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松下電器が決算発表、携帯電話事業に黒字化の目処

中村邦夫社長

中村邦夫社長
 松下電器産業は、2003年3月期の連結決算を発表した。売上高は前年比5%増の7兆4,017億円、営業利益は前年に比べて3,256億円増加の1,266億円。税引前利益は前年比8,067億円増加の689億円、当期純利益は、投資有価証券評価損で526億円を計上、さらに外形標準課税の影響で法人税等で713億円を計上したことで、マイナス195億円の赤字となった。

 最終赤字となったものの、本業の売り上げを示す営業利益では、当初計画の1,000億円、さらに、2月に修正発表した1,200億円を上回ったことで、「社会との契約としていた最低限の目標は達成できた」(松下電器・中村邦夫社長)とした。

 成長のエンジンと位置づけていた海外事業が前年比5%増と伸張。売上高構成比で55%、利益で57%を占めた。

 また、V字回復のための戦略製品と位置づけた「V商品」は、2002年度実績で88品目、1兆円を達成。パナソニックブランドでは、業界平均成長率3%増に対して20%増。白物家電を中心とするナショナルブランド商品は業界平均成長率4%減に対して、4%増となった。


DVDレコーダーは世界シェア50%を目指す

2003年度の見通し

2003年度の見通し
 部門別に見ると、AVCネットワークは前年比4%増の4兆3,961億円、家電製品などのアプライアンスは同3%増の1兆2,102億円、FA、空調機器などのインダストリアル・イクイップメントは同1%減の2,852億円、半導体、電子部品などのデバイスは同10%増の1兆5,102億円となった。

 一方、2003年度は、売上高は前年比1%増の7兆4,500億円、営業利益は1,500億円。税引前利益で1,200億円、当期純利益で300億円の計画とした。

 AVCネットワークは、前年比3%増の3兆7,600億円、営業利益で940億円を目指し、SDカード、DVD、デジタルTVの「3D」分野におけるバリューチェーンおよび新製品の世界同時立ち上げによって、シェア獲得と売り上げ向上を図る。

 とくに、DVDレコーダーに関しては、世界シェア50%獲得、2004年度には月産100万台達成を目指しており、事業の太い柱と位置づける考え。

 さらに、2001年から推進している構造改革に関しては、「これまでは全社規模で実施してきたが、これからはドメイン別に落とし込む。構造改革の常態化をすすめたい」(中村社長)として、AVCネットワークで80億円、アプライアンスで230億円、デバイスで190億円の合計500億円の特別費用を計上する。

 そのほか、V商品も2003年度は90品目を策定し、これだけで1兆2,000億円を売り上げる計画だ。


携帯電話事業に黒字化の目処

 昨年までは課題事業と位置づけられていた携帯電話事業に関しては、徐々に回復基調にあり、2003年度は成長事業のひとつに位置づける。

 同社・川上徹也取締役は、「携帯電話事業は年間ではマイナス130億円の赤字だったが、2003年1~3月は、黒字化しており、一部製品が品薄となっているほどの人気ぶり。FOMAの市場においては、現在40%近いシェアを獲得しており、最先端技術製品を継続的に投入することで、このシェアを継続していきたい」と話す。

 P2102Vによるダブルカメラ戦略、薄型戦略などが功を奏しており、「これによって、2003年度は国内シェア20%を目指す」(川上取締役)としている。

 また、海外向けの携帯電話市場についても、「中高級機種の評判が高く、他社を凌駕している。カメラ付き製品を中心に商品ラインアップを強化するとともに、開発の効率化によって増販を見込んでいる」とした。

 川上取締役は、「2003年度は、携帯電話事業の黒字化は達成できる」との見通しを明らかにしており、昨年度までの「お荷物」的な存在から一転して、成長戦略に一翼を担う位置づけへと転換することになりそうだ。


国内市場 海外市場
国内市場
海外市場


URL
  松下電器産業
  http://panasonic.jp/


(大河原克行)
2003/04/28 19:00

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