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塩田紳二の「PalmSource Forum Tokyo 2001」レポート(2/14~2/15)
Palm OS 4.0以後とARM CPUへの移行

 今回は、コンファレンスなどで明らかにされた次期Palm OSなどについての情報をレポートする。


ARM CPUへの移行

米国Palm社 Consumer Markets Groupシニアディレクターのジョン・クック氏
 すでにお伝えしたように米Palm社は、次世代PalmではARM CPUを採用することを計画している。今回のコンファレンスでは、2002年頃にはARM搭載のハードウェアが出荷される見込みとしているが、実際にどのようなハードウェアを出すかは、Palm OSをライセンスするメーカー各社に任されるとのことだ。また、現在使われている68000上でのPalm OSの今後についてはまだ検討中だとし、機能強化やバグフィックスなどでしばらくサポートが続けられることになりそうである。

 現時点では、ARM対応のOSは、Palm OS 5.0とされている。このPalm OS 5.0では、ARM CPUの4Tと呼ばれるアーキテクチャ(ARM CPUでは、命令セットや内部構成などのアーキテクチャが複数ある)を想定しており、CPUとしてはARM7以上のものとされる。ただし、実際にどのCPUを採用するかは、これもメーカーの判断になるという。このため実際には、StrongARMやARM9などの上位互換性を持つCPUを採用するメーカーも登場するだろうという。

 このPalm OS 5.0には、68000のエミュレーター(TEMという人物が作っているため、Temulatorと呼ばれているのだとか)が内蔵されており、現在のPalm機用のアプリケーションがそのまま動作可能だ。ただし、ARMと68000(モトローラのDragon Ballシリーズ)では、エンディアン(メモリ内での2バイト以上の大きさの数値の並べ方)に違いがあり、ここが移行の最大のポイントになるという。

 これは例えば、16bit(2バイト)の数値は、68000では、メモリ内で「上位バイト、下位バイト」の順になるのに対し、ARMでは「下位バイト、上位バイト」の順になってしまうという。従って、そのままでは、データを読み込んだときに数値を間違ってしまうため、エミュレーターによってこの並びをひっくり返して読み出すようにするようだ。

 ただし、問題となるのは、現在のPalm機で作成されたサードパーティ製アプリケーションのデータをARM CPU採用のPalm機に読み込ませた場合である。データの構造は、該当のアプリケーションしか知らないため、こうした変換で問題が起こる可能性がある。この点について質問したところ、検討中とのことだが、ここが最大の問題となるだろう。こうしたCPU変更の例は、過去にMacintoshがやはり68000からPowerPCに移行した例があるが、このときにはエンディアンは変更されなかった。


ディスプレイの解像度やBluetooth対応は

 ディスプレイの解像度については、Palm OS 4.0のリリース近辺でなんらかの変更が行なわれる予定で、現在の160×160よりも小さい解像度や大きなもの、縦横比の違うものなどに対応できるようになるらしい。ただし、このためにディスプレイデバイスへの直接アクセスは禁止される。アニメーションなどに対しては、メモリ内で描画を行ない、それを画面に転送するAPIを使うことが推奨されるとのこと。

 おそらく、今年中に出荷が予定されているPalm OS 4.0でできる限りの準備を行ない、来年のARMマシンへの移行に備えるというのが、Palm社のシナリオである。このため、Palm OS 4.0はかなり大きなバージョンアップとなるだろう。

 Bluetoothに関しては、Palm OS 4.0は対応可能となるが、Bluetoothサポートが組込になるのではなく、あとから組込可能な状態になるのだという。また、開発者向けにシリアル接続するBluetoothモジュールを2~3月から、有力サードパーティに対して提供し、準備を行なう予定。実際にPalm機本体に組込になるのは、2002~2003年で、当初はアダプタ形式か、SDカードスロットを使うオプションとしてユーザーに提供されるようだ。


基調講演では、米Handspring、ソニー、米Palmが講演

米国Handspring社副社長ジョー・サイファー氏
 2日目の基調講演では、米国Handspring社、ソニー、米Palmが「Palm OSハンドヘルドの拡張」というタイトルで講演を行なった。内容的には、各社が装備する拡張スロットについての話題がメイン。Handspringは、新製品としてI/Oデータが出荷予定のSnapConnect(携帯、PHS接続用モジュール)、Margi社のLCDプロジェクタ出力モジュールPresenter-to-Go、IDEOのデジタルカメラモジュールeyemodule2を披露。プレゼンテーションもこのPresenter-to-Goで行なった。これは、1024×768ピクセルのフルカラー映像出力が可能なモジュールで、PowerPointやHTMLで作成したスライドを表示可能なもの。また、赤外線リモコンも同梱され、このリモコンでスライド表示の制御ができる。このほか、ジョークとしてHandspring社の社員により創業されたTTKK.orgによるキッチン用モジュールも登場した。

 ソニーは、メモリースティックのI/Oデバイスの話が中心で、同社制作のプロモーションビデオなどを交えた講演が行われたが、新製品や次期CLIEの具体的な話などがあったわけではなく、少々盛り上がりに欠けた感もあった。

 Palm社は、まだ、メモリスロット装備機種を出荷していないが、すでにSDカードを採用することを発表しており、SDカードアソシエーション会長をゲストに迎えて、試作機によるSDカード利用のデモを行なった。


I/Oデータが出荷予定のSnapConnect SpringBoard(写真中央。写真は試作機)。Handspring社のWWWブラウザであるBlazerを同梱する予定 Margi社のpresenter-to-Goは、LCDプロジェクタなどに接続可能なモジュールで、PowerPointなどで作成したスライドの表示が行なえる。画面も同モジュールで表示している

TTKK.ORGで作られた家庭向けモジュール。フライ返しや櫛などを装備したモジュール、方位磁石を埋め込んだモジュールという冗談 SDカードスロットを装備した試作機によるデモ。画面左側にスロットの一部が見える。SDカードを装着すると、その中にあるファイルやプログラムのアイコンが表示される

KDDI研究所のJaMaPSは、SVGフォーマット(W3Cで定義されたベクトルデータ形式)に対応したブラウザツール。最新版はストロークフォントに対応し、文字の拡大表示が可能になった。写真左がストロークフォントに対応したもので、右側は、Palm OSのフォントを使ったもの IrDAを使ってイーサーネットへの接続を可能にするEthIR LAN。PalmからはPPP経由での接続を行ない、イーサーネット側とのTCP/IPによる接続を可能にしている


URL
  パーム コンピューティングのホームページ
  http://www.palm-japan.com/home.html


(塩田紳二)
2001/02/16 11:00

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