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総務省は、携帯電話などの電波が生体に与える影響について研究を行なっている「生体電磁環境研究推進委員会」がラットを用いて記憶能力の実験を行ない、電波が生体に熱を発生させない程度のものであれば、記憶能力に影響は認められないとする結果を発表した。
「生体電磁環境研究推進委員会」は、電波が生体に与える影響を調査する目的で平成9年に設立され、平成11年度よりラットを用いて電波が脳に与える影響に関する実験などを行なってきた。
今回行なわれた実験では、T字型の迷路を設け、通路内の1カ所に餌を設置。4日間かけてラットに餌の場所を記憶させた後に、PDC方式で1439MHzの電波を脳平均SAR(Specific Absorption Rate、生体に吸収される電波の平均エネルギー量)7.5W/kgというレベルで1時間ラットに浴びせ、さらにそれを4週間(週5回)続けた。なお、脳へのSARの許容値は、世界的に2W/kg。各キャリアや携帯電話メーカーでは端末のSARを発表しているが、先日発表されたNTTドコモの「P504iS」で0.450W/kg、J-フォンの「J-SH52」で0.70W/kgとなっている。
電波を浴びせた後に、通路内の別の場所へ餌を移動してラットの反応を調べた。同時にラットの体温上昇(熱作用)も測定されたが、体温上昇は起こらなかったという。また、餌の記憶訓練を行ないながら、電波を浴びせないラットおよび訓練も受けず飼育されていたラットも用意され、その行動と比較された。
反対に餌を置いた直後は、ラットは最初に餌が置かれていた場所へ行ったが、やがて餌のある場所を学習し、記憶するようになったという。電波を浴びていないラットおよび訓練を受けず通常飼育が行なわれていたラットの行動と比較したが、明確な差は見られず、同委員会は「熱作用が生じない程度の電波であれば、記憶能力、および学習能力への影響は見られない」と結論付けている。
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実験で用いられたT字型迷路
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・ 総務省
http://www.soumu.go.jp/
(関口 聖)
2002/11/13 13:04
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