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KDDI小野寺社長、「今後は“非ケータイ型端末”が伸びる」

KDDI 代表取締役社長 小野寺 正
 KDDI 代表取締役の小野寺 正社長は、18日都内で定例記者会見を行なった。会見では、同社の2002年度の事業展開を振り返ったほか、2003年における携帯電話の動向予測などが語られた。


包括的なカスタマーサービスが重要

 小野寺氏は、CDMA2000 1x方式を開始したことや、ムービーメールなど2002年に実施された新サービスを振り返り「12月時点で700万台を突破」し、順調に事業が推移しているとの見解を示した。また、KDD・DDI・IDOが合併して2年が経過して「合併による構造改革はほぼ終わった」としたが、「auだけ、ネットワークだけ、と個別にサポートというわけにはいかない。KDDIのサービスであれば、1つの窓口で全て受けられるようにしたい」として、窓口部門や運用部門の統合を続けていくとした。

 このほか、年末年始に予想される携帯電話などのトラフィック増大に対して「通常の80%の発着信を段階的に規制することになるだろう。ユーザーに迷惑をかけるが、ご理解いただきたい」と述べた。


個人ユーザーよりも“非ケータイ型端末”が伸びる

 2003年以降の携帯電話市場に対する動向について、小野寺氏は「個人向けだけ見ると、人口普及率から見ても、ある程度で滞らざるを得ない。(携帯電話ユーザーが)7000万人を突破し、来年の純増数は伸びても500万台程度」との見解を示した。

 続けて同氏は、「個人向けは鈍化するが、GPSMAPなど魅力的なアプリケーションサービスの提供などで法人向けサービスを拡充したい」との意向を改めて示した。また、「ココセコムのように、携帯電話の形をしていない端末が伸びると予想しているが、(どれほどの市場規模になるかは)未知数。来年は予測できるのではないか」と述べた。


携帯電話の定額制はEV-DO導入後も難しい

 2003年4月から試験サービスが予定されているCDMA2000 1xEV-DO方式について質問された小野寺氏は「ユーザーから見ればシステムは関係ない。必要なのは2Gで利用できるサービスを3Gでも利用できるようにすること」と従来通りの意見を述べた。

 またNTTドコモのFOMAの人口カバー率が91%となることに触れた同氏は「90%だろうが91%だろうが、1%増えた程度では問題ではない。重要なのは屋内などをいかにカバーできるか。2G端末で利用できた建物で3G端末が使えないとなれば、それでも利用したいというユーザーはいるのか」とした一方で、「NTTドコモの資本力を持ってすれば、屋内のカバーなどは時間の問題」と述べ、現状リードしている3Gサービスについて安穏としている訳ではないとの姿勢を見せた。

 また小野寺氏は「EV-DO導入後は、パケット単価は大幅に低下するだろう」と述べたが、携帯電話の定額料金制については「定額制はコストダウンが大前提。EV-DOでパケット単価が下がるとはいえ、トラフィックが予測できないことが一番問題。(家庭などに導入されている)“地上系”インフラは上流回線がほぼ100%近く光ケーブル化されているので、しばらくは余裕もあり、定額制で提供できるが、周波数の不足なども予測される“無線系”では、トラフィックが予測できないため基地局などを含めた上流回線のインフラを調えること自体難しい」と述べた。

 さらに、DDIポケットから提供されている定額制データ通信サービスも引用して「インフラを調えたことでキャパシティも上がっため、32kbps程度であれば定額制で問題ない。しかし、高速化するCDMA2000 1xEV-DOではつらい」と率直に語った。

 なお、CDMA2000 1xEV-DO方式後の料金体系については「ネットワーク側のコストも下がるだろうが、現在検討中」と述べるにとどまった。


ターゲットを絞った戦略をとる移動体通信事業

 au・ツーカー・DDIポケットと分化して展開しているKDDIグループ内の移動体通信事業について小野寺氏は「定額制で常時接続が強みのDDIポケット、シンプルなツーカーといった具合にユーザーの認識が高まれば、それぞれの棲み分けはできると考えている」と述べた。また、ツーカーグループは2002下期は黒字になるとの予測も明らかにされた。


J-フォンの3Gサービスは歓迎、GSM/CDMA2000 1xデュアル端末は中国で登場?

 20日から提供が予定されているJ-フォンの3Gサービス「Vodafone Global Standard」について、小野寺氏は「他社のサービスについてあれこれ言う立場にないが」と前置きした上で「国内の3Gサービスが出揃ったことで、何よりもコンテンツプロバイダが事業展開し易くなるのではないか。そういう意味でも歓迎している」とコメントした。

 このほか、海外ローミングサービスについて同氏は「先日チャイナユニコムをはじめとして、韓・米・豪・タイなどの事業者が国際ローミングについて会議を開催した。音声ローミングもさることながら、やはりパケットのローミングをできるだけ早くやろうという共通認識ができた。時間はかかるだろうが、足並みは揃った」と述べた。

 さらに小野寺氏は、GSM/CDMA2000 1xデュアル端末について「チャイナユニコムは2GサービスをGSM方式で提供してきたが、CDMA2000 1xを導入しようとしている。そうなれば、GSM方式とCDMA2000 1x方式のローミングへのニーズは高まるだろう。KDDIとして提供する予定はないが、遠くない将来に海外キャリア向けに出てくるのではないか」と語った。


・ KDDI
  http://www.kddi.com/


(関口 聖)
2002/12/18 18:29

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