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NECが上期業績予測を上方修正、携帯電話では2倍以上の成長
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NECは、2003年度第1四半期連結決算が、売上高が前年同期比0.9%増の1兆307億円、営業利益が120億円、税引前利益が98億円、当期純利益が7億円になったと発表した。
同社・松本滋夫取締役専務は、「2003年度通期では、2期連続の最終赤字からの脱却、財務体質の強化、そして、健全な成長軌道に戻すことが最大の目標。そうした点で見ても、第1四半期は順調な滑り出しをみせた」とコメント。上期の業績見通しを4月時点の発表に比べて、営業利益で50億円増の500億円に、当期純利益を90億円増の120億円へと上方修正した。
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NEC取締役専務・松本滋夫
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決算サマリー
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■ 携帯電話事業は、台数・売上ともに倍増
特に携帯電話では、台数では前年同期の180万台から410万台へと拡大。金額ベースでも888億円から1,750億円へと驚くべき成長を遂げている。
第1四半期実績で出荷台数の約4分の3を占めている国内市場においては、カメラ付き携帯電話が買い換え需要を喚起、なかでもドコモ向けの出荷が拡大している。国内向けの3Gは出荷量の約2割を占めたとしている。
一方、海外向けでは、ハチソン向けの3G端末が6月から本格的に立ち上がりはじめたほか、中国市場向けもSARSの影響で若干の遅れがあるものの堅調な成長を維持。さらに、欧州向けのiモード端末事業が拡大している。海外向けでは3Gが約30%を占めている。
「今年度末には海外出荷比率が3分の1に達するだろう」(松本取締役専務)として、第2四半期以降は海外向け出荷比率が高まると予測している。
ネットワークソリューション事業は、売上高が17.7%増の3,886億円、営業利益が53億円増の106億円。
懸念材料だったネットワークインフラ事業が、構造改革と原価低減の効果で、利益面でブレイクイーブンへと改善。さらに、携帯電話事業が急激に拡大したことで売上高が一気に拡大した。
その他セグメントでは、ITソリューション事業が売上高が前年同期比9.7%減の4,015億円、営業利益が21億円増の55億円。
コンピュータプラットフォーム事業が、昨年同期にはNTTドコモ向けの大型システム案件があったのに対し、今年度はそうした案件がなかったことで、前年同期比23%減という大幅な落ち込みを見せたが、SI・サービス事業が1,316億円と堅調で売上高を下支えした。また、収益面では、ソフト・サービス事業が前年並みの100億円の利益、一方、ハードウェアが40億円強の赤字となっている。ハードウェアでは、パソコンがブレイクイーブンのところにまで回復したが、金融専用端末、流通専用端末の赤字および価格競争が熾烈化しているPCサーバーの業績悪化も影響しているという。
だが、今後の計画については、上期の営業利益の上方修正分のうち、ITソリューション事業で20億円の上方修正を行なっており、今後の収益はさらに拡大すると見込んでいる。
国内のパソコン出荷台数は65万台。前年同期の72万台に比べて9.7%減となった。こうした状況について「2度に渡る構造改革によって、採算性が改善、前年同期の赤字からブレイクイーブンとなった。国内トップシェアの強みを生かし、商品企画力とCSの向上を図る」とした。
なお、通期の計画については変更はないが、「中間期の発表時期までに見極めたい」として、上方修正の可能性があることも匂わせた。
■ 2003年度の利益確保に順調な滑り出し
今回の決算内容を見る限り、2003年度の目標として掲げている営業利益1,800億円の確保に向けては順調な滑り出しを見せたといえる。懸念材料だった財務体質も営業キャッシュフローが大幅に完全するなど、改善がすすんでいることを示した。
今後の課題は、価格競争が激化し、その影響を受け収益体質が悪化したたサーバー事業の改善といえそうだ。パソコンの事業体質が改善した直後に、新たな課題が出てきたともいえる。
また、資材費削減も前年度に引き続き30%削減という大幅な目標を掲げているだけに、これまで以上の取り組みが必要だ。すでに、海外向け携帯電話事業を中国生産を本格化、携帯電話とパソコンでは共通のサプライヤーが多いことを背景に共同部品調達を加速するほか、資材費を意識した独自の「開発購買方式」による成果を高めるといった動きにも取り組むという。
方向は明らかに回復基調に向かっているだけに、今後の継続的な原価低減、構造改革への取り組みと、その業績への影響が注目される。
■ URL
ニュースリリース
http://www.nec.co.jp/press/ja/0307/3101.html
(大河原克行)
2003/07/31 21:59
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