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ドコモが四半期決算発表、津田副社長は「順調に推移」
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NTTドコモは、2003年度第1四半期決算を発表した。同社が四半期決算を発表するのは今年度からのため、前年同期との比較ができないが、同社では「今年5月8日に発表した年度計画と比較すると、営業収益では計画値の25.6%、営業利益は30.9%に達しており、それぞれ4分の1を越えていることを考えれば、業績は順調に推移していると判断できる」(津田志郎副社長)としている。
■ PDCのARPUは計画を上回る
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NTTドコモ 代表取締役副社長 津田 志郎氏
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発表によれば、営業収益は1兆2,523億円、営業利益は3,370億円、税引前利益は3,369億円、当期純利益は1,968億円。セグメント別では、携帯電話事業の営業収益は1兆2,244億円、営業利益は3,498億円となった。
第2世代(PDC方式)の携帯電話サービスでは、505iシリーズの投入によって契約者数が4,383万に達し、音声ARPU(端末1台あたりの平均収益)は6,140円、iモードARPUは1,900円、総合ARPUは8,040円。前年同期の総合ARPUの8,150円からは減少しているが、「iモードARPUが見込みを上回っていること、音声ARPUの下落もそろそろ下げ止まりに近づいてきたと感じており、総合ARPUも計画を少し上回った」(津田副社長)としている。このほか、iモードの契約率も87%と前年同期の80.8%から大幅に増加した。
第3世代携帯電話サービスの「FOMA」に関しては、通話エリアの人口カバー率を6月末時点で93%へと拡大したこと、iモーションメール対応、テレビ電話機能搭載モデルなどを投入したことで、6月末時点の加入者数が53万契約に到達。「今日の段階では67~68万契約に達しているだろう」(平田正之常務取締役)としている。
■ FOMA、146万契約を上回るペースで増加
FOMAの音声ARPUは6,360円、パケットARPUは3,250円、総合ARPUは9,610円となっており、今年3月には総合ARPUが7,740円であったことに比較すると急拡大しており、津田副社長は「エリアの拡大、新端末の投入、サービスの追加によって、FOMA契約数の増加、ノンボイス系ARPUの拡大を目指したい」とした。
FOMAは、今年度末までに146万契約を目指しているが、現在の進捗状況はこれを上回るペースともいえる。目標値の上方修正に関する質問も飛んだが、「今年度末には人口カバー率は99%に達する。利用者の79%を占める個人ユーザー、21%の企業ユーザーという比率は、今後もほぼ変わらずに増加するだろう」としながらも、「FOMA端末の投入には、メーカーの事情もあり、次の製品投入が遅れれば計画にも影響することになる。いま上方修正するのは時期尚早」とした。だが、上期終了時点での上方修正の可能性も匂わせた。
だが、その一方で、第1四半期における携帯電話契約者数の純増数はPDCで約30万、FOMAで約20万となり、第1四半期の純増シェアが32.1%と大きく落ち込んだ。これに伴って累計シェアも57.5%と3月期に比べて、0.5ポイント減少している点は気になるところだ。これについて、津田副社長は、「純増数では当初の計画通りであり、不安はない」と前置きしながらも、「505iシリーズを五月雨式に投入したことで、すべての端末が出揃うまで待つというような買い控えを引き起こすといった問題が生じたこと、部品不足を背景に需要に対応できるだけの数を十分用意できなかったこと、他社のがんばりによって、ドコモの想定以上に市場全体の伸びが大きかったことなどが要因」と説明した。
また、auが大幅な伸張を見せていることに対しては、「第2世代から第3世代への移行において、auの方が魅力的なものがあるのは認識している。移行の段階における一時的なものとしては仕方がないものだと思う。FOMAのサービスの強化だけでなく、iモードのサービス強化を含めて対応していく」とした。一方、7月の純増数では、50%以上のシェアを獲得したとしている。
■ PHS事業は@FreeDで改善見込み、FOMAの販売推奨金が若干増加
PHS事業に関しては、営業収益は198億円、営業損失はマイナス124億円。前年通期のマイナスが283億円であったことに比べると第1四半期だけの損失としては赤字幅が大きいが、「4月に開始した@FreeDの提供開始によって、4月以降は純増に転じており、年間9万の純増目標数のうち第1四半期は2万の純増となったこと、また、@FreeDといった新製品の投入によって販売経費がかかったことなどを考えると、今後改善できる」とした。
クイックキャスト事業は、営業収益は16億円、営業損失は9億円。純減数は約5万となっており、引き続き減少傾向にあるが、ネットワークの効率化などによってコスト削減を推進しているという。
国際ローミングサービスや無線LANサービスなどを含むその他事業では、営業収益は64億円、営業利益は6億円と、「ほぼ計画通りの進捗」としている。
設備投資は1,475億円と、年間計画の8,140億円の18%程度に留まっているが、「FOMAのエリア拡大に関する投資については、予定通りにすすめている」とした。
また、フリーキャッシュフローは768億円と、年間計画の8,400億円から大幅に少ないが、「税金の支払いや、期末請求の支払いが第1四半期になること、505iの出荷が6~7月になったことで在庫を抱えたことなどが原因であり、これからフリーキャッシュフローは増加していくことになる」という。
なお、津田副社長は、第1四半期にはFOMAに関する販売奨励金を約2,000円程度増加させたことを明らかにし、「本来、奨励金はステイさせる、あるいは下方させたいと思っているが、他社との競合関係のなかでは2,000円程度上乗せした。7月以降も引き続き実施しているが、各社の動きやシェアの動向を見ながら考える」とした。
■ URL
NTTドコモ 第1四半期業績の概況
http://www.nttdocomo.co.jp/corporate/investor_relations/referenc/h1601k/messag_j.html
(大河原克行)
2003/08/07 18:44
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