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【CommunicAsia2002】
ドコモ夏野氏「ケータイの進化はアジアから」
NTTドコモ iモード事業本部 iモード企画部長 夏野 剛氏
CommunicAsia2002の「Specialist Conference」では、NTTドコモのiモード事業本部 iモード企画部長 夏野 剛氏が「The Future of Wireless in Asia - A Prophecy of What’s to Come」(アジアのケータイの未来~来るべきものの予言)と題した講演を行なった。
ちなみに夏野氏の講演は「Conference Keynote Address」つまり基調講演扱いで、他の講演よりも長めの50分の時間が確保されるなど、海外からのiモードへの関心の高さをうかがわせる構成となっていた。
講演はまず、iモードのプロモーションビデオから開始された。ビデオではiモード、iエリア、iモーション、iアプリなど、日本国内で開始されている数々のサービスの紹介が行なわれた。ちなみに国内では当たり前のワイヤレスインターネットだが、海外ではまだ一般的ではなく、カラー端末や和音着メロも主流とはなっていないのが現状だ。
このビデオに続いて夏野氏は「iモードと同じようなコンセプトは世界中にあるが、それとの大きな違いは、iモードは現実にサービスされていること」とし、日本のワイヤレスインターネットの先進性を訴えた。
夏野氏の講演でおなじみの「ポジティブフィードバック」についても語られた。ポジティブフィードバックとは「ユーザーが増えればコンテンツも増え、コンテンツが増えれば利便性が向上するのでユーザーがさらに増える」という循環を表現したもので、iモード端末が3300万、2000のコンテンツプロバイダー、5万4000の一般サイトがあることを紹介し、それらの数値が互いに影響し合って、今日のiモードの発展があると説明した。
また、iアプリ端末が1300万台という数字を引用し「日本人の10%以上がJava対応端末を持っていると信じられるか?」と日本での最新端末の普及率の高さを誇示した。
iモード全体のポジティブフィードバックの図。夏野氏の講演ではおなじみ
iアプリ(Java)のポジティブフィードバック
端末メーカーとキャリア、コンテンツプロバイダーがバラバラに開発を行なうことが多い欧州・アジアに対して「iモードはコンテンツから携帯電話までを含んだバリューチェーンだ」と説明した。iモードなどのワイヤレスインターネットサービスには、コンテンツからサーバーシステム、ネットワーク、携帯電話本体など、様々なレイヤー(層)が存在する。夏野氏は「それぞれのレイヤーはとても密接な関係を持っている」と主張。同氏は着信メロディのダウンロードを例にあげ、実際にP504iで着信メロディを再生させながら「着信メロディの規格やコピーガードなどの要素について、それらを利用するよう、端末メーカーやコンテンツプロバイダに対してコーディネイトを行なう」と語り、高品質なサービスを提供するために、それぞれのレイヤーを連携させるコーディネーターとしてのドコモの役割が、iモードサービスにとって重要だと強調した。
FOMAについては、まずはiモードのサービスの図で2GであるPDCと3GのFOMAとのあいだにiモーションしか差がないことを示し「バンキングサービスなどにビデオはいらない」として基本的なiモードにはPDCでも十分と主張。またFOMAの普及予測図を示しつつ「スムーズに移行するだろう」という考え方を示した。
iモードサービス図。PDCとFOMAはあくまでもネットワークだけの話で、上に載るiモードはほとんど変わらない
FOMAの普及プラン
iモードの海外展開については、すでに開始された欧州版iモードで多数のコンテンツが提供されていることを紹介し、海外展開が好調であると主張した。夏野氏は欧州版iモード向けに提供されているコンテンツを次々と画面上に並べてこれを紹介したが、その中にはアダルトコンテンツも含まれていて、夏野氏が「いくつかのコンテンツは魅力的だ……黒い線は私が書きましたが」(画面上の女性の写真の胸の部分には黒い線が書かれていた)と語って会場の笑いを取っていた。
また6月20日から台湾で開始されるiモードサービスについても「ドイツで受け入れられた。アジア人はもっと好きになるに違いない」と語り、成功への強い自信を示していた。
ドイツのiモードサービスについて。「Ringtone Download(着メロダウンロード)」はドイツでも好評とのこと
台湾版iモード開始時に提供されるコンテンツ。90近いコンテンツプロバイダーが提供するという
最後に夏野氏は「Natsuno’s Prophecy for Coming Years」(夏野の予言)として「ワイヤレス業界はアジアから劇的な変革を開始する」と語った。その理由として「日本のワイヤレスインターネットと韓国が良い例になり豊富なアプリケーションを提供する」「アジアのワイヤレスとインターネットの素早い進化が、技術のみならずビジネスモデルや人材をもワイヤレスインターネット業界に集中させる」「アジア各国からの標準化への貢献が期待できる」「アジア人は利益を追求するので、金になる市場を作れる」の4つを挙げて講演を締めくくった。
・ CommunicAsia2002
http://www.communicasia.com/
(白根 雅彦)
2002/06/19 16:16
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