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シャープ、ガラス基板上にZ80を形成

ガラス基板上の回路を紹介する半導体エネルギー研究所 代表取締役社長 山崎氏
 シャープと半導体エネルギー研究所は、共同開発したCGシリコン技術を応用してガラス基板上に8ビットCPUの形成に成功したと発表した。また両社は今回の発表にあわせ、都内で記者会見を開催し、開発の経緯や今後の応用製品における展望などが語られた。

 今回発表された内容は、両社が1998年に共同開発したCGシリコン(Continuous Grain Silicon、連続粒界結晶シリコン)技術を応用して、ガラス基板上に1976年にザイログ社が開発した8ビットCPU「Z80」を形成できたというもの。CGシリコンは、粒子が大きく、規則的に配列される(連続粒界)ため、電子がより高速で移動できることが特長。

 従来のアモルファス(非結晶)シリコン結晶は結晶粒子が小さく、不規則に並び、またポリ(多結晶)シリコンは、粒子が大きいものの、境界が不規則で、両社は、いずれの面でもCGシリコンにアドバンテージがあるとしている。

 今回成功した技術を応用することで、液晶ディスプレイと同じガラス基板上に信号処理や電源回路など、さまざまなLSIを形成できる目処が立ったという。シャープでは2005年にディスプレイをシステム化した「ディスプレイカード」などを出荷していきたいとしている。

 記者会見に出席した半導体エネルギー研究所 代表取締役社長の山崎 舜平氏は、「ガラスに含まれるナトリウムがLSIにとっては毒。コンニャクの上に高層ビルを作るようなものだった」と語り、「シリコンウェハーに比べ、ガラス基盤のほうが低温度で加工できる。また、より大きなサイズの基板が製作できる」と、省エネ化や低コスト化につながる利点を強調。

 さらに同氏は「既存の技術と全く異なる新しい概念を紹介できて嬉しい」と率直な思いを述べた。また、質疑応答の際には、「なぜ今回はZ80を選んだのか」という質問に対して「現状できる範囲で選んだ。それにZ80は思い出深い」と語った。

 同じく記者会見に出席していたシャープ モバイル液晶事業本部長 片山 幹雄氏は、「(商品化の目処とした)2005年はゴールではない。進化し続けていきたい。今日は本当にスタートだ」と熱く語り、「技術開発を進めて、いずれはプラスチックでも実現できれば」とした。

 記者会見場では、1979年にシャープが発売した8ビットパソコン「MZ-80C」上で、ガラス基板上に形成された「Z80」がCPUとして動作しているデモなどが行なわれていた。


デモ展示されていた「MZ-80C」とガラス基盤上のCPU「Z80」 今回の成果は「あくまで最初の一歩」という

・ ニュースリリース
  http://www.sharp.co.jp/corporate/news/021022.html


(関口 聖)
2002/10/22 15:59

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