声通話が主な使用法となっており、音声通話自体がキラーアプリケーションとしてユーザーのニーズに応えてきたが、インターネットを利用したデータサービスのように、「さまざまなユーザーや企業が関わる状況では、キラーアプリケーションではなく、キラー環境が必要」だという。
ユーザーからのニーズとしては、「国内外で同じサービスを利用したい、たとえば欧州では自動車を生産するドイツ企業のコンテンツをボーダフォンのユーザーでもオレンジのユーザーでも同じように利用したいという意向がある。またコンテンツを提供する企業側にも利用ユーザーをセキュアかつ確実に認証・確認したいというニーズがあるだろうし、より多くのユーザーにサービスを提供したいとも思っている」と述べた。そこで吉村氏は、複数のキャリアを横断してユーザーの認証が可能にするためMesh化という概念を示す。これにより個々のキャリアが持つネットワーク同士の接続方法にはこだわらず、エンドユーザーがJavaカードを持っていれば、全てのキャリア・コンテンツプロバイダがエンドユーザーを識別して、サービス提供が可能になるという。
|
|
エンドユーザー・企業ともにより利便性の高いプラットフォームを求めている
|
複数のキャリアのネットワークを横断したユーザー認証を可能に
|
ネットワークのMesh化を実現するために欧州では既にEC公認のプロジェクト「Trusted Transation Roaming(T2R)」が実施されたという。SIMカードをベースにして、国際ローミングが可能な電子署名を定義づけるプロジェクトだが、「1つの認証方法を全てのキャリアで使用するのではなく、複数の認証方法を1つのJavaカードでカバーするという考え方」(吉村氏)になるという。
Mesh化が実現すれば、どのキャリアを利用しても、結局は同じサービスを使えるようになる可能性がある。つまり、キャリアがそれぞれの特性を打ち出してユーザーを囲い込むことが難しくなるが、それを解決するような手法については「今後考えていかねばならない。しかし、モバイルコマースを考えれば、複数キャリアが抱えるユーザーを束ねて、1つのマーケットとしていかなければならない」と述べるに留まった。
最後に同氏は、「携帯電話はネットワークへの接続やマルチメディアプレーヤーといった機能を果たし、Javaカードは個人情報や契約情報のほか、金融などのセキュリティが必要なアプリケーションや、インターネットアクセスの際に安全性を確保するような役割を担う。これにより、いわゆる“ユビキタス”なサービスが実現する」と結論付けた。
|
|
T2Rというプロジェクトを通して、利便性の高い認証手法を追求
|
Java対応端末とJavaカードを組み合わせて、それぞれの役割を分担させることが重要
|
■ URL
日本ジェムプラス
http://www.gemplus.com/japan/
(関口 聖)
2003/11/27 18:24
|
|
|
|