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【Embedded Technology 2008】
組込技術の展示会、横浜で開催

 パシフィコ横浜で、19日~21日にかけて組み込み技術の展示会「Embedded Technology 2008」が開催されている。テレビから自動車まで、幅広い分野の組込機器向けの技術が揃う展示会だが、携帯電話に関する展示もいくつか見られた。


アットマークテクノ社の開発セット上のAndroidでアプリケーションをデモ
 富士通ソフトウェアテクノロジーズは、Open Handset Alliance(OHA)のケータイ向けOS「Android」をケータイ以外で応用する展示を行っている。

 ブースでは、モーションポートレート社のアニメーション生成エンジンをAndroid端末上で動かすデモが行われていた。同エンジンはもともとLinux版が存在していたが、Androidと同時にLinuxネイティブの同エンジンが動くような実装作業を、富士通ソフトウェアテクノロジーズが行ったという。

 富士通ソフトウェアテクノロジーズによると、このようにLinuxネイティブのアプリをAndroid上で動かすことにより、これまで組込用Linuxで作ってきた資産をそのままAndroid端末で利用したり、あるいはJavaベースのAndroid用アプリでは困難な「重たい」アプリもLinuxネイティブで動かしたりすることが可能になるという。また、従来の組込用OSに比較すると、開発に手間がかかったUIやインターフェイスの部分も、Androidのものが流用できることがメリットになるという。

 このほかにも、Android端末で画像に埋め込まれたデータ(FPcode)をカメラで読み取ったり、電子コンパスデバイスを接続するデモや、富士通の車載コンピュータボード上でAndroidを動作させるデモを行っている。

 富士通ソフトウェアテクノロジーズでは、カーナビやキオスク端末など、これまでITRONなどの組み込み用OSが使われていたような機器でAndroidが使われる可能性を模索している段階だという。


Android上でモーションポートレート社のプログラムを動作させている 車載向けコンピュータボード上で動作するAndroid

WILLCOMコアモジュールフォーラムのブースでのAndroidのデモ
 WILLCOMコアモジュールフォーラムもブースの中でAndroidを動作させるデモを行っている。これはアットマークテクノ社による組み込み機器向け開発セット「Armadillo-500 FX」でAndroidを動作させるというもの。Armadillo-500シリーズは標準でW-SIMスロットを備え、Linuxにも対応しているが、今回はAndroidを動かし、さらにアックス社による通話関連ミドルウェアも実装している。同様のデモはアットマークテクノ社とアックス社のブースでも行われていた。

 デモでは、Android標準の電話帳から電話をかけたり、ウィルコム端末にライトメールを送ることができた。ただしAndroid自体がPHSをサポートしていないため、W-SIMは3Gに見せかけられていて、ライトメールもSMSのインターフェイスを使っていた。データ通信についてはまだ実装されていないが、こちらも実装作業が行われているという。

 こうしたデモは、コンシューマ向け製品とは直接関係はない。実際にAndroidを採用した端末が登場する予定もないが、たとえばどこかの会社がW-SIM対応のAndroid端末を作ろうとした場合、アックス社などAndroid上の実装経験のある会社を利用できる、というわけだ。


アットマークテクノ社のArmadillo上で動作するAndroid W-SIMに対応している

アットマークテクノ社のブースでのデモ Armadillo-500はモジュール化されていて、インターフェイス構成を変えればさまざまな形状のデバイスに対応できる

システム・コンサルタンツが開発中の「Sylph」
 このほかにもWILLCOMコアモジュールフォーラムのブースでは、システム・コンサルタンツによるW-SIM用ジャケット「Sylph」が展示されていた。Sylphは、イヤホンの振動板をマイクとしても使う特殊な処理機能を内蔵するデバイスで、耳の穴内部の振動から声を拾うことができる。このため、環境音を拾うことがなく、騒音の大きい環境でも通話ができるという。

 システム・コンサルタンツでは、Sylphを普通の電話ではなく、トランシーバーのように使うことを想定しており、端末側もディスプレイを搭載せず、W-SIM内のアドレス帳の1~4番目までに割り当てられた4つのキーしか搭載していない。着信も自動で行われる。9月に行なわれたCEATEC JAPANでは、通話のできないモックアップが展示されていたが、今回は通話のできるバージョンが展示されていた。


Androidエミュレーター上で動作するiWnn
 オムロン ソフトウェアは、組込機器向けの日本語入力エンジン「Wnn」などを展示している。ブースでは、最新の「iWnn」の展示も行われていた。iWnnは時間帯やメールの送信相手など、シチュエーションごとに予測変換候補を変えるといった機能がある。ただし現時点で市販されているケータイに搭載されているバージョンでは、まだすべての機能は実装されていないという。さらに同ブースでは、パソコン上で動作するAndroidエミュレーター上でiWnnを動作させるデモも行われていた。こちらはまだ製品化などが未定の開発中のものだという。


ヒラギノフォントの展示
 ちょっと変わったところでは、大日本スクリーン製造がフォントを展示している。同社は、iPhoneやMac OS Xなどに標準採用されているヒラギノフォントを開発している会社だ。同社ではiPhone以外の組込機器にもヒラギノを売り込むべく、初めて同展示会に出展したという。同社では通常のヒラギノフォントに加え、中国語対応フォントやより容量の小さなバージョンも開発していて、さらに現在、見やすさを向上させたシリーズも開発中だという。


カスペルスキーの展示
 ウィルス対策ソフトを手がけるカスペルスキーラブスジャパンは、Windows Mobile向けの「Kaspersky Mobile Security Enterprise Edition」を展示している。法人向けとなるEnterprise Editionでは、集中管理などが行えるようになっているが、そういった機能がない個人での利用も現時点で存在するバージョンでほぼ可能だという。ただし販路やビジネスモデルが未確定なため、製品化については未定とのこと。

 Windows Mobile向けとしては、東芝情報システムがAdobe Flash Liteを展示している。同社はAdobeからライセンスを受け、Windows Mobile向けのほかに、セットトップボックスなどの組込機器向けのFlashプレーヤーの開発・販売を行っている。ちなみにケータイやゲーム機といったデバイス向けのFlashプレーヤーは、Adobeが直接開発・販売を行っているという。


Windows Mobile版のKesperskyの画面 東芝情報システムによるFlashプレーヤーの展示

QCLite
 変わったデバイスとしては、日本ノーベルは携帯電話の試験機「QCLite」を展示している。これは携帯電話を本体内部にセットすることで、機械的に携帯電話のキーを押し、さらに画面の状況がリファレンス画像と異なるかどうかを調べるというもの。正しく画面遷移が行われるかなど、主にソフトウェアのバグチェックに用いられる。今回展示されているQCLiteは、従来機器よりも小型化し、より安価になったという。レンタル費用は1カ月18万円(画像判定オプション付きだと28万円)。同ブースでは、iPhoneでも使える静電容量方式のタッチパネルディスプレイに対応したバージョンも展示していた。



URL
  Embedded Technology 2008
  http://www.jasa.or.jp/et/


(白根 雅彦)
2008/11/20 11:08

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