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SL-C700
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シャープは、OSにLinuxを採用した新型ザウルス「SL-C700」と「SL-B500」を12月14日に発売する。価格はともにオープンプライスだが、実売価格は「SL-C700」が5万円台後半、「SL-B500」が4万円台の後半になる見込み。
640×480ドットで表示できる「SL-C700」
「SL-C700」は、VGA(640×480ドット)表示が可能でキーピッチ10.75mmのモバイルキーボードが搭載されたPDA端末。3.7型6万5536色の透過型システム液晶を搭載し、従来のシャープ製の端末よりも明るさが2.5倍、解像度が4倍に向上した。ソニー製のPDA「CLIE PEG-NX70V」のように液晶画面をヒンジ部から回転させて、文字の入力に適したインプットスタイルと、片手で持って操作するビュースタイルのどちらでも利用可能。
CPUはIntel XScale(PXA250、400MHz)を装備し、電源が落ちてもデータが消えないフラッシュメモリー64MBを搭載。作業エリアには、SDRAM32MBも備えている。SDカードスロットとCFカードスロットをそれぞれ1つ装備し、I/Oポートや赤外線通信ポートも搭載。
パソコン画面に表示された情報を瞬時にザウルスに取り込める「ザウルスショット機能」も利用可能で、画面からはみ出して見えない部分もプリントイメージで取り込むことができる。また、WordやExcel互換ソフトがプリインストールされており、表計算やワープロのデータをメールに添付することも可能。ホットスポットや外出先などのモバイル通信環境に合わせて、無線LANカードやデータカード型のPHS端末を接続すると、カードを判別して自動的に登録されている接続先が選択される「スマート接続機能」も用意される。
バッテリーは、取り外し可能なリチウムイオン充電池が採用され、約4時間50分の連続表示が可能。大きさは約120×83×18.6mm(幅×奥行×高、突起部除く、高さは最薄部)で、重さは約225g。
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SL-C700(インプットスタイル)
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SL-C700(ビュースタイル)
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スライド式キーボードを採用した「SL-B500」
一方の「SL-B500」は「MI-L1」などと同タイプのスライド式キーボードが採用され、取り外し可能なリチウムイオン充電池で約18時間の連続表示が可能なPDA端末。240×320ドットの反射型TFTカラー液晶が搭載されているほか、「SL-C700」と同程度のスペックを持っているという。連続表示時間が18時間となったことで、「MI-L1」などの同形状の端末とは異なり、背面部の充電池部分が膨らんだ形をしている。
大きさは、液晶保護カバー取り付け時に約74×138×20.6mm(幅×奥行×高、突起部除く、最厚部は約25.3mm)で、重さは約223g(液晶保護カバー取り付け時)。
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SL-B500
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スライド式キーボード
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シャープ宇野氏「これでもまだパソコンを持って出かけますか?」
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常務取締役の御手洗顕氏
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新型ザウルスの発表会では、常務取締役の御手洗顕氏より、ザウルスの歴史や発売に至る経緯などが語られた。同氏によると、「通信環境の変化によって、モバイルで単なる文字情報だけでなく、画像や音声、映像が必要とされるモバイルインターネット時代が来た」と、新型ザウルスの製品化のタイミングについて説明した。
続いて、モバイルシステム事業部事業部長の宇野祐史氏より、最新動向および商品戦略について説明があった。なお、宇野氏は実際に「SL-C700」をCFタイプのグラフィックカードでプロジェクターと接続して、プレゼンテーションを行なっており、ビジネス用途で頻繁に行なわれるプレゼンテーションにも対応できることをアピールした。またワープロや表計算、メール、インターネットといったビジネスで必須となる機能を盛り込んだことも語った。
このほか液晶画面には、CGシリコン技術と呼ばれる新しい液晶技術を開発し、高精彩に加えて各種デバイスを同一のガラス基盤上に形成できることから、小型化や低消費電力も実現されたことなどが語られた。最後に同氏は「これでもまだパソコンを持って出かけますか?」と問い掛けた。
製品の概要については、商品企画部長の藤原齋光氏より紹介があった。藤原氏は、従来の320×240ドットのQVGAサイズとVGAサイズの違いを画像を使って説明し、「パソコンと同じVGAサイズ」ということを強調した。同氏は、自分の出張シーンを例にとって、「SL-C700でたくさん持っていかなければならなかった紙の資料が必要なくなる」と語った。パソコンで作成されたプレゼンテーションの資料などを、同製品に取り込むデモンストレーションを行ない、「ザウルスショット機能」については「プリンターで印刷している感覚で取り込める」とその利便性を説明した。
このほか藤原氏は、LinuxやJavaの開発環境も用意していることを紹介し、「すでに全世界のソフト開発者がソフトを開発している」と述べた。
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SL-C700を使ってプレゼンテーションを行なうモバイルシステム事業部事業部長の宇野祐史氏
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VGA表示をアピールする商品企画部長の藤原齋光氏
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外出先のモバイル端末利用例
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アイ・オーデータ機器のCF型グラフィックカードでプロジェクターにも出力できるという。
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VGA表示でEXCELなど表計算ソフトも快適に見れるという。
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Linux OSを採用することでオープンソースによる自由度が向上
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従来の320×240ドット表示
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640×480ドット表示
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既存のLinuxザウルスも有償で最新ソフトウェアに
発表会の後の質問時間では、様々な質問がなされた。「SL-C700」の目標販売台数は月産2万台で、「SL-B500」が月産1万台。また新型ザウルスの発売に伴なって、Linuxザウルス「SL-A300」でも同様のソフトウェアを有償で提供されることなども明らかにされた。なおプレゼンテーションでは、ビジネス用途での説明が主だったが、あくまで「モバイルで使える商品を作った」とそれ以外の用途でも有用であることを強調。
フリーソフトやシェアウェアなどで提供されているLinuxザウルス向けの日本語対応ソフトは、現在約50本程度で、シャープでは今後、動作検証をしたのちザウルス宝箱で順次紹介していくという。
発表会の後には、実際に実機に触れることができた。「SL-C700」と「SL-B500」の連続表示時間の大幅な違いについて、同社スタッフは社内でも賛否両論あったと前置きして、「大容量にすると重くなってしまうことに加え、インプットスタイルで使う場合、そして身に付けることを考えたとき薄型のバッテリーを選択した」としていた。バッテリーは取り外せるので、バッテリーの持ちが気になる場合は、「予備バッテリーを携帯すればいい」とのこと。
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手にすっぽりと収まるSL-C700
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SL-C700をサイドから見たところ。液晶の角度は思ったところで止まる印象
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CFカードスロットの横には、ヘッドホンが差し込める
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電源ボタン、ビュースタイル時の選択ボタン、SDカードスロット、ACアダプターの差込口
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SL-B500は、大容量のバッテリーを搭載している為、MI-L1などより背面部が膨らんでいる
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SL-B500に無線LANカードを装着。カードを自動的に判別する「スマート接続機能」も利用できる
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・ ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/021112-1.html
・ シャープ、「新ザウルスは年内発売を目指す」
(津田 啓夢)
2002/11/12 19:03
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