現時点では、ARM対応のOSは、Palm OS 5.0とされている。このPalm OS 5.0では、ARM CPUの4Tと呼ばれるアーキテクチャ(ARM CPUでは、命令セットや内部構成などのアーキテクチャが複数ある)を想定しており、CPUとしてはARM7以上のものとされる。ただし、実際にどのCPUを採用するかは、これもメーカーの判断になるという。このため実際には、StrongARMやARM9などの上位互換性を持つCPUを採用するメーカーも登場するだろうという。
このPalm OS 5.0には、68000のエミュレーター(TEMという人物が作っているため、Temulatorと呼ばれているのだとか)が内蔵されており、現在のPalm機用のアプリケーションがそのまま動作可能だ。ただし、ARMと68000(モトローラのDragon Ballシリーズ)では、エンディアン(メモリ内での2バイト以上の大きさの数値の並べ方)に違いがあり、ここが移行の最大のポイントになるという。
ディスプレイの解像度については、Palm OS 4.0のリリース近辺でなんらかの変更が行なわれる予定で、現在の160×160よりも小さい解像度や大きなもの、縦横比の違うものなどに対応できるようになるらしい。ただし、このためにディスプレイデバイスへの直接アクセスは禁止される。アニメーションなどに対しては、メモリ内で描画を行ない、それを画面に転送するAPIを使うことが推奨されるとのこと。
おそらく、今年中に出荷が予定されているPalm OS 4.0でできる限りの準備を行ない、来年のARMマシンへの移行に備えるというのが、Palm社のシナリオである。このため、Palm OS 4.0はかなり大きなバージョンアップとなるだろう。
Bluetoothに関しては、Palm OS 4.0は対応可能となるが、Bluetoothサポートが組込になるのではなく、あとから組込可能な状態になるのだという。また、開発者向けにシリアル接続するBluetoothモジュールを2~3月から、有力サードパーティに対して提供し、準備を行なう予定。実際にPalm機本体に組込になるのは、2002~2003年で、当初はアダプタ形式か、SDカードスロットを使うオプションとしてユーザーに提供されるようだ。