10月25日から27日まで、パシフィコ横浜でフラットパネル・ディスプレイの総合展示会「LCD/PDP International 2000」が開催された。ここでは、実用化がようやく見えてきたカラー有機ELディスプレイの展示をご紹介する。
有機ELディスプレイは、有機発光体を利用したディスプレイで、液晶に比べて高輝度、高コントラスト、広視野角、応答速度が圧倒的に速い、などの利点がある。応答速度は、液晶が数十から数百msていどであるのに比べ、μs単位と、非常に速い。また、発光体を使用しているため、暗いところでも明るく鮮明に見える。こうしたことから、携帯電話向けの動画配信などが本格化するのに合わせ、携帯電話市場でも有機ELディスプレイの実用化への期待が高まっている。
■ 東北パイオニア
世界で初めて有機ELディスプレイの量産を1999年2月より開始した東北パイオニアでは、2.1型と1.6型の4096色表示のカラー有機ELディスプレイを参考出展していた。表示解像度は1.6型が120×120ドット、アクティブマトリクス方式の2.1型は176×192ドット。輝度は50cd前後だといい、携帯電話向けのカラー液晶が10cd程度であるのに比べ、明るさが際立っている。東北パイオニアでは、フルカラー有機ELディスプレイの量産は2002年春を見込んでいるという。
また、同社ブースではすでに実用化された有機ELディスプレイ採用製品として、ノキアの携帯電話とパイオニアのカーステレオを展示している。
|
|
東北パイオニアの有機ELディスプレイを採用したノキア製携帯電話(GSM方式)。すでに販売されているもの
|
単純マトリクスの1.6型有機ELディスプレイ。表示色は4096色
|
|
|
携帯電話向け96×54ドット表示の有機ELモジュール。参考出展。反射型や反透過型液晶を展示している他社ブースでは液晶面に非常に強いライトをあてて明るくしているのに比べ、薄暗いところに展示してあるのが印象的。「暗いところでも鮮明」なのが有機ELディスプレイの特長のひとつ
|
動画ということもあり、画像がブレてしまっているが、こちらが2.1型の有機ELディスプレイ。アクティブマトリックスで、表示色は4096色
|
■ 三洋電機
三洋電機ブースでは2つのサイズの有機ELディスプレイを目立つところに展示。非常に明るく鮮やかな表示で、来場者の関心を集めていた。パネルサイズは2.4型と5.5型で、表示解像度は2.4型が852×222ドット、5.5インチが320(×RGB)×240ドット。いずれもフルカラー表示で、輝度は200cd以上と非常に明るい。量産開始はパッシブマトリクスのものが2001年、展示されていたアクティブマトリクス型は2002年を予定しているという。
|
|
フルカラーの有機ELディスプレイ。左が5.5型、右が2.4型。いずれもアクティブマトリクス。200cd以上という、明るく鮮やかな表示。製品化は2002年の見込み
|
パッシブマトリクス方式の有機ELディスプレイ。製品化は2001年を予定
|
■ URL
LCD/PDP International 2000
http://expo.nikkeibp.co.jp/lcd/
東北パイオニアのELディスプレイ製品情報
http://www.pioneer.co.jp/topec/product/el/
三洋電機のホームページ
三洋電機のホームページ
http://www.sanyo.co.jp/
(工藤 ひろえ)
2000/10/27 18:00
|