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【WIRELESS JAPAN 2001】
パネルディスカッション「モバイルコンテンツビジネスの可能性」

 WIRELESS JAPAN 2001の2日目、併催の有料コンファレンスで「モバイルコンテンツビジネスの可能性」と題したパネルディスカッションが行なわれた。出席者は、NTTドコモiモード事業本部iモード企画部長・夏野剛氏、サイバード社長・堀主知ロバート氏、インデックス副社長・小川善美氏、ギガフロップス社長・中村陸氏、総務省コンテンツ流通促進室長・大橋秀行氏の5名。司会はモバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)事務局長の岸原孝昌氏が務めた。


NTTドコモ・夏野剛氏 サイバード・堀主知ロバート氏

インデックス・小川善美氏 ギガフロップス・中村陸氏

総務省・大橋秀行氏 司会のMCF事務局・岸原孝昌氏

 このパネルディスカッションは、モバイル・コンテンツ・ビジネスに関わるキーマンとして、オペレーター、コンテンツプロバイダー、携帯サイト制作のコンサルティング企業、行政の各界から代表者を招き、それぞれの立場から日本におけるモバイルコンテンツ・ビジネスの成功要因とその現状、また今後におけるビジネス展開の可能性を展望するものとして行なわれた。

 まず始めに、「モバイル・コンテンツ・ビジネスはなぜ日本で成功したか」について、NTTドコモの夏野氏は、「ITビジネスでは、いろんな企業がいろんなことをやるため、あたり前のことをあたり前にやるのは難しい。技術はツールでしかないから、それを活かすためにオペレーター、メーカー、コンテンツプロバイダーなどの構成員がそれぞれ適切な役割を果たし、最適な方向を目指した」とiモードの成功について話した。サイバードの堀氏は、「夏野氏が指摘するように、何かおもしろいことを実現するにはそれぞれの立場を踏まえ、その役割に専念する必要がある」と強調し、「そしてそこには売上に繋がるビジネスモデルがあった」と加えた。一方、ギガフロップスの中村氏は、「ケータイをコミュニケーションツールに使ったから」だとコメントし、また「オープンサイトでは自分のホームページを作成できるサービスが普及しており、自分のサイトを公開することでコミュニケーションのセッション数も増加し、市場の活性化に繋がっている」と語った。


 次に、公式サイト以外の一般サイトについてもコンテンツ利用料を回収代行するサービスを利用可能にし、コンテンツ採用基準を公開してポータルを開放するなどの、サイトの「オープン化」についての議論がなされた。

 これについて、総務省の大橋氏は、一般サイトが増えればその分通信のトラフィックも増え、市場の活性化に繋がるが、出会い系サイトや公序良俗に反する内容のもの存在するのが実状で、社会的に問題のない、料金回収代行が可能なサイトの基準を設定する仕組みのために、第三者機関を設ける必要があることを行政の立場から説明した。

 これに対して夏野氏は、「現在iモードの有料メニューは600ほどあるが、ユーザー数が1万人に達するのはその半分程度」であることを明らかにし、「一定の基準をクリアしたとしても、それが面白いかどうかを判断するのはあくまでもユーザー側であり、オープン化によって料金回収代行が実現されたとしても、所詮ユーザーに評価される有益なコンテンツだけに淘汰されていくものだ」と語った。

 また、公式メニューで多くのコンテンツを提供する側の堀氏は、ある一定基準をクリアした情報は信頼できるが、そうした基準がなくなると情報は氾濫し、ユーザー側は混乱してしまう。ユーザーの利便性を第一に考慮する姿勢が重要だと述べた。iモードの一般サイトの評価情報を配信するサービス「ギガチョイス」を運営するギガフロップスの中村氏は、「公式サイト以外はいかがわしいといった一般的なイメージを払拭したい」とコメントした。

 この「オープン化」については、あらゆる可能性の広がりが考えられる分、ユーザーへのリスクも大きいことから、こうしたディスカッションの場において、今後も慎重に検討課題として取りあげていきたいとして、議論は締めくくられた。


 ここまでで、議論の大半はオープン化についての話題で費やされたが、現状のモバイル・コンテンツ・ビジネスの成功例として、比較・競合されることが多いサイバードとインデックスの両代表へコメントが求められた。ともに、「ユーザーにとって何が有益かを常に真摯な姿勢で考え、きっちりとやっていけば、必ずその真価は跳ね返ってくる」といった趣旨が共通していた。

 一方、制約や規制に縛られない一般サイトの現状について、そのコメントを求められた中村氏は、「現在勝手サイトでいちばん盛り上がっているのは物販サイトで、これは公式・非公式関係なく、メディアとのタイアップがキーワードになっている」と語った。

 これを裏づける一例として、堀氏は「公式化への基準をクリアした上でのビジネスにある程度の満足感はあるが、例えば通販業者の千趣会が運営する物販サイトは、非公式でありながら公式サイト以上に儲かっており、そうした実例も確かにある」ことを話した。

 最後に、今後のモバイル・コンテンツ・ビジネスの可能性について、インデックスの小川氏は「あらゆるユーザーを楽しませるために、多様なメディアを活用していきたい」とし、フジテレビなどのテレビ局との提携の事例を挙げた。サイバードの堀氏は、「携帯メールを利用したURL取得システム『すぐメル』をつい先日リリースした。こうして何千万人もの人がケータイを持ってくれたことで、自分たちのサービスをモバイル端末上で実現・提供できるようになり、ビジネスチャンスはますます広がっていくだろう」と話した。NTTドコモの夏野氏は、「ユーザーに広く支持される、本当に価値のあるものをだけを提供していく」とコメントして、パネルディスカッションは締めくくられた。


・ NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/
・ サイバード
  http://www.cybird.co.jp/
・ インデックス
  http://www.indexweb.co.jp/
・ ギガフロップス
  http://www.gigaflops.co.jp/
・ 総務省(情報通信)
  http://www.joho.soumu.go.jp/joho_tsusin.html


(松下 麻利)
2001/07/18 21:40

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