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KDDI・小野寺社長定例会見 ARPU落ちるも、携帯電話事業の堅調ぶりを強調
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KDDI 小野寺社長
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KDDIは、9月20日、社長定例会見を行ない、同社・小野寺正社長は、「携帯電話のARPU(端末1台あたりの収益)が予想を上回る減少となっているが、契約者数の純増数が予想以上に伸びていること、解約率が下がっていることで、これを相殺しており、経営への直接的影響はない」などと話した。
小野寺社長は、「携帯電話のARPUが下がっているのは事実」とした上で、「今後も音声ARPUが伸びる要素はない。当初予想よりも落ち込みが激しい」と話した。だが、第3世代携帯電話サービス「CDMA2000 1x」への加入者数が堅調であることなど、純増数が当初予定を上回る件数となっていること、同時に解約率が下がっていること。さらに、コスト削減効果などの影響もあって、「ARPUが下がっても業績には影響しないと考えている。業績見通しの修正も行なわない」と話した。
また、第3世代携帯電話サービスにおいて、キラーアプリケーションが見当たらないことに関する質問では、「第2世代のサービスを第3世代でもそのまま利用できるというのは当然のこと。当社の第3世代のARPUは、まだデータよりも音声の方が多いのが実態であり、ドコモもたぶん同じだろう。使い方は第2世代と変わっていない。第3世代は高速データ通信が最大の特徴だが、これを訴えても加入者数は増加しない。cdmaOneの時に高速データ通信を宣伝しても、使ってもらえなかった。ムービーメールなどは第3世代ならではの機能だが、まず第2世代での標準機能をそのまま利用できることを前提とし、そのプラスアルファの機能として第3世代で実現する機能を訴えていくことが必要」と話し、「第3世代のキラーアプリケーションは何かという点に関しては、残念ながらよくわからない、としか答えられない」とコメントした。
また、IP電話事業に関しては、「いずれはIP電話の方向にいくことは間違いない。来月の申請受付開始時点では、当社も申請する予定である。しかし、いつから事業を開始するのか、という点については現時点では決定していない」とした。
国際電話のサービス休止などを発表
今回の会見では、3つの新たな施策が発表された。
ひとつは、特定対地に対する国際電話サービスの一部取り扱い休止である。
これは、インターネット上の悪質なサイトで、ボタンを不用意にクリックすると、そのまま国際電話につながり、あとから覚えのない高額の国際電話利用の請求費用があるという事態に対する措置。
KDDIでは、これまでにも音声ガイダンスを挿入したり、検知ソフトの無料提供などによって対応策を講じてきたが、「従来は、被害がアダルトサイトなどに限定されていたが、子供向けのサイトでも同様のものが出始めており、総務省と話し合った結果、こうした国際電話がかかっている特定地域向けの国際電話サービスを一部休止するという日本で初めての措置に踏み出すことにした」(小野寺社長)とした。
対象となるのは、ディエゴガルシア(国番号246)、セイシェル(国番号248)。同地域への001および0078の国際ダイヤル通話、0052料金通知通話、au国際電話を12月16日から休止する。0051国際オペレータ通話や0055クレジットカード通話は従来通り利用できるが、料金が割高な国際オペレータ通話の料金は、休止期間中に限定して、001ダイヤル通話の料金を適用する。「様子を見て、いつサービスを再開するかを検討したい」としている。
2番目は、「未承諾広告※」メール受信拒否機能の提供について。
携帯電話からの操作によって、受信した電子メールの件名に「未承諾広告※」という文字列が含まれていた場合、受信を拒否できるようにユーザーサイドで設定できるようにする。11月上旬から実施する予定。この利用に関する付加料金はかからない。
3番目は、情報通信審議会が総務省に行なったNTTの接続料算定のあり方に対する答申へのKDDIの姿勢について。
答申では、接続料金を割り出すための基準としてトラフィックを採用、それを予測トラフィックによるものとしているが、「誰がどのように予測をするのかといったことが記載されていないこと、トラフィックだけを算定基準とすると、結果として接続料は値上げの方向になり、価格を下げるという競争政策に逆らうこと、ユーザー負担を引き上げることになるという点で問題がある。これまでの長期増分法を継続するべきである。今回の答申は、儲かるときにはNTTの懐にお金が入る方式を維持し、それが駄目になったら我々に負担を強いるというやり方にしか見えない」と反論する姿勢を見せた。また、「トラフィックについては、NTT東西が私意的な数字を入れることができる仕組みとなっており、それができない方式を採用すべき」と訴えた。
接続料設定権は携帯キャリア側が持つべき
また、今回の会見では、平成電電の動きをベースにした固定発携帯着の接続料金に関する考え方に質問が集中した。
小野寺社長は、「いまの固定発携帯着の料金体系が、このままでいいとは思っていない」と前置きしたものの、「携帯キャリアが多くのインフラ設備投資を行なっているという背景などから、接続料金設定権は、携帯電話キャリア側が持つのが妥当。また、平成電電が提唱している仕組みでは、福岡の利用者が東京に出張してきた際に、回線を東京と福岡をいったりきたりする仕組みになると想定され、コストや技術的な問題がある」とした。
また、国際経由でサービスを行なうという平成電電のやり方についても、「国際回線からかかってきた場合、番号表示がされないなどの問題もあり、ワン切り対策や番号通知といった国内網だからできるサービスが受けられないという問題も発生するのではないか」とした。
(大河原克行)
2002/09/20 20:20
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