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【大塚商会 実践ソリューションフェア2009】
ウィルコム喜久川氏、WILLCOM COREの法人向け施策に言及

ウィルコムの喜久川氏

 大塚商会は、2月4日~6日にかけて、東京・品川のホテルパシフィック東京でプライベートイベント「実践ソリューションフェア2009」開催している。初日のセミナーの先頭を切り、ウィルコムの代表取締役社長である喜久川政樹氏が講演を行った。同氏は「WILLCOM COREが実現するもう一つの未来」をテーマに、2009年4月から順次サービスを開始する同社の次世代PHSサービス「WILLCOM CORE」について説明した。

 喜久川氏は、冒頭に「通信の本来的な意義を改めて見直して、不況下に我々がどんな形でお役に立つことができるのか。この1~2年はその点に力を注いでいきたい」とし、来場した企業ユーザー、ディーラーなどに対して、ブロードバンドワイヤレス環境によってもたらされるビジネス環境の変化と、WILLCOM COREの優位性や未来の可能性について解説した。

 講演ではまず、現在、同社が提供しているPHSサービスが、全国16万局のマイクロセルネットワークにより、大容量、定額・低額、置局容易性、信頼性、低電磁波、省電力という6つの強みを発揮できる優位性を説明した。また、ここにきて企業向けサービスを強化していることを示し、端末をパソコンに接続してデータ通信を利用しても、月額上限2800円の定額制で利用できること、一般的な企業が使用しない夜間定額利用を除いた新トリプルプランの契約にすれば、月額上限1900円で音声、データ通信が使い放題になるメリットを訴求した。

 喜久川氏は、「PHSの特徴を生かして、通信コストを下げることには自信がある」としながらも、「経営者にとって、業務改革、コスト削減、合理化が大きな課題となっている。単なる通信コストの削減だけでなく、通信本来の意義に立ち返った新たなソリューションを提案することにより、不況下のコスト削減、効率向上を実現することが通信事業者の役割だと考えている。通信を使って、どんな部分でコストを下げられるのかを、自らの経験を生かして提案していくことか大切」とし、その観点から4つの提案を行った。

 喜久川氏がいう、「本来の通信の意義」とは、離れた場所の人と人、あるいはモノとのコミュニケーションをリアルタイムに成立できるという通信の根本的役割を指す。通信コスト低減の競争だけではなく、通信に付加価値を提供するというのがウィルコムの施策だとする。「定額、低額、あんしんなサービス+αによって、不況下のコスト削減、効率向上を実現する」と語った。


4つの提案

 では、4つの提案とはなにか。

 ひとつめは、音声定額、データ定額のインフラを利用にしながら、モバイル会議によってコストを下げ、さらにコミュニケーションを高める活用方法だ。街角から会議に参加できる場所を選ばないモバイル性、時間を気にせず使える定額性と低額性というPHSの利点を生かし、「これによって、移動時間、移動コストを削減できるとともに、実際に顧客のもとに出向く営業時間の増大による業務効率の向上を実現できる」とした。

 喜久川氏は、自社での活用事例からその成果を示してみせた。「ウィルコムは、約1000人の企業。昨年11月に社内会議のための出張禁止の通達を出し、電話会議を行うようにした。すると12月には、会議のための出張旅費が1000万円も削減できた。約30%の削減となり、年間では1億円以上の削減につながる計算になる。また、出張では月1回の会議開催だったが、電話会議だと週1回の開催が可能となり、かえってコミュニケーションが緊密になったという報告も受けている。出張がなくなることで、生産性のある仕事に費やす時間を増やすことができる」とした。

 同社では、AIR-CONFERENCE、ウィルコムミーティングの2つの会議電話サービスプランを用意している。「一般的な電話会議システムは、電話線がないと利用できないが、当社のサービスはPHS網を利用しているため、電話線がないところでもできる。社長室に会議用スピーカーホンをもってきて、その場ですぐに会議ができるのが特徴」とした。また、「AIR-CONFERENCEの名称がわかりにくいので、『出張いらず』というサービス名にしろと社内では言っている」として会場の笑いを誘った。


ウィルコムのソリューション 電話会議で出張費削減

 2つめは、FMCによる固定網を含めたコスト削減だ。ここでは、同社が提供する内線ソリューションの優位性を示した。「当社では、W-VPNと.Phoneユビキタスの2つのサービスを用意している。いずれも、トータルで通信コストを下げることができ、16万の基地局がオフィスの内線網として利用できる。日本全国の通話が無料で、内線番号をそのまま利用して、ワンナンバーで通話できるメリットもある」とした。

 3つめは、スマートフォンやハンディターミナルを活用し、データも音声も一台で活用するという提案。「スマートフォンで、会社のメールアドレス、スケジューラーと完全に同期でき、パソコンを持ち歩かなくて済むようになる。ビジネスマンは、メール、スケジュール、インターネットが使えれば、ほとんどの機能が網羅でき、私も使っていてこれは便利な機能だと感じている。高価なパソコンを導入してなくても、末端の従業員までモバイル化が可能であり、また、受発注管理、勤怠管理といった業務システムの端末としても使える」などと語った。

 W-SIMをハンディターミナルに搭載した製造現場や流通現場向けの製品も出ており、これ一台で、電話連絡ができ、サーバーにデータを送信できるほか、壊れたときもW-SIMを差し替えれば済むという堅牢性もあるという。

 そして最後に示したのが、BCP(business continuity plan:事業継続計画)の観点から災害時などのリスク管理を行う活用方法だ。マイクロセル方式の特徴によって、災害時でもつながりやすいというメリットが、BCPの観点からも活用できるとする。
 「災害時もつながりやすい信頼性は、マイクロセル方式を採用しているPHSの強み。大型地震の際にも、唯一、通話規制をすることなく通話環境を維持ができた」と、具体的な実績を示しながら強調した。


WILLCOM COREで新たな市場を開拓

WILLCOM COREは上りも高速だとアピール

企業網をXGP化
 一方、喜久川氏は、法人向けビジネスの今後の取り組みとして、「WILLCOM COREによる導入による新規マーケットの開拓」をあげる。WILLCOM COREのベースとなるXGP方式については、「固定のプロードバンドを代替するには最適なシステム」と位置づけ、次のように説明した。

 「数10Mbpsのブロードバンド環境になると、自ずとデータトラッフィック量が急激に増大する。高速化することで利用の仕方が変わり、それに最適化したアプリケーションが開発されるからだ。また、今後はシンクライアント化などにより、サーバーとネットワーク化する使い方が増え、通信に負荷がかかるようになる。月10MBで済んでいたものが、単純計算で1000倍の容量が必要になるだろう。これだけの大容量を、破綻しない形で利用できる仕組みが必要となる。その点では、XGPが適している。また、XGPとWiMAX、LTEは、基本となる技術はほとんど変わらないが、XGPではマイクロセル方式であること、上下対称の環境を実現している点が他の方式と異なる。カタログ上のトップスピードは3Gの方が速いが、都心部のように多くの人が一斉に利用するという環境での実効速度は、マイクロセルのXGPの方が速い。また、上りも下りと同等の高速通信ができることから、映像配信、テレビ会議といった上りを多く活用するようなアプリケーションには適している」とした。

 こうした特徴を生かし、企業に対しては、社内の有線LAN環境の置き換え、ADSL環境の置き換えなどにWILLCOM COREを提案していく姿勢を明らかにしたほか、放送用の映像を撮影し、これを中継車を介することなく送信するといった用途にも活用できるとした。

 「定点カメラネットワーク、センサーネットワークを利用して、新たなビシネスチャンスが生まれないかということも考えている。また、画像・動画ネットワークによるデジタルサイネージにおけるチャンスもあるだろう。MVNOのような形で、企業向けネットワークサービスとして提供することも考えられる」と、ビジネスの広がりを示した。

 一方で、「ひとつの企業で考えていると、問題が起こりやすい」として、WILLCOM COREを利用した新たなビジネス展開を検討する研究会として、BWAユビキタスネットワーク研究会を設立したことに触れ、「定点カメラで街角を撮影した際に、歩行者の顔が映らないように画像処理するなど、プライバシーの問題をどうするかといった点も、この研究会で検討している」と述べた。

 また、同研究会では、WILLCOM COREを利用したアプリケーションとして、電子新聞や電子ブックなどの新たな媒体への配信、位置情報を活用したデジタルサイネージによる広告展開、環境配慮や農業支援などに役立てる気象・環境センサーとしての利用、ビデオ・オン・デマンド型の映像配信プラットフォームの確立などについて議論しているという。


WILLCOM COREの進捗

 最後に、喜久川氏は、WILLCOM COREの進捗状況について説明。「4月下旬からの東京23区(山手線内側)での限定サービス、10月の本格サービスに向けて、スケジュール通り、順調に進んでいる。基地局設置場所の選定、回線の光化対応も完了している。まずは、4月下旬のエリア限定サービスに向けて、PCMCIAカード型の端末を出して、ノートパソコンに接続して利用できるようにする」と語った。

 さらに、山形県、京都府、広島県の3カ所で、地域情報化促進、観光客向けに提供する情報インフラの実験、デジタルサイネージなどによる街の情報化の推進実験をそれぞれ行う計画を明らかにした。

 「XGPは、ユーザーが必要とするサービスと組み合わせた形で提供する。PHSや無線LANとの組み合わせだけでなく、3Gデータ通信、光プロトコルとの組み合わせも考えられる。東海道新幹線の無線LANサービスとも連動し、これらをWILLCOM COREのサービスとして提供していく」と語り、「これからもウィルコムは、企業のお客様のコスト削減や業務効率化をさらに応援できるように、音声定額サービスの拡充や、WILLCOM COREを中心としたデータ通信サービスの高速化にいままで以上に努力していく。ウィルコムは真面目な会社。不況下でも、みなさんのお役に立てるように、愚直に、真面目にがんばっていきたい」と締めくくった。

 なお、喜久川氏の講演が行われた大塚商会の実践ソリューションフェア2009は、6日まで開催。展示コーナーでは、「ITでオフィスを元気にする!」をテーマに、最新ネットワーク技術を活用したソリューションが展示されているほか、特別セミナー9コースをはじめ、3日間で56コースのセミナー、CAD体験セミナー24コースが開催されている。

 また、2月18、19日には、大阪のグランキューブ大阪で、4月8、9日は名古屋のヒルトン名古屋でもそれぞれ開催される。

■ フォトギャラリー



URL
  大塚商会 実践ソリューションフェア2009
  http://event.otsuka-shokai.co.jp/09/j/tokyo/
  ウィルコム
  http://www.willcom-inc.com/


(大河原克行)
2009/02/04 16:39

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