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iMedio Network Conference 2001
ドコモ大星会長、「FOMAは新幹線、PDCはローカル線」
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6月29日、大阪産業創造館で開催された「iMedio Network Conference 2001」で、NTTドコモ会長の大星公二氏が「モバイルの現状と将来展望」と題した基調講演を行なった。
ドコモはベンチャー
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NTTドコモ
大星公二会長
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まず大星氏は、ドコモが親会社NTTから分離した1992年頃、移動体通信は認知度、売上、技術すべての面で未熟でまったくのゼロからのスタートだったことを説明。当時の状況を振り返って、「よく自動車電話なのにどうして走っていると切れるんですか、と聞かれたが、それは無線だからですよ、と開き直っていたくらいだ」語ったほか、1992年当時、DDI系企業の勢力が強かった沖縄でのシェア争いについて、「当時は沖縄はあきらめて稲盛さん(KDDI取締役名誉会長)にプレゼントするつもりだった」と述べて会場の笑いを誘うなど、和やかな雰囲気で講演は始まった。
iモード成功の原因はコンテンツではなくパケット通信
現在4万以上のコンテンツ、2300万人以上のユーザーを生み出し、ドコモ急成長の原動力となったiモードに関しては、「ドコモはあくまでも通信業者。コンテンツというものは、良質なインフラさえあればベンチャーや個人の力でどんどん増えていく。大事なのはインフラだ」と繰り返し強調し、コンテンツではなく、パケット通信の利便性と信頼性がヒットの原因だと述べた。
また、フランス人に「携帯電話にキャラクターを表示させて金を取るなんてバカげてる」と言われたエピソードを回想し、「キャラクターがコンテンツとして売れるのは、ニーズがモノから情報・サービスへと移り変わってきたからだ。キャラクターはある意味、“癒し”という究極の情報だ」とし、社会の変化をドコモが正確に捉えていたことも成功の原因の1つに挙げた。
FOMAは新幹線、PDCはローカル線
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FOMAの事業計画
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第3世代携帯電話サービス「FOMA」については、はじめに本サービスの開始が10月に延期になったことに触れ、「端末の行なう処理がかなり複雑になってきており、慎重にやっていかねばならない」とその難しさを説明。「注目の集まる動画配信や高速データ通信だけでなく、携帯電話を使ったバーコードの配信、在庫管理システムなどを運輸業や小売業をはじめ、さまざまな業界と協力していくことで、FOMAの性能を十分に発揮し、ユーザー、企業ともに利益を得る」とFOMAの未来像を語った。
また、データ通信料についても、「時代の流れからいって、定額制に近い形にしなくてはユーザーはついてこない」とした上で、「FOMAは新幹線。現在のPDCはローカル線。FOMAがPDCを完全に駆逐するわけではなく、それぞれの役割がある」と述べた。
海外進出に関しては、「モバイル(機器)というのはどこでも持ち運ぶものだ。そのためには世界共通の規格で海外に進出していくのは当然のこと」とし、具体的には、アジア、ヨーロッパで今後2~3年のうちにiモードで培ったノウハウを活用し、サービスを開始していきたいと自信を見せた。
その後、話はさらに第4世代携帯電話にまで及び、その伝送速度は20~50Mbpsになるだろうと予測。また、個人的な意見だが、と断った上で、ナノテクノロジーによってモバイルの未来は、背広に通勤定期のチップを埋め込むといった、ウェアラブルなコンピュータへと進化して電話の枠を越えていくだろう、と語った。
最後に同氏は、ドコモの役割を「世界に向けてネットワークを広げ、ニッチな市場をさらに開拓することだ」と語り、講演を締めくくった。
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ドコモの海外進出について。当面はアジア・ヨーロッパに注力するという
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携帯電話事業のロードマップ。第4世代への準備も始まっている
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・ iMedio Network Conference 2001
http://www.imedio.or.jp/supports/eve/mobile2001.html
(伊藤 大地)
2001/06/29 00:00
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