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セイコーインスツルメンツ（SII）は、NTTマイクロシステムインテグレーション研究所、セイコーエプソンと共同で、体温や照明光などの極めて低いエネルギーから電力を生み出すバッテリーレス無線システムを開発したことを明らかにした。同技術は、バッテリーレスの情報端末に向けた足がかりとなるもの。 今回の技術は、体温や照明光などの極めて低いエネルギーから電力を生み出し、バッテリーレスで通信を行なうというもの。新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）が、SII、NTTマイクロシステムインテグレーション研究所、セイコーエプソン他7社に委託した、1998年度から5年計画で実施されているプロジェクト「極低電力情報端末用LSIの研究開発」の最終年に、アプリケーション例としての上記3社が共同開発した。なお、同技術は、2月9日に米サンフランシスコで開催された国際会議「2003 IEEE INTERNATIONAL SOLID-STATE CIRCUITS CONFERENCE」において、研究成果として発表され、デモンストレーションが行なわれた。 デモストレーションでは、送信機と受信機からなる情報通信端末（試作機）が用意され、送信側に手を触れると、体温による発電量だけで5mほど離れた受信機に無線でメッセージを送信、受信機の液晶を表示させるというもの。その際の消費電力は、約1mWほどで、これは新幹線などに設置された文字情報サービスのような数行の文字が送信できるものだという。今回の開発機器は、家庭内などの短距離無線通信を実現するもので、外気と体温の温度差が大きいほど大きな電力が得られる温度差発電型の情報端末とのこと。 NEDOでは、このほか室内の照明光を受けて太陽電池で発電したり、ゼンマイを巻いて発電したりできる情報通信端末や、手にもって動かすと発電して通信するペン型端末、さらに、服が掛けられた際に発電して通信するハンガー型の端末などが実現できるとしている。 今回デモンストレーションが行なわれた機器の開発にあたって、SIIは各種LSIに電力を供給する電源変換部と、低いエネルギーから電力を生み出す発電機部を担当。NTTマイクロシステムインテグレーション研究所は主にシステムアーキテクチャやCPUなどのデジタル処理部を、セイコーエプソンは、低電圧SAW発振回路および、それを応用した無線システムの開発を担当した。 SIIでは、低消費電力、低電圧動作、高効率の電源用ICに商品化に努め、今後も「高効率で低消費電力」の電源変換部の開発に注力していくとしている。このほか、NEDOでは、今回の技術が成功したことにより、わずかな光や温度、運動のある限りあらゆる場面において、バッテリーレスな情報通信端末が実現できるとしている。5年間かけた基礎研究の成果を元に今後実用化研究を行ない、「希望的観測ながら」と前置きした上で、2010年にも商品化を実現したいとしている。2010年は、京都議定書で提出された環境目標の達成年でもある。
■ ＵＲＬ ニュースリリース（NEDO） http://www.nedo.go.jp/informations/press/150220_2/150220_2.html ニュースリリース（SII） http://speed.sii.co.jp/pub/corp/pr/newsDetail.jsp?news=399 NTTマイクトシステムインテグレーション研究所 http://www.sctlg.ecl.ntt.co.jp/ntt_en/ セイコーエプソン http://www.epson.co.jp/ （津田 啓夢） 2003/02/25 18:17 | ||||||
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