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【CeBIT 2002】
プリペイド携帯電話購入レポート

 GSM方式を採用するヨーロッパなどでは、国内で利用されているPDC方式やcdmaOne方式の携帯電話は利用できない。今回、CeBIT取材のための出張にあたって、事前に会社からGSM端末「Motorola Timeport P7689」を借り受けた。だがこの端末、昨年の購入レポートにもあるように、日本の携帯電話に比べて使い勝手があまり良くなく、電話帳の登録やSMSの送信はおろか、受信したメッセージを読むのにさえ手間取る始末。かといって、現地で連絡を取れなくなるのはまずいので、マニュアルを読みながら必死に格闘したが、早々にあきらめて自分で新しいプリペイド端末を購入することにした。


さっそくE-Plusショップへ

プリペイド端末を購入したハノーバー市内のE-Plusショップ。ごらんの通り、ウインドウはiモード一色
 さっそくハノーバー市内のE-Plusショップに向かった。iモードサービスの開始日を控え、店内はPOPやパンフレット、ショーウインドウまでiモード一色。n21iの実機も展示されていた。店員に、地元住民のiモードへの関心を尋ねてみたところ、「iモードがなにかをよくわかってない人が多い。パソコンのインターネットじゃだめなのかとよく聞かれる。人気があるかと聞かれると、まだ五分五分だと思う」とのこと。

 話をプリペイドに戻そう。使い勝手がいいことと、WAPが使えることを購入条件として1時間ほどあれこれ考えた末、ソニー製の「CMD-J70」のセットを購入した。「Free&Easy Set」では、ノキア、フィリップス、アルカテルなどいろいろメーカーのものが用意されているが、寂しい異国に来た身、日本製のものにフラフラと惹かれてしまい、「日本製なんてつまんないじゃん」という周囲の反対を押し切りこれに決めたのだ。


ソニー製GSM端末「CMD-J70」。WAP対応ブラウザ、POPメールの受信機能を搭載
 手続きは拍子抜けするほど簡単。パスポートを見せて、名前と宿泊しているホテルの住所を用紙に記入し、あとは代金となる149ユーロ(1ユーロは110~120円前後)を支払うだけ。端末は初期状態でドイツ語のメニューになっているが、こちらが片言英語で話しているので、店員も察し、英語メニューに設定を変えてくれた。

 CMD-J70は日本の携帯電話に比べると、液晶はモノクロだし、着メロは単音で2年くらい前の端末を使っている感覚だ。とはいえ、サイドにあるジョグダイヤルの使い勝手がよく、まぁこんなもんかと納得。一方で楽しいのは世界時計機能。世界の主要都市の時間がわかるだけではなく、ドイツの49、日本の81といった電話番号の冒頭に付け加える国番号も表示されるのだ。このあたりは、さすが「世界仕様」のGSM端末といったところだろうか。また、現在地のほかにも1カ所、場所を指定すれば、待受画面に2カ所の時間を表示できる。私は当然、ドイツ時間と日本時間をセットにして使用していた。SMSの作成も簡単。T9システムも搭載されており、英単語を入力するのがかなりラク。送信相手は日本人なのだが、ローマ字を打つのがかえって面倒なので、簡単な英語で送信してしまうくらいだ。


日本でもおなじみ、ソニー製端末のシンボルのジョグダイヤル 世界時計機能。日本時間とドイツ時間、両方を表示できる

E-Plusのサービス、気になるところも

 ということで、端末面ではほとんど不足はない。が、事業者側のサービスにはいくつか気になるところがある。まずは、SMSの送信がなかなかうまくいかないのだ。はじめは、「人の多いCeBIT会場だから……」などと自分を慰めていたものの、日本から同行した法林氏とスタッフが使用するドイツテレコムやD2ではまったくそういうことがないらしい。

 2つ目は、プリペイドの残額照会が難しいこと。使い始めて3~4日経つと、そろそろ残額が気になるところ。肝心な時に連絡が取れなくなっては困るので事前にチャージしておかなくてはと思い、調べようとしたらこれが大変なのだ。前述のSIMカードには、電話帳も登録できるが、初期状態では、キャリアが提供するホットラインや音声情報サービスなどがあらかじめ登録されている。ちなみに、ドイツテレコムやD2では、ホットラインにダイヤルすると、携帯電話の画面上に残額が表示される仕組みになっている。E-Plusも当然、同じ方式だろうなと思い、あらかじめ登録された「Free&Easy Service」という項目にダイヤルすると、なんとドイツ語オンリーの音声サービスなのだ。軽く面食らいながらも、せめてもの救いとして、メニューの終わりの方に、「英語のサービスは●番を……」という音声を待っていたのだが、それもなかった。

 他の方法もあるのかもしれないが、いかんせんマニュアルがドイツ語なので、他の方法を説明されてもそれさえ理解できない。ドイツ語音声のメニューを辿っていかないと残額が照会できないなんてひどいと思いつつ、なにか方法があるだろうとE-PlusのWebをチェックしたら、なんとこちらも英語ページが見つからなかった……。困ったなぁ。

 GSM端末で気を付けなくてはいけないのが、PINコードの存在。PINコードは契約者を識別する暗証番号のようなもので、電源投入時に入力を要求される。完全に暗記してしまうか、契約時の書類を持ち歩いていれば済む話だが、なにも知らずに日本の携帯電話の感覚でうっかり電源を落とすと、せっかくの電話も使い物にならなくなるのだ。私も出先でうっかり電源を切ってしまい、PINコードをド忘れ。冷や汗をかいた。「PINコードは完全暗記が基本!」と肝に銘じておこう。


「Free&Easy Set」。パッケージは意外とコンパクト 中身は端末、充電器、SIMカード、書類

まとめ

 今回、SIMカードやPINコードといった日本のケータイではあまり見かけない文化・機構をもったGSM端末を購入し、いじってみたわけだが、率直な感想は「かなり楽しい」。レンタルだとどうしても高額な通話料を取られるが、プリペイド携帯電話ならば安いものなら50ユーロあたりから用意されている。GSMの使用範囲は広いし、1台持っておいて損はない。ちょっとした自慢にもなる。ぜひ異国の地に行かれたときは、ぜひ、買い求めてみてはいかがだろうか。

 個人的な話、次はドイツ以外の国に行って、その土地の事業者のプリペイドSIMカードを購入し、CMD-J70に挿してみるぞと固く決意をした。


・ E-Plus
  http://www.e-plus.de/

スペシャルレポート


(伊藤 大地)
2002/03/18 15:33

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