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シャープ、広視野角・ハイコントラストの携帯機器向け液晶を開発

シャープ 取締役 モバイル液晶事業本部 本部長の片山 幹雄氏
 シャープは、従来に比べて、より広い視野角と高いコントラストを実現した携帯機器向け「モバイルASV液晶技術」を開発した。新技術を用いて生産される液晶ディスプレイは、12月より順次サンプル出荷が開始される。

 同社では3日、都内で記者会見を開催し、同社 取締役 モバイル液晶事業本部 本部長の片山 幹雄氏から新技術の概要が説明された。

 今回開発された技術は、従来では見えなくなる角度でも鮮明に表示され、色の再現性やコントラスト、応答性などの性能を向上した携帯機器向け液晶ディスプレイを生産するというもの。同社の液晶テレビ「AQUOS(アクオス)」では、寝そべりながらテレビを見られるなど、広視野角の「ASV(Advanced Super View)液晶技術」が用いられている。現在携帯電話などに採用されている半透過型の「アドバンスドTFT液晶技術」と、ASV液晶技術の融合により、今回のモバイルASV液晶技術が実現したという。

 携帯電話向けのアドバンスドTFT液晶は、半透過型ということで、暗い場所ではバックライトを利用する透過型液晶として機能し、明るい場所では反射型液晶として機能する。また、ASV液晶では、視野角を広げるために液晶分子があらゆる方向に向くようになっている。今回開発されたモバイルASV液晶ではアドバンスドTFT液晶の構造内で液晶分子があらゆる方向に向くようになっており、どんな環境下でもどのような体勢でも鮮明な表示を見られるようになる。なお、NTTドコモの「SH505i」などに搭載されている3D表示機能もサポートできるという。

 液晶ディスプレイデバイスには、同社のシステム液晶技術によって解像度が異なる画像を自動的に拡大する「マルチレゾリューション」や、画面表示の縦長・横長を切り替えられる「ローテーション・ドライバ」、ゲーム中などでもメール着信があるとスムーズに切り替えて表示する「スーパーインポーズ」といった機能が搭載されており、携帯端末のCPUやメモリの負担を軽減し、電力の低消費化を実現できる。ただし、モバイルASV液晶自体は、従来タイプより20%ほど透過率が下がっている。


モバイルASV液晶の構造 広い視野角、高いコントラストなどを実現

 プレゼンテーションを行なった片山氏は、「これまで携帯機器ではユーザー自身が手を動かして、液晶を見やすい位置にしていた。しかし、携帯電話などでは液晶部分が単純に縦長表示されるだけではなく、デジタルビデオカメラのようなスタイルになったり、回転させて横向きにするなど変化しつつある。モバイルASV液晶ならば、これらのニーズに対応できる。また、カメラ付き携帯電話を頭上に掲げて人垣の上から撮影する場合も画面が見えるようになる。“どこでもどこからでも見える液晶”は、これからのユビキタス機器を実現できる」と自信を見せた。

 視野角が広くなることで、映像などの閲覧がより快適になると期待される新型液晶だが、携帯電話では個人情報を表示する機会が少なくない。この点について片山氏は「視野角を狭くするのは、フィルムを貼るなどその実現は比較的に楽。どこでも見えるという液晶は、現在まで存在しておらず、シャープとしては、まずそこからやっていく。それを採用するメーカーがどの程度まで視野角を持たせるか決定することになるだろう」と述べた。さらに「ボタン1つで視野角を切り替えられる機能は予定されているのか?」という質問に対しては、「いずれ発表するときがあるかもしれない」と明言を避けながらも、開発中であることを示唆した。

 このほか会場では、9月22日に発表されたスピーカー搭載型液晶ディスプレイも披露された。オーディオ回路を内蔵しており、液晶パネル前面を振動させて音を発するタイプと外部スピーカーに接続するタイプが用意されており、携帯電話やPDAだけではなく、カーナビゲーション機器などへの応用も想定されている。


モバイルASV液晶のデモ端末が披露された。 色鮮やかで、滑らかな画像表示が印象的

同時に展示されたオーディオ回路搭載液晶の概要 こちらは液晶パネル前面を振動させるタイプ

外付スピーカーを接続できるタイプも展示されていた


URL
  ニュースリリース
  http://www.sharp.co.jp/corporate/news/031003-1.html


(関口 聖)
2003/10/03 15:49

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