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【第8回ケータイ国際フォーラム】
京に根付くもてなしの文化がケータイを変える
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「第8回ケータイ国際フォーラム」の「トップカンファレンス」の2つ目のセッションに登場したのは、元NTTドコモで慶應義塾大学 政策メディア研究科 特別招聘教授の夏野剛氏と立命館大学 映像学部教授のサイトウ アキヒロ氏。
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慶應義塾大学 政策メディア研究科 特別招聘教授の夏野剛氏
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夏野氏は開口一番、「(ドコモを)やめてよかった」と話し、来場者の緊張を解いた。続いてサイトウ氏からゲームにおいてユーザビリティを高める工夫を体系的にまとめた「ゲームニクス理論」の解説があり、その後、両氏の対談という流れでセッションが進められた。
サイトウ氏は、ゲームニクス理論について、「誰にでもわかりやすく、使いやすい。マニュアルを読まなくてもプレイでき、段階的に学習してクリアできる。そして、これは賛否両論あるが、長時間にわたって集中してしまう。それがゲームニクス理論で、開発者のエゴは通用しない」と説明。同氏は、ゲーム業界、とりわけ任天堂に根付いたこの発想は、ケータイなどにも応用できるのではないか、と語る。
夏野氏は「iモードはスタートしてから先月でちょうど10年になった。10年前のiモード端末は、ファミコンのコントローラーに似ていた。当時はテクノロジーの限界やコストの限界もあったが、誰でも使えるように、というのはゲームと同じ発想だった。しかし、それをやろうとすると嫌がる人がたくさんいた」と振り返る。
iPhoneのユーザーインターフェイス(UI)を例に挙げながら、「iPhoneも最初の画面は気持ちいいが、個々のアプリを立ち上げたら何をすればいいのか分からなくなる。ケータイのUIをもっと直感的なものに統一できないか」と言うサイトウ氏。夏野氏は「ゲームは完全に垂直統合の世界。ケータイの場合、キャリア側でこういう操作を徹底してください、というお願いしているルールが全操作の10%ぐらい。残りの90%はメーカーごとに違う。総務省の方などは垂直統合はダメというので、統一するのが難しくなっている」と述べた。
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立命館大学 映像学部教授のサイトウ アキヒロ氏
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夏野氏は「なぜ日本の家電メーカーは(iPhoneみたいな端末を)作れなかったんだろう。1機種100億円ぐらいかけて開発しているから、コスト的には十分開発できると思うが、思い入れが無いんじゃないか」と語る。同氏は「ITが普及してきて、B2Cのサービスを提供している経営者の役割が変わってきた。誰かが指示を出さないとハードよりになったり、ソフトよりになったり、バラバラになってしまう。一方で、安く作るために、どこをそぎ落とすか議論しないといけない。そこは経営課題に近い話なんじゃないか」とリーダーシップの重要性を指摘する。
一方、サイトウ氏は、ゲームのメニュー構成について「最初は少ない機能しか見えないようになっていて、プレイヤーが学習していくと機能が増えていく、という工夫をしている。つまり、その人の習熟度によってメニューを変えていく。これは、お年寄り向けのケータイなどに応用できるのではないか。京都に根付いているもてなしの文化が参考になる」とケータイ業界にアドバイスを送った。
両氏の対談の後、慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科教授の中村伊知哉氏がコーディネーターとなり、NHK 編成局 デジタルサービス部 チーフディレクターの倉又俊夫氏、アミタ 代表取締役社長の熊野英介氏、イー・アクセス/イー・モバイル 執行役員副社長(企画担当)の武智健二氏を迎えたディスカッションも行われた。同セッションにはコメンテーターとして総務省 情報通信国際戦略局 情報通信政策課長の谷脇康彦氏も参加する予定だったが、公務のため急遽欠席となった。
■ URL
第8回ケータイ国際フォーラム
http://www.itbazaar-kyoto.com/forum/
(湯野 康隆)
2009/03/13 12:53
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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