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NTTドコモは19日、都内のホテルで第12回定時株主総会を開催した。同社は2002年4月1日から2003年3月31日までの営業報告および損益決算書報告を行なった後、事前に寄せられた質問への一括回答および会場の株主からの質問に回答した。
■ FOMAは魅力ある端末で底上げ
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今年度以降のFOMA戦略
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質問内容は、FOMA事業や赤字事業への取り組み、株主への還元など多岐に渡った。
FOMAに関しては、通話エリアや端末機器といった点でユーザーの要求を満たしていないため、加入者数については当初の計画から約1年を遅れていることを示す一方、パケット通信が低料金であることをアピールするとともに、魅力ある端末機を投入、2003年度末で99%の人口カバー率へと拡大することで、これまでのパイオニアユーザーから一般ユーザーへと利用者を広げ、PDCからFOMAへの円滑な移行を図りたいとした。
月間純増シェアが減少していることについては、機種投入の谷間であり、一時的なものと判断していると回答しながらも、危機感をもってシェア回復に取り組んでいく姿勢を示した。
■ 海外投資は引き続き慎重に
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NTTドコモ
立川敬ニ社長
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ドコモが狙う事業領域拡大
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海外投資に関する2期連続での特別損失の計上では、海外通信事業者の株価下落によって、株主には大変心配をかけたとし、2002年11月から2003年3月まで、立川敬二社長の報酬を20%カットしたほか、副社長は15%、その他の取締役は10%をそれぞれカット。さらに役員賞与を見送った。報酬カットによる減額分は社長、副社長、役員で2,716万円に達したという。また、海外投資に対する責任を全うするのは、海外事業を成功させることだとして、現在、海外で60万ユーザーにとどまっているiモード事業の拡充、英国で開始した第3世代携帯電話サービスを世界規模で拡大していくことを目指すとした。
海外投資に関しては、これまで累計で約1兆9,000億円の投資を行なってきたが、海外投資に関する特別損失の総額は1兆5,000億円に達している。だが、海外投資および提携は、今後も引き続き慎重に行なっていくとした。
赤字事業になっているPHS事業に関しては、283億円の赤字と、前年に比べて赤字幅が半減していることを示し、一刻も早く黒字化したいとする一方、FOMAが立ち上がっており、データ通信、高速マルチメディア機能といった点での主力は今後はFOMAになるとした。
FOMAでは384kbpsの通信が可能だが、パケット課金であることから情報量が多い場合には料金が高くなる。大量にデータを転送する利用者は、64kbpsと速度は遅くとも回線交換方式による定額制の利点を活かせるPHSの方が安くなるため、用途によって使い分けが可能だとした。PHSでは、法人を中心に継続的に販売していく考え。
また、同じく赤字事業となっているクイックキャスト(ポケベル)事業については、毎年20万ずつの解約があるとしながらも、自治体や消防団など、災害時に一斉同報が低コストで行なえる点で根強い利用があるとしており、ネットワークや保守の統合化などによりコスト削減をすすめ、赤字幅を減少させたいとした。将来的には、代替サービスに移行していくことになるとした。
■ 取締役の数は適正
一方、現在27名の取締役の数は多いのではないかとの意見も出たが、これに対しては、売り上げ規模、資産規模、サービスの広がりなどを考えると妥当だと考えているとし、昨年度実績で年間18回の取締役会を開催し、さらに、有識者10名で構成されるアドバイザリーボードにより外部からの意見も取り入れていることなど、運営も適正であることを訴えた。立川社長も、「定款では43名と定められており、今の27名は適正。米国では企業の会計疑惑問題もあったが、それはチェック機能に問題があったからだと思っている。監査役を増やしたい」とした。
総会は、自己株式取得や、取締役3名および監査役4名選任など6件の議案が審議されたが、すべての議案が可決され、約1時間40分で終了した。
■ URL
NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/
(大河原克行)
2003/06/19 13:12
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