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【WIRELESS JAPAN 2001】
ドコモ大星会長・講演レポート
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NTTドコモ会長 大星公二氏
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WIRELESS JAPAN 2001の初日、併催の有料コンファレンスで、NTTドコモ会長の大星公二氏が「需要創出の経営 モバイルブロードバンドの質的発展と新しいソリューション」と題した講演を行なった。
大星氏は冒頭、日本の長引く不況について触れ、「モノが売れていないと言われているが、iモードやルイ・ヴィトンは大流行だ。何がほかと違うのか、それは付加価値だ」と述べ、1992年にドコモが親会社のNTTから分離からiモードによる急成長までの歴史を語り、講演は始まった。
iモードの成功について大星氏は、「社会の変化」と、「パケット通信」の2点を理由として挙げ、他社との激しい価格競争・開発競争の中で「モノからインフォメーション・エンターテイメント・ナレッジ」へと移り変わるニーズをドコモが的確に捉えていたことを説明した。また、「パケット通信がキーテクノロジーだった」と述べ、パケット通信の利便性が多くのコンテンツを生み出し、iモードが人気となったことを繰り返し強調した。
また、社会のIT化について、「IT、ITと言うが、企業がITを本格的に導入すれば、余剰な人員ができる。それは、新たなマーケットを開拓しなければならない、ということを意味する」と述べた。
その後大星氏は、「人は豊かになると行動範囲が広がる。世界標準規格を用いて世界にネットワークを広めていくのは当然のこと」とし、今後の戦略として、音声から非音声へとさらにコンテンツを高度化していく「マルチメディア」と、自動車をはじめ、場所を問わずいつでもどこでも情報が取り出せる「ユビキタス化」、国内から海外へとサービスを展開する「グローバル」の3つのキーワードを挙げた。
また、同氏は5月から試験サービスを開始している第3世代携帯電話サービス「FOMA」の現状について、「全く新しい技術で、予想ができないトラブルが起こっている」と説明した。その原因については「扱うコンテンツが高度になるほどハードウェア・ソフトウェアともに非常に複雑になっている」ことと、「3Gの標準規格は、世界を基準にして作られたため、パケット通信によるインターネットなど日本の特殊な事情を考慮しておらず、その調整に苦心している」と述べた。同氏によると、FOMAの料金体系についても「定額制に近いものを検討している」という。FOMAに関して、大星氏が強調したのは、「FOMAが出てきたからといって、すぐに現在のPDCに置き換わるわけではない」ということで、「コスト的にもFOMAが有利になるまではPDCも利用する」とした。
また、携帯電話ビジネスに関しては、自動販売機の遠隔監視システムや割引クーポンなどのサービスやソリューションの例を挙げて、ドコモが様々な企業と協力していることを示した。また、「現在、iモードから航空券やチケットが購入できるが、これは近い将来には携帯電話の画面そのものがチケットの役割になるだろう」とし、今後も様々な企業との連携し、ユーザー・ドコモ・企業の3社がともに利益を得るという理想像を語った。携帯電話ビジネスのキーは「ユーザー個々のニーズに合ったソリューション、つまりアプリケーションになっていくだろう」とした。
大星氏はモバイルの未来を、「ナノテクノロジーにより、モバイル機器はウェアラブルなものやPDAまでバラエティ豊かになるのではないか」と述べ、携帯電話の役割は、「無線LANやデジタル家電、放送、通信といった生活に関わるすべてと結びつく」「パスポートや定期券、航空券をはじめあらゆるカードの機能を内蔵した“オールインワン”なものになっていくだろう」と予想した。
最後に大星氏は、ユーザーが新しいニーズやアイディア、コンテンツを生み出し、それを実現するインフラを提供するのがドコモの役割とし、講演を締めくくった。
・ NTTドコモ
http://www.nttdocomo.co.jp/
(伊藤 大地)
2001/07/17 21:11
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