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【Symbian Developer EXPO 2002】
PDA機能搭載携帯電話で注目を集めるSymbian OS

主に欧州市場向け携帯電話に搭載されているSymbian OS

会場となったExcel Convention Center。ロンドン市内から地下鉄で30~40分ぐらいのところにある
 4月23日から24日(現地時間)までロンドンでSymbianの開発者向けイベントが開催されている。Symbian OSは日本ではなじみが少ないが、ノキアやソニー・エリクソンなどがヨーロッパで発売している携帯電話などに採用されているOSで、元々はPSIONがハンドヘルドコンピュータ向けに開発したものだ(このときにはEPOCという名前だった)。

 Symbianは、PSIONやNOKIA、ERICSSONなどが株主となっている企業で、Symbian OSの開発、ライセンスをビジネスとしている。ヨーロッパでは、Symbian OSを搭載したノキアのPDA付き携帯電話9200シリーズが人気だ。これは、元々、PDAであるPSIONのOSなので、標準で附属するスケジューラーなどのアプリケーションがオマケ的なものではなく実用的な出来だからでもある。イベント会場でもこの9200シリーズを使っているユーザーを多く見かけた(もっとも、こういうイベントなので利用者は多いはずだが)。

 このイベントは、キーノートスピーチとコンファレンスおよび細かいテーマに分かれたワークショップと展示から構成されている。初日のキーノートスピーチでは、新たにシーメンスがSymbianの株主として参加することなどいくつかのSymbian関係の発表があった。また、ソニー・エリクソン社長の井原氏もスピーチを行なった。


Symbian社CEOのDavid Levin氏 ソニー・エリクソン社長の井原氏

Symbian OS搭載のソニー・エリクソンとノキア端末が人気

ソニー・エリクソンのP800。Symbian OSによりPDA機能を持つ携帯電話。国内のソニー製携帯と同じくジョグダイヤルも装備されている。キーボード部分かフタになっており、開けるとQVGA(320×240ドット)の液晶が現れる
 さて、会場には、今年のCEBITで公開されたソニー・エリクソンのPDA機能付き携帯電話P800が展示され、実際に動作しているところなどを見ることができた。そのほか、ノキアの新製品である7650も展示されていた。この2機種は、デジタルカメラ付きの携帯電話でSymbian OSを搭載している。Symbian OSは、どちらかというと高級機にPDA機能とともに搭載されることが多いのだが、どちらもラインアップ上は高級機に位置づけられるもの。

 ソニーのP800は、タッチスクリーン付きの大きなカラー液晶(1/4VGAサイズ)とキーボードのついたカバーが特徴で、最新のSymbian OS 7.0を搭載して今年の下半期に登場予定の製品。アメリカでも利用可能なTri-Band機である。ヨーロッパでは混雑緩和のために900/1800MHzの2つのバンドを使う。さらに、アメリカでは1900MHzのみとヨーロッパとは違う周波数割当てになっている。このため、ヨーロッパやアジア圏(日本と韓国を除く)および米国で利用するためにはTri-Band機が必要となるのである。HandspringのTREOのように800/1900MHzという変則的なDualBand機もないわけではない。しかし、ヨーロッパで販売しているTREOは、900/1800MHzのDual Band機で米国では使えないもの。米国のGSMシステムは1900MHzのみなので、余ったところに900MHzが入っているのでヨーロッパでも使えるようになっているという感じである。

 これに対して、NOKIA 9200シリーズはすでに9210、9290と進化をつづけており、いまやSymbian OSの標準プラットフォーム的なポジションにある。縦型の筐体を開くと中に大きな液晶とキーボードがある。

 そのノキアの最新機種がカメラ付きの7650だ。こちらはキーボードが引き出し式になっている。カタログには、中国で道に迷っている外国からの旅行者(ヨーロッパの人なのでしょう)が、電車の案内図を7650で写真を撮って、人に質問しているようなイメージの写真が入っている。そういえば字が読めなきゃ、路線図見たってわからないよねぇ。逆にアルファベット26文字って、非英語圏の人でも発音分からなくても相手に伝えることができ、外国人にはハードルが低い言語ではある。


P800は、最新のSymbian OS Ver.7を搭載する。Symbian OSにはUIQと呼ばれるGUIが搭載されている。画面上部にあるのがメニューで下部にはステータスバーがある NOKIA 9210。外見はちょっと大きめの携帯電話(液晶とテンキーがある)だが、縦に開くと、液晶とキーボードが現われる

NOKIA 7650。液晶の下にあるのはトラックポイントのようなポインティングデバイス。キーボード部分は格納でき、しまうとコンパクトな携帯になる 7650の背面部分。黒いところがキーボード部分で、キーボードをしまうとカメラ部分をカバーするようになっている

多機能化で携帯電話のPDA化が必然的な流れに

 イベント開始前に、ロンドン市内の携帯電話ショップをまわってみたが、こちらでも、契約獲得用の安い機種はあるが、それともに日本円にして数万~10万円ほどする高級な携帯電話もある。前述の2機種などもかなり高級な部類に属するもの。ヨーロッパの携帯電話はGSM方式であるため、SIMカードをユーザーが取り付けるだけで、端末に番号を移せるために、キャリアとの契約なしでも購入できるのだが、電話機自体は、日本みたいにあまり安くはない(ちなみにイギリスは一般的に物価が高めで、例えば米国で2ドル=約260円のスターバックスのコーヒーが2ポンド=約400円もする)。その半面、機種交換は10カ月以上というような規制もない。

 イベントの印象からすると、Symbianは日本やアメリカと違ってかなり「盛り上がっている」感じを受ける。GSM系はGPRSと呼ばれるパケット通信が導入され、それに伴い画像や音声を送ることができるサービスが登場し始めている。このため、高級機種は、PDA化が必然的な流れとなっており、そのためにSymbianのような「高級」なOSが必要なのである。

 Palm OSでも、Windows CEでもない、まったく別のOS「EPOC」が注目を浴びているのがヨーロッパの現状のようである。



URL
  Symbian Developer EXPO 2002
  http://www.symbian.com/devexpo/news.html


(塩田紳二)
2002/04/24 16:17

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