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平成電電 代表取締役社長 佐藤賢治氏
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平成電電の佐藤賢治社長は、同社が2002年9月より提供開始するADSL事業および7月18日に総務省に提出した携帯電話への接続料金に関する接続協定裁定申請書について記者会見を行なった。
佐藤社長は、新事業であるADSLサービスの概要を説明した後に、同社が提出した裁定申請書の説明に移り、その概要と経緯を語った。
現在固定電話からiモード端末への通話料は3分80円、J-フォン端末やau端末、ツーカー端末へは3分120円だが、平成電電は2002年9月より固定電話から携帯電話への通話サービスを提供する予定としており、利用料は3分あたり60円で設定している。これに関して、佐藤社長は「NTTドコモ、J-フォン、auいずれもネットワーク使用料は、営業区域内で3分39.24円であり、NTT内のネットワーク使用料の3分4.94円をあわせても、平成電電の3分60円という内容で充分だ」と語り、各キャリアが設定している通話料金は実際のコストを反映しておらず、申請によって問題を提起したいと話した。
今回の裁定申請を決断するに至った経緯について質問がなされると、佐藤社長は「固定電話から携帯電話への通話料決定に関する法律が存在していない」ことに触れ、「1年以上協議をしてきたが、実際は話し合いといえるほどの論点は成立していない」ことを明らかにした。また「明確に否定も議題もなく、協議の期限もなかった」と述べ、各キャリアが他社や総務省との協議などを理由に、具体的な論議が全く行なわれていなかったと非難した。
続けて佐藤社長は「裁定申請の前にもう一度協議しようと思ったが、ドコモからは返事がなく、他のキャリアからはそれまでと同じ内容の返事であった」ことを明らかにした。また総務省は前例がないとして積極的な姿勢を示さず、「もし申請があれば」との意見であったという。
同氏は技術面でも各キャリアから難色を示されていたことにも触れたが「海外からの国際電話から携帯電話への通話が可能である」ために、技術的には問題ないとの認識を示し、裁定申請は「このままでは埒があかない」との判断に基づいた結果であったとした。
佐藤社長は、接続協定裁定申請書を提出したことをプレスリリースとして発表した7月18日に「総務省からも発表がある予定だったが、方針を変更されたようだ」と述べたほか、同社と同様のサービスを計画しているケーブル・アンド・ワイヤレスIDC(C&W)から賛意を表明されたと語り、近いうちにC&Wも裁定申請を提出するだろうとの見込みを述べた。この点について、その他の固定電話事業者の動きを質問された佐藤社長は「他社の多くは既に接続協定を結んでしまっている。しかもそれらは改定の条項すらない。電力系は腰が重く、他の事業者は動かないのではないか」と状況を説明した。このほか、今回の裁定結果が同社に有利なものとなるかどうかを質問された佐藤社長は率直に「このままでは厳しいだろう」として、世論にも訴えていきたいと語った。
なお、今回の平成電電の主張について、NTTドコモおよびJフォンは「検討中のことで、コメントできる段階ではない」としている一方、KDDIは「先方の考えを検討して対処していきたい」としている。
・ 平成電電
http://www.hdd.co.jp/
・ 平成電電、携帯への通話料に関する裁定申請書を総務省に提出
(関口 聖)
2002/07/30 17:33
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